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なんか、ステータスの星がないんですけど

森の神官トーマス・ドルドンは非常に慌てていた。サキといったソウタが二日経っても、戻ってこないからである。


「どうしたものでしょうか……。」


神の午前に祈りを捧げる午後の儀式の最中にも、ずっとその事が頭を駆け巡っていた。

最近会ったばかりの子供に、初級魔法を教えて盗賊捜索をさせる。冷静に考えれば、そんなのは無茶だったのだ。


(もし、もし彼らが盗賊に返り討ちにあってしまったら……。いや、そんなことを考えてはなりません。しっかりと祈らなければ。)


彼は、一心不乱にソウタ達の無事を祈り続けた。

そう、再び祈りの儀式を始めようと思ったそのときだった。


ガチャ

「ふぅ……かなり時間がかかっちゃったわね。ルタージュの花は?」

「大丈夫ですよ。僕がしっかりと管理してますからね。」


トーマスは台から立ち上がり、バッとソウタ達の方へ向く。


「あ、トーマスさん。すみません、遅くなっちゃって。帰り道をすっかり忘れてしまってて……ってあれ? どうしたんですか?」

「二人とも………良かった。本当に…………。」


トーマスは目に涙を浮かべ、二人をぎゅっと抱き締めた。



わっぷ、ビックリしたぁ……。

…二日間の間も野をさ迷い、帰ってきたのがこの時間。トーマスさんが心配するのも無理はないだろう。本当に申し訳ないという気持ちが、僕の心を駆け巡っていた。


「あ、そうだ。ルタージュの花ってこれですよね?」

「……ええ。これがあれば、あなたは祝福を受け、見事新たなる力の解放ができるというわけです。まあ、詳しいことは後で話しますから、やりましょう、儀式を。」


やっとだ。やっと、祝福を受けることができる。僕の持つ腕輪の力を最大限に活用するために、必要だったこの儀式。魔法適性やステータス解放、それにスキルを会得すれば、これからの冒険にきっと役立つに違いないだろう。


「お願いします!」


僕は、パッと返事をした。



「それでは、行きますよ。…………大地の神、ケルヴェンデスよ。あなた様の祝福を…………」


トーマスさんが儀式文句を唱え始めると、僕が正座する周りに魔法陣が浮かんできた。そして、自分の周りに光が集まってくる。なんとなく、自分の力が、沸き上がってくるような……。


「………よし、完了です。ソウタ君、『ステータス』と唱えてごらんなさい。」

「『ステータス』!」


ブォンと、自分の今の状態が目の前にパッと写し出される。サキさんとトーマスさんも、覗き込む。


ソウタ

年齢:16歳

性別:男

HP:E

MP:E

魔法適性:気分次第

特性:無

星:0




「「「…………………えええええええええ!?」」」


全員、衝撃を受けた。

え、まって。体力も魔力も並以下!? なに?魔法適性:気分次第って。特性もないの? 星が……………0……………


「私、星0のステータスを始めてみたわ。普通の村人でさえ、星1つはあるのよ。」

「信じられないですね……」


サキさんもトーマスさんもドン引きしてる。星は、その人の実力を示す指標の1つ。今存在する最大星数は10。僕は、どうやら冒険者に向いていないらしい。


「ちょっと、腕輪! これ、どういうこと?」

『残念でしたね。異世界転移の場合、だいたいがチート能力を手に入れたり、素晴らしい魔法を授かったりするのですが、あなたは失格みたいですね。』

「残念でしたねって、そんなこと言うなよ!!」


僕は自分の扱いに涙する。


『ですが、この状況を打破することも可能です。』

「……! まさか………。」

『はい。冒険者として、さまざまな依頼をこなして力をつければいいのです。』


そう。この世界の冒険者は、依頼をたくさんこなすことで、自分のステータスの星の数を増やすのだ。


「ソウタ、これからどうするの?」

「……サキさん、僕、これから冒険者として生活していきます。」

「冒険者!? 正気なの!? とてもきついわよ?」


ああ、わかっている。並みの覚悟でやれるような仕事じゃないことくらい。でも、僕は元の世界に戻るために、これくらいの逆境は越えないと。絶対に。


「サキさん、僕、頑張ります!!」

「そう……あなたにそこまでの覚悟があるなら、冒険者ギルドに案内するわ。」

「あ、ありがとうございます! トーマスさんも、ありがとうございました!」

「ああ、気を付けていくんだよ。」


次の日、僕はトーマスさんに見送られ、新たなる一歩を踏み出した。

目指すは、マジセカのゴール、魔王討伐。未完成と言われたゲームを、僕がやり遂げてやる! そう、決意した。

前回投稿から4ヶ月………読者の皆様、大変お待たせしてしまい、申し訳ありませんでした!

僕のデビュー作であるこの『未完のファンタジーワールド』を、しっかりと完結に持っていけて、本当に良かったです。

短い期間でしたが、たくさんの方に応援していただけて、本当に嬉しかったです!

ソウタの活躍を、祈っていただければ幸いです!


さて、『未完のファンタジーワールド』は完結(タイトルと矛盾)しましたが、僕の二作目、『弱輩者の第三王子~僕なんかに執政できるんですかね。~』はまだまだ続いていきます。こちらの方の応援も是非よろしくお願いします!

改めて、最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございました!!

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