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本編 入学と言う名の転入

ヴィリム・ディオノスにとって初の学校に通う日になる。これから通う学校はクラスが初等部入学時からクラスが持ち上がりのため、途中で入ってくる人は転校生以外あまりいないので入学式と言う概念が中等部が無いため転入生として紹介されるとアルノルトから聞いていて不安に心が潰れそうになっていた。

「アル…助けて」

「どう助ければ良いのか分からない」

入学式が無いため始業式が行われるのだが、それには出席せずに一時間目のホームルームに間に合えば良いため学生が一人もいない通学路をゆっくりと途中まで付き添ってくれる予定でいるアルノルトと歩いていた。身分を隠して学校学校に行くため登下校時は普段着を着てくれることになっている。その普段着はシンプルだが、整った顔を引き立てるような服装だった。

真新しい制服に身に包み、不安そうな顔でアルノルトを見上げ本音を吐く。

「もうクラスの中の団結や人の集まりが決まっている場所に放り込まれて、こそこそ噂されて孤立確定の私はどう打ち込めば良い?」

アルノルトの前では私と言う一称で話している。アルノルト自身ヴィリムが他の人の前では僕と言うことを気づいている。

「ああ、そう言うことか、伝えるのを忘れていたな」

「何を?」

思い出したように髪をガシガシ掻く彼を不思議そうに見つめ首を傾げる主人に目線を合わせるようにしゃがむ。

「俺にはお前と同い年の妹がいるんだ。だから大丈夫だろう」

「そうだ。お前のことは伝えてある。魔法のことは伝えてないが、この国の隠され愛されている第三王子が今日転入してくること」

余分な単語が入っていたがスルーすることにしたいちいち気にしているときりが無いのだ

「そうなんだ。早く言ってよ。12歳ってことは今年で13歳で半分も離れた妹さんが居たんだね」

「ああ、だからお前が完全に孤立確定は回避されているさ。髪でクラスメイトから何か言われるだろうがあまりかにするなよ?」

コクリと頷き、首から下げているネックレスを服の上から握る。

そのネックレスは魔力を隠すための魔法がかけられており、外さない限り魔力を見受けられないようになっている。魔法をかけられたネックレスは今は亡き会ったことのない母が大切にしていたハート形の中ににダイヤがはめ込まれた物だ。国王である父が母にプロポーズの時に送った品だと父から教えてもらっていた。

「ケホッケホッ…風邪治らなかったな」

「さすがに昨日今日じゃ無理だろ」

通学かばんの他に薬を入れて置く小さめのバックを持たされている。様々な薬が三本ずつ入れられ分かりやすいようにラベルで書かれているため間違えて服用することはないだろう。用意周到な薬師に感謝である。

「咳止め、今回は多めに入れておいた。辛くなったら飲めよ?」

「何時間置くとか無い?」

「無い、学校ついたぞ。職員室…ではなく校長室行くぞ」

「うん、緊張してきた」

初めて王族が所有する王城の敷地外に出る前から手を繋いでもらっている手に力を入れた。

「校長と担任教師はお前が王子だと時期が来るまで他言無用と言ってあるから漏れることはないし少しの間は普通に過ごせるだろ」

「……普通ね。髪、クラスで浮くよね」

「ああ、でも女子からはないだろうな。それにお前の容姿ときたら王妃に似ているから女子からはキャーキャー言われる可能性大」

「アルに言われたくないよ」

通学路を歩いていると通りすがりのお姉さんが、あのおにいさんかっこいい、彼女とかいるのかなっと話し声がちらほら聞こえていた。張本人も自覚あるのか肩を竦めた。

「さぁ着きましたよ?ヴィリム殿下?ここからはヴィオ・シュルツという名をお忘れなきよう」

「いきなり畏まらないで」

てしっとあるの手を叩くとイタズラな顔で笑う。クシャクシャと髪をグリグリし手櫛で整えた。

「失礼します」

「ようこそおいでくださいました。アルノルト君。そしてヴィリム殿下……ヴィオ君。どうぞおかけになって」

「お久しぶりです。先生」

一言も言わず勝手に中に入って行くアルノルトに引っ張られるようにして校長室に入る。

中に入ると白髪の前髪を後ろに流した優しげな先生だ。

「話は伺っています。きちんとクラスもアルノルト君の妹君がいるクラスに入れるようにしておきましたので。それと、担任教師にも他言無用しないよう釘を刺しましたし口が硬いので大丈夫かと思います」

「それは助かります」

「ケホッケホッゴホッ」

二人はアルノルトが先生と言うから昔から知っているのだろうスムーズ話が交わされて行くのを聞きながら咳き込んだ。

「色無しということで他の体が弱い子よりさらに弱いという事があるということなので授業中でも無断で薬を飲んでもいいように教員一同につあえてあります。魔法実技、体育の授業は見学。ペーパーテストで免除ということになりました」

