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第三話 「イヤ止めて止めてそんな!」

 セーキとソフィアは今、宿屋の一室に居た。


「あんた達、営業妨害だよ!」


 色っぽい事情ではなく、ゲロインが営業妨害だと台詞だけはもっともなことを言われ女将に追いやられただけである。残念なことにこの世界に製造者責任法がない。


「大丈夫!?」

「うぇっぷ!」

「だから言わんこっちゃない!」

「何を言ったっていうの!? おぅえっ!」

「だから超不味いって言ったじゃないか!」

「言えば良いってもんじゃないわセーキ様が食べさせたんじゃないですか!」

「だからって普通食わないだろあんなの!」

「ねじ込みましたよね!?」


 もっともである。あんな異臭漂う料理を出す女将も裸足で逃げる責任転嫁ぶりだ。


「うわ息くっさ息しないでくれる!?」

「酷いです!」


 酷い。第一ヒロインに対する扱いではない。


「冗談だって!」

「ま、まったく! 冗談にしたって酷いですよ!」

十二(とに)で良いよ!」

「そっち!? そっち!? 料金私の財布から払ってましたよね!?」

「くっさ!」


 最低である。


 流石に心が折れたソフィア。ボッキボキである。

もう帰ろう、私には無理だ、と立ち上がる。まだ口の中が生ゴミの匂いで一杯だ。


「はいこれ!」

「え?」


 そんなソフィアに渡されたのはガラス瓶に入った緑色のポーション。かなり匂いの強いハーブ類が配合されており、普通の状態で飲むときついものが有るが二日酔いにも使われるポーションのため、今のソフィアにとっては口の中に残る異臭を消すにはもってこいのアイテムだ。


「あ、ありがとう、ございます?」


 元凶にお礼を言うのも何となく釈然としないが、彼は命の恩人である。死ななかったかもしれないが普通に考えて死ぬより辛い目に合わされたかもしれないと考えるとこのくらいで怒るべきではないとポーションを受け取る。


「うん! ぐいっと行ってぐいっとぐいぐい! ソフィアちゃん飲みたい騒ぎたい! はい胃腸に関して自信があるある! ポーションポーション一気ポーション一気ポーション!」


 パンパンパパパンパンパパパンッと手拍子を始めた。


「は、え、は?」

「グイグーイ! グイグイ! グイグイよし来い!」


 パパパンパパパンパンパパパンッ


「ちょ、何!? 何ですかその掛け声!?」

「飲んでかーら言え飲んでかーら言え飲んでかーら言えマジ黙れハイッ!」


 一気! 一気! 一気! 一気!


「一気! 一気! 一気! 一気!」


 空気に飲まれ一気に飲む。


「ソフィアちゃん全然飲んでないじゃんもっと飲みなよ!」

「ん、ぐ……って、何言ってるんですか!?」

「なーに待ってんのハイ! なーに待ってんのハイ! 飲み足りないから言ってんの! ハイ!」


 次に出てきたのはピンクのポーション。

 口に突っ込まれ一気に飲まされる。


「ナンバーワンナンバーワン! ナンバーワン! ナンバーワン!」


 もうだめ、この人ほんとむり……


 妙に甘苦いポーションを飲み干しゲッソリするソフィアにおかわりを突っ込むセーキ。

 流石にあんまりな事態にソフィアも全力で拒絶しようとするが


「大好きー! 大好き! だだだだ大好きー! 大好きー! 大好き! だだだだ大好きー!」


 と間近で大好きコールを叫ばれ瞬時にチョロイン思考復活、羞恥心と歓喜に酔って期待に応えなければと一気に飲み干す。


 すると一気に体の奥、具体的には下腹部が熱を帯び始めた。


 え? これ、何? え?


 転がった瓶を見るとそこには【イキ過ぎマッチョ!】と書かれたラベルが。


 あ……これ、媚薬……え、なんで!?


「姫が飲んで~! 王子が飲まない~? わけがない~!! 愛情一気愛情一気愛情一気!」


 あ、自分でも飲んだ……え、あ、うぅあ、熱い……あそこが……体が全部、あつく……んっ


 太股をもじもじさせるソフィア。清純派ヒロイン。


「王子が飲んで~! 姫が飲まない~? わけがない~!! 愛情一気愛情一気愛情一気!」


 さらに突っ込まれる【イキ過ぎマッチョ!】


「あぁっはぁっはぁっはぁ!」

「おやおやおやおやまだまだ足りないまだ足りない!? 欲しがり屋さんだこのビッチ! はい飲んで飲ーんで飲んで飲んで飲ーんで飲んで飲んで飲ーんで飲んで、飲んで!」

「んぐっあ、はぁっはぁっはぁっはぁ!」

「おおぉ!?」


 ちなみに一回の規定服用量は瓶の十分の一、つまり通常の服用量の何十倍も飲んでしまっていた。


「ちょっお! ちょっおだへだがらぁあ!」


 とてつもない量の【イキ過ぎマッチョ!】効果により、錯乱し、淫獣と化したソフィアは全身をほてらせ顔も真っ赤に、そして目を充血させたままセーキをベッドに押し倒した。


「あ~~~~れ~~~~! そんな、ご無体な! ご無体な! イヤ止めて止めてそんな! あ~~~~れ~~~~おっぱいおっぱいおっぱいひゃほおおおっぱいあ~~~~れ~~~~!」


 引き込むようにベッドに倒れこみ足でソフィアの体を挟み込む。108の必殺技【だいしゅきホールド】が炸裂。まさに蟻地獄。




 まだまだ冒険初心者でしかないセーキ。


 が、後に聖帝ならぬ性帝となるのだが、まだその可能性に誰も気づいていなかった。





感想、ブクマ登録、ポイント、レビューなど頂けますと調子に乗って更新頻度と精力が高まる可能性がございますので是非応援のほどよろしくお願い致します。

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