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第1話 やっぱりここは異世界なの?

「夢じゃない・・・そしてこの姿・・・コレってあの・・・な◯うとかでよく見る異世界転生ってやつ?」

突如として子供の姿で目を覚ました41(だった)会社員篠原ほまれは有り得ない、しかし目の前の真実に動揺しっぱなしだった。

「これからどうしよう?文字も違う・・・ってことはここはヨーロッパの国じゃないって事?」

ゆっくりと重い足を引きずるようにして歩き出す。するとどこからかこんがりとした小麦の匂いがしてきた。

「あれは・・・パン屋・・・」

ほまれは看板の文字を見てそう言うと

「あれ?なんで私パン屋って読めるんだろ?あの文字見た事ない筈なのに?それにこの国の言語をすらすらと・・・」

今まで話していた言語も日本語ではない事に気付いたが全く違和感なく母国語のように理解していた事にほまれは驚いた。

「な、なんで・・・?ていうかいつこんな言葉・・・」

何から何まで理解が追い付かないほまれはいよいよ

「そっか、やっぱり異世界に転生しちゃったのかな?私・・・」

有り得ない事象に受け止めざるおえなくなる。

「んーそれならそれでもいい。でもだとすると私は死んだ事になる・・・よね。でもそんな記憶・・・気持ち悪い・・・引っかかる・・・」

グゥ〜

ほまれの腹から空腹の音がする。

「お腹空いたなーお金も無い・・・これからどうしよー」

ほまれは歩道に座り込んで膝を抱えた。すると

「ほれ」

目の前に居たのはパンを差し出す赤い髪の15、6歳と思しき少女だった。

「親は?靴も履いてないようだが・・・もしかして孤児院から脱走とか?」

ほまれは急な掛け声に動揺しながらも、空腹に耐えきれず差し出されたパンを受け取り

「信じてもらえるかだけど・・・」

「ん?」

赤髪の少女はキョトンとする。

「あ、あの・・・話を聞いて・・・貰えますか?」

目を逸らしながらその娘にほまれは問う。

「ああ、いいよ。そうだ、こんな所じゃ何だしあっちの公園に行こう」

赤髪の少女はサバサバとした態度でそう言った。


「ふぅーん」

「信じて貰えないよね」

少女はパンを頬張りながら何の疑問も抱かない様子でほまれから全部の話を聞いた。

ほまれも変な人だと思われていると想像して頰を赤らめている。

「つまり医者が言うにはお前は生まれた時から意識が無くて今さっき目を覚ましたって事か」

「変・・・だよね」

「まぁいきなりそんな事言われればな」

「これからどうすればいいんだろう・・・」

ほまれは不安そうに少女にすがるように尋ねる。

「とりあえず病院に戻って話を聞くのがいいと思うな。転生だっけ?ちょっとそれは分かんないけど・・・あとはーーー」

赤髪の少女は手を顎に当て考えにふける。

「魔法のせいか?」

「魔法?」

アニメや漫画でしか登場しない単語にほまれはからかっているのか?と内心思う。

「魔法ってあの・・・ドラ◯もんみたいに不思議な事をするアレ・・・」

「なんだそれは?魔法ってのは魔力を持つ者が使える能力の事で・・・例えば・・・」

赤髪の少女は突如立ち上がり

「こうやって物体を操ったりする力の事さ」

と噴水の水を宙に浮かせて大きな水玉を作ってみせた。

「ななっなにーーーー!!!」

ほまれは目の前で起こっている事象に理解が追い付かず目を白くする。

「まっこんな感じだ」

「あなた一体・・・」

「ところで本題だがお前が目覚めてすぐに言葉を話せたのも前世とか言う記憶も恐らくは魔法によるものだと私は考えた」

「えっえーーーそれはどういう・・・」

ほまれはますます疑念に満ち、方や少女は淡々と話を続ける。

「魔法の中には記憶や知識を他人の脳に移すのがあってな、これはまぁかなりの高等魔法なんだが多分お前が眠っている間に誰かがその魔法をかけたんだと思う」

ほまれは否定的になりつつも

「そんな非科学的な・・・でも今起こっていることも考えられないし・・・もしかして本当に・・・」

今の水を操る少女を見て信じざるおえなくなった。

「と、まぁそれは私の推測だけどもう日も短いし病院まで送っていってやるよ」

少女は笑顔でそう言って

「そう言えばお前の名前まだ聞いてなかったな、分かるか?」

「ほまれ、篠原ほまれ」

それを聴くと少女はキョトンとした。

「ほ・・まれ?なんか変わった名前だな」

「か、変わってる?」(あっ!この世界じゃ日本名は変なのかな・・・)