「あり、ゴホッがゴホッゴホッございますゴホッケホッ」

咳が止まらないヴィリムの背中をさする。ヴィリムがあまりに苦しいので薬の入ったバッグを手にかけようとするとそれを制し自身が持っていたバックからなにやら取り出した。それは言わなくてもわかるだろうが薬だ。

「飲めるか?」

「ケホッ…うん…ありがと、ゴホッ」

受け取り一気に飲み干す。次第に収まっていく咳に安堵する。

「楽になったか」

コクリと首を上下させると空になったものをしまう。

「良い薬師になっていたなんて喜ばしい事だ」

「お陰様で、作りがいのある人物に出会いましたよ」

苦笑しつつも少しでも楽になるように背中をさすってくれるアルノルトを優しげに見ていた。

「さぁ、長話もなんだ、担任教師を紹介しようか」

校長のパシッという手を叩く音と同時に入ってきた緑の髪を後ろで束ねた男。

「ノクト・ハーリュスです。よろしく。ヴィオ、さっきから咳していたが大丈夫か?ハハハッ」

見た目からチャラそうな男に大丈夫かこの男という目で見てしまったヴィリムにアルノルトが耳打ちする。

「俺の親友です。見た目に反して口は堅い」

「ハハハッ見た目からチャラいからそう思われるが堅いぜ?まっ行こうか。時間ない事だしよ。お前の大事なガキ預かるぞ」

名簿を肩に担ぎトントンとしながらヴィオを連れ出して言った。

(なんかいろんなところで根回しが……不安に思ってたの馬鹿らしいわ)

俯きながら歩いていると話しかけられた。

「不安か?」

「はい」

「だよな、聞けば一度も学校行ってねーみたいだし。しかもその髪。まぁ、女子が匿うだろ。その容姿だし」

薬鞄をぎゅっと胸に抱え見上げる

「アル…アルノルトにも似たようなこと言われました」

「男子もとやかく言わないだろ。珍しくはあるが。目を惹くしな。一人厄介になりそうな奴がいるが、そいつ以外仲良くやってくれるさ、お前の身分バレたら手のひら返してきそうだけどな」

「そうですか。ならなんとかなるか」

テクテクと長い廊下を歩くと一つの扉の前で止まった[1ーA]と書かれていた。どうやらこれからここが自分の中等部、高等部と六年間一緒になるクラスメイトがいる教室のようだ。

「んじゃ、俺先に行くけど呼んだら来い」

「わかりました」

ヴィリムにって今日一番のメンタルかもしれなかった。

前世の時から自己紹介などが苦手中の苦手なのだ。しかも、前世では何校か集まる中学が一つの学校で持ち上がりで顔見知りなのだ興味の対象になっているに違いなかった。

そんなヴィリムをよそに教室へ消えて行く。

「よお、皆んな!おはよう!もう知っていると思うが転入生だ!」

「ノクト先生ー!女の子ですか!?」

「ハハハッ!ザンネンッ男だ。でも、女の子みたいに可愛かったぞ!」

定番の質問と回答。

(私の容姿ハードル上がったー!)

ぎゅっと胸に抱えた鞄とネックレスを握る。

「ええー!じょあ、髪色はー?」

「それは自分の目で確かめな!」

心臓をばくばくさせながら呼ばれるのを待つしかなかった。

(又もや、ハードル上がったー!)

「と言うわけで入れ!」

呼ばれホッと息をつくが、痛いぐらいに心臓の鼓動が上がっていたが勇気を出して扉に手をかけ開けた。


タイミングを計ったように開けられた窓から風が入り、髪を後ろにさらい。雲によって隠れていた太陽が顔を出し、髪を照らす---


「嘘!銀髪」

「まじかよ!」

「色無しという奴なのか!?」

「本当に存在するのね」

「伝説か何かじゃなかったのかよ」

「でも綺麗、触ってみたい」

教室に入るやいなや口々に隣の子と話していたが、クラスメイトの目には驚きが見えていた。

「ヴィオ・シュルツだ。皆んな髪色でわかる通り色無しだ。魔力がないし、体が弱い。無闇にヴィオ君に対して魔法を行使したいように。それと体が弱いため、授業中でも薬を服用するから。嫌味を言うんじゃないぞ、じゃあ自己紹介な」

「はい。ヴィオ・ツュルツです。学校に通うのは今日が初めてなので同世代がたくさんいることに驚きです。これからよろしくお願いします」

自己紹介を終わると、パチパチとクラスメイトが拍手する中一人していない子がいた。

(多分あの子が厄介なのかな?)

