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7、レベルアップ中です。



 そんなこんなで、次の日、その次の日も、門番の仕事をしていたマールに見送られてギルドの依頼をこなし続けること、約一ヶ月。


「うーんちょっと待ってください。一応ここは初級者がレベルを上げるのに最適な場所として有名でして、スライムとかスライムとかなんか可愛い系のモンスター、それなりに凶暴だけどこわくないよー、大丈夫だよーなやつしか出ない筈なのに、なんで初心者だと速攻お陀仏にさせられるゴブリンがいるのでしょう? いかがお考えですかノアール殿」

「死にたくなければ自分でも走ってくださいっ!」


 俺の黒のマントを掴み必死に逃げ飛ぶノアールに対し、「なにこれめっちゃ楽」と状況判断にいそしむ俺。


「あ、ノアール。お前確か巨大化できなかったけ?」

「できますけどゴブリンごときでしたくありません!」

「えーでもぉ、大きくなってくれないとぉ、マスターが死んじゃうよぉ?」

「その口調苛立つのでやめてください!!」


 「わかりましたよ!」と俺を勢いよく空中に飛ばし、大き目な魔法陣が発動したかと思いきやノアールが大きくなった。うわ。おもってたよりでかい。宿屋の部屋には絶対入りきらない大きさだなこれ。

 大きくなったノアールの背中に着地した俺は、地上でキーキー言っているゴブリン集団をみて首を傾げる。


「ひい、ふう、みい、よ、うーん? 十、二十、いやもうちょいいるな。ゴブリンは集団で動くが、精々十匹程度の集団のはず。二十匹以上はどう考えても可笑しい。出現場所も本来はBランクの冒険者が行くような所だけ。だが、初心者冒険者のレベル上げしやすい門の近くに出現。やだー、面倒臭いにおいがするー」

「何故ゴブリンの生態に……あぁ、魔王でしたね」

「俺もたまに魔王だってこと忘れる。というか忘れたい」


 「いや、忘れてはいけないと思いますよ」とかいうノアールに「さーせん」と返しつつ、一応倒しておくかと杖をゴブリンたちに向ける。んー三十匹くらいに増えてる。これだけいれば統率者がいるはずだなー、どれかなー、あ、いたいた。ちょっと他のより装飾品多めで、腹の出た奴。あれだな。


「ノアールもうちょっと高く飛べるか? 三十匹まとめて攻撃したい。あとあそこにいる小太りのゴブリンから目を離すな」

「かしこまりました。急上昇します、少し踏ん張ってください」


 グンッ! とノアールが高度を上げた。よし、半径二十メートル範囲内に冒険者なし。木々もまばらで見晴らしもいいから自然への影響も少ない。はず!


「んじゃまぶっぱなすぞ、≪アース・アビス≫」


 魔法陣が空中に発動し地面が揺れ、抉れた。その中に落ちていくゴブリンたちに追い打ちとして「≪アース・ニードル≫」と唱えると地面が針のようになり、ゴブリンたちを突き刺していく。うえ、グロイ。


「魔王がこれしきの事で吐きそうになってどうするんですか。というかそろそろ冒険者として慣れてください。あ、私の上で吐かないでくださいよ?」

「うっぷ、がんばる……小太りゴブリンは?」

「他のゴブリンと同じく地面の穴の中に落ちていきました。あ、ほら。あれです。お腹にいい塩梅で刺さってますね」

「いやー! グロテスク!! みないよ! 絶対見るもんか!」

「しかしゴブリンを討伐したので証拠としてゴブリンの装飾品、または体の一部を回収しなければなりませんよ」

「……むり」

「魔王でしょう」

「だからあれは若気の至り!!」


 「いいから早く回収してしまいましょう」と地上へ降り立ったノアールに「むり、」「ひぇぇぇえっ」と叫びつつも、小太りゴブリンの装飾品を回収し、抉れて中は針山という地面を更地にもどし、ちょっとなやんで「≪アクア・スフィア≫」を唱え、ゴブリンを水の中に全部入れてしまう。

 ちなみにノアールが「食べちゃダメですか?」と聞いて来たので「ばっちいからだめ! あとで果物買ってやるから!」といさめておいた。そういえばカラスって雑食か、でもゴブリンを食べるのはちょっと……獣系なら許したけど。


「よし、これでゴブリン全部回収したか?」

「マスター、悲鳴を上げていた割にはちゃんと片づけるんですね」

「だってここ初心者用の場所だし、門が近いからな。下手に死体の山放置しとくとレベルの高い魔物が寄ってくる可能性もあるし、でもこれどこにおいてこようか」


 ゴブリンで膨らんだ水の球体は地面に転がっている。浮かしてもいいんだけど、その分のMPがなぁ……。


「ギルドに出しては? どうせ門の近くにゴブリンが発生した。と伝えて調査を依頼しなくてはいけませんし」

「やっぱりそうなる?」

「そうなりますね」

「転がして持っていってだめ? 転がるのか謎だけど」

「あぁ、マスターはまだ縮小魔法使えないんでしたっけ。マジックバックも持っていませんでしたね。失礼しました」

「マジックバックはCランクから配布だよ。そろそろランク上がるとは思うけどさ」

「ではマールさんを呼んできましょう。あの方変態ではありますが、Bランクの元冒険者らしいので」

「……うそでしょ」

 「少々お待ちください」と元の大きさに戻ったノアールはマールを呼びに飛び立った。


 変態マールがBランク冒険者とか……人は見かけによらないとはこのこと。あ、人のこと言えねぇわ。俺も一応魔王だったわー忘れてたわー、あはははは、はぁ。



 


ラ「グロ耐性ありません」

ノ「魔王の時はどうしてたんですか?」

ラ「調子乗ってたから特に問題なかった……」

ノ「所謂テンションマックス、ハイな状態ですか」

ラ「そんなジャンキーみたいな……みたいだったんだよな……辛い」

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