「私はフィルナ、歳は15。騎士団見習い」

「き、騎士?そんなのもあるの?」

「まぁね、私はまだ下っ端だけどいつか団長になってドラゴンとか狩るのが夢なんだー」

急にフィルナの目に炎が宿りまるで少年のように拳を握りしめる。



「今日は話に乗ってくれてありがと、また今度一緒に・・・」

「ああ、いいよ。私もまた顔見せに来るよ」

夕暮れ時、脱走した病院の前で2人は笑顔で言葉を交わす。

「いいか、私の言った通りにするんだぞ!」

「うん、分かってる」

ほまれは気が少し軽くなったようで今の現実を受け止めるようにしてフィルナを見送った。



「メル!」

「どこ行ってたの?足も真っ黒じゃない!」

脱走した時いた初老の男性医師と青髪の若い女性医師が咄嗟にほまれの元に駆け寄ってきた。

「ご、ごめんなさい・・・急に目が覚めて周りの事が理解出来なくて・・・」

「無事で良かったー、探したのよ」

「まぁ気持ちは分からんでもないが」

2人は安堵の表情を見せる。


「メルが生まれた時君の母親は息を引き取ったんだ」

ほまれの専属医師らしいレヴァン先生は13年前の話を語る。

ほまれは夕食を食べながら興味本意に耳を傾けている。

先生によると出産後、生まれてきたほまれも容体が急変、意識を失いそのまま13年間寝たきりだったとの事。メルという名前は生前母親が、ほまれに付ける予定だった名前らしい。

「ありがとうございます、そう言うことだったんですね」(どういう事がさっぱりわからないけど今はフィルナちゃんに言われた通り話をあわせて・・・)

ほまれは内心納得出来ないでいるが事を荒立てないため先生の話に相槌を打つ。

「さっきメルが話した通り魔術かなんかの理由で寝たきりの時、頭の中にさまざまな記憶や知識が入り込んだと考えるのが普通だね」

「はい・・・」(これもフィルナちゃんの言われた通りにしたけど案外話進んでる?)

「でも良かった、あのまま死んでしまうのかと思っていたんだ。本当に奇跡だよ、13年越しに目覚めるなんてね」

先生が涙を拭いながら感激の言葉をほまれにかけ、ほまれも笑顔で答えた。

「はい、先生のおかげです」



その日の夜

ほまれは眠れずに夜の街をガラス越しに眺めていた。

「明日また詳しい話は聞けるしもう深く考えるのはやめよう、やっぱり私は転生したんだ。この世界に」

物思いにふけっているとほまれの部屋の天井辺りから丸い光が現れた。

「はっ!今度は何!!!」

ほまれはまた摩訶不思議な現象に目を白くする。

バタっ!

「痛たた・・・ここで合ってるよね?」

光の穴から落っこちてほまれの前に現れたのは金髪で白い衣に白い翼が生えた紛れもなく天使のような娘だった。

「ちょーあなた誰です?」

「しー、静かにして他の人にバレちゃうじゃないの?」

今のほまれと同じかそれより幼く見えるその天使?はほまれをじっーと見つめる。

「うん、間違いないようね!」

「えっ?なに?どうなって?」

またほまれの頭が混乱状態に陥った。

「篠原ほまれね、主人から目覚めたと聞かされて今あなたの前に遣わされた我が天使、アルルよ」

「はっ、はぁ・・・天使にも名前があるのね」

ほまれはキョトンとした目で天使にツッコミをいれた。

「あるわよ!」

アルルはちょっと不機嫌そうに答える。

「で、天使さんがなぜ私の前に?」

度重なる超常現象に慣れてしまったのか疑念すらほまれは持たなくなった。

「あなたに大事なことをし忘れてね。目覚めた今それをしに来たのよ」

「大事な事?」

「ズバリ!あなたの前世の記憶を抹消しに来たの!」







次回、ほまれに告げられる転生の真実

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