「それじゃあ、カールの後ろにだな。クラスの人数は31人で強制的に一人になるが、カール手を挙げてやれ」

「はい」

ピシッと手を挙げた少年はひょこっと顔出し濃い水色の髪を見せニコニコしていた。どうやら拍手をしなかった少年と同じ列のようだった。

(うん、運が悪い)

ポンと背中を押され歩み出しならために差し掛かり通りすぎようとした時足を引っ掛けられた。

「うっわ……」

ステンと転ぶことがなかったが両足両手をつく形になった。打ち所が悪かったのか右膝がヒリヒリする。

「あー悪りー足が出てたわ。お?これなんだこれ誰のだ?」

あからさまにそういい。先ほどまでヴィリムが持っていたものなのに拾い上げ、そして口を開け、中身を逆さまにした。

「おい!いい加減にしろ!ミハイル!」

中身を逆さまにした時、手を挙げていたカールが大声を上げこちらに来た。

「お前、何が嫌なんだ。しかもヴィオが持っていたものだろ!」

「はっ!当然だろ?色無しが学校なんて贅沢してんじゃねえよ。今までいい子にして家で寝てりゃーよかっだんだ」

その言葉にガシッと胸ぐらを掴んだ。

「色無しが…ヴィオが学校に通っていけないなんて誰が決めた?それにその鞄薬入れだとわかるだろうが!」

「あーこれ?」

手に持っている鞄をつまみながらフラフラさせ、下を向き足元に転がっていた瓶をガンッと踏み、ガラスは割れ中身が溢れる。

瓶のラベルには咳止めと書かれていた。

「あっ…」

廊下で先生が入って行った時に確認したが咳止めは多く入れられていたが二倍の数6本しか無かった。そしてアルノルトと離れたから職員室でしばらく待たされた時に咳がひどくなり飲んだ。咳止めが破られ4本しかなくなった。

「咳止めが・・・ゴホッ」

「おい!マジでいい加減にしろよ!」

「へいへい」

いつの間にかノクトが近くに来ていて割れたガラスの破片と溢れた液体を綺麗に片付けていた。

「まぁ、二人とも、ヴィオ君が怯えてるから。ミハイルお前もやってはいけない事くらい理解できる歳だよな?そんな子中等部にいるか?」

「ッチ、スミマセンデシタ」

どうやら謝る気は無いらしい。ため息をつきたい気分だが、席を繰り返してしまいそうでできない。

「ヴィオ君、あと咳止め何本?」

「4本です」

「そうか、ホームルーム二時間だから終わったら下校だから良かったな。って、どうなんだろ?」

「何とか、頑張ってみます」

トントンと背中を押して席に着くように促すがそれがトリガーとなって咳が出た。

「ヴィオ君いこう」

薬が綺麗に入れられカールの手に持たれていて手を引かれ席に着く。

「鞄をここに掛けておくよ。俺、カール・シュティール。カールって呼んで。ヴィオって呼んでいい?」

「うん、いいよ。カール、ありがと」

「いやいや、どうって事ないよ。髪綺麗だな」

「そうかな?ありがと」

カールと話をしていると周りから視線が突き刺さると感じた時、一時間目の終了の

鐘がなった。

「そんじゃ皆んな15分の休憩なー。次の時間かかり決めるぞー」

先生はそういい出て行った。

シーンだと静かになった教室。ガーッと椅子を引く音が響くと茶色の髪の一人の少女が近づいて来た。

「おはよう。初めましてリリア・ディックハウトです」

「ディックハウト……っあ!」

普段苗字を呼ぶことがないので忘れていた。ディックハウトは宰相とアルノルトの苗字。

「もしかしなくてもアル…ノルトさんの妹さん?」

「そうです。転入してくると聞いて今日とても楽しみでした。父やアル兄様はあなたに何度かあった事あるのにわたくしだけ会えなくて」

ションボリとしたような眉をひそめた時の彼女の顔はアルノルトに良く似ていた。

「平日にお邪魔することが多かったので、アルノルトさんには良くしていただいています」

「いえいえ、あの兄でいいのなら風邪なんて幾らでも引いてもいいです。ではこれから仲良くしてくださいね」

そういうと悠々と教室を出て行く。

すると瞬く間にヴィリムの周りはクラスメイトに囲まれた。

「学校に行くの初めてって行ってたけど勉強大丈夫なの?」

「何なら私が教えてあげようか?」

「やっぱり魔力とかないのか?」

そばにくると即質問攻めで、何から答えていいか分からなくなってカールを見ると苦笑していた。

「集団生活に慣れてないヴィオにいきなり質問攻めはダメだぞ」

「あ、じゃあ私から!」

カールが助けに仲裁に入ってくれ質問が止まり、一人の女の子が質問して来た。

「学校に行くの初めてって言ってたけど勉強大丈夫なの?」

冷や