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第二話 「ちょっとなにいってるかわからないよ!」

「結婚してください!」

「ちょっとなにいってるかわからないよ! でもおっぱい大きいね!」


 渾身のプロポーズを【ひのきのぼう】無しで粉砕するセーキ。


「え」

「朝食は食べた!? 食べた!? 食べたかな!? 食べちゃったかな!? かな!? たかな!?」

「た、食べてません!」

「じゃあ食べなよ! 遠慮しなくて良いよ君の奢りだし!」

「ちょっとなにいってるかわかりません!」


 ちょっと大分かなり早まったかなと一瞬思ったソフィアだが恋する乙女はそんな考えもすぐに消える。チョロイン万歳。


「冗談だよ割り勘だね!」


 えー


 同世代の中でソフィアはお金は持っている方だし命の恩人の朝食代なんて喜んで払うが、意中の男から割り勘宣言されるのは頂けない。


「あの、えっと」

「あ、お金無かった!? 大丈夫、貸してあげるよ十五(とご)で!」

「たっか! たっか! 十日で金利五割ってどこの高利貸しですか!」

「ここここ!」


 己を指さしていたならば流石のチョロインソフィアも回れ右しただろうが不幸なことにセーキはパンパンッと笑顔で隣の席を叩く。


「冗談だってば! ささ、こっちに座って座って!」

「は、はぁ」


 勢いに押されて隣に座る。


「可愛い子との食事なんて嬉しいなぁ! あ、女将さん、この子にも【ゴブリンの肉味噌炒め定食】お願い!」

「あいよ!」

「へっ? ご、ごぶ?」


 そしてふと思い出す。セーキが泊まっている宿、そして今二人がいる食堂は下級冒険者御用達の宿【テイテイテイテイティヤ!亭】という安い以上にアレな場所だということを。


「ゴブリンって初めて食べたよ!」

「でしょうね!」


 魔物、モンスターと呼ばれる存在は珍味というよりもゲテモノ扱いである。ただその食肉の流通は確立されており、食い詰めた人間の最後の砦となっていた。


「これすっごい不味いよ!」

「なんで注文しましたか!?」


 可愛いと言った女の子相手に不味い料理を注文するとか意味が解らない。流石にソフィアもつっこまずには居られない。


「まっずいわよねぇこれ!」


 女将さんもセーキに同意しつつソフィアの前に【ゴブリンの肉味噌炒め】を置く。古いレバーを焼いたようなにおいがソフィアの鼻をつんざく。


「うぇっぷっなんで不味いと解ってて作りますか!?」

「私食べないもんこんなの!」


 自分が食べなければセーフらしい。素晴らしいプロ根性である。


「さぁさぁ食べて食べてセイヤセイヤセイヤセイヤ! おっぱいおっぱいおっぱいおっぱい!」


 満面の笑みでソフィアの皿、ではなく己の皿から一口スプーンですくって近づける。


「ぎゃあくっさっ! くっさ! くぅっさ!」


 ソフィアも憧れたシチュエーション、【恋人からのアーーン】の夢は音を立てて爆散した。ちなみにソフィアはこの物語の第一ヒロインである。くっさくっさ言ってもヒロインである。


「なんで不味いの食べさせようとするんですか!?」

「不味いから!」

「えちょ、意味がわか」

「ほらほらほらほらセイヤセイヤセイヤセイヤ! おっぱいおっぱいおっぱいおっぱい!」


 あごを鷲掴みされ無理やりぐぐいっと口に突っ込まれる。


「ぐぉえろぶひゅっ」


 ヒロインがゲロインになった瞬間であった。


「うっわバッチィ! えんがちょーえんがちょー! で何のようだったかなたかな!? おっぱい揉んで良い!? 揉むね揉むねイエーーーーーイおぱぱーーーーーーいおぱぱーーーーーーーーーい!」

「ぉぅぇえええっおぅええぇええ!」


 マーライオンになってるどさくさにおっぱいは揉まれた。


 セーキは後に、聖帝ならぬ、性帝と呼ばれる存在になるのだが、今はまだ、極々普通の冒険者であった。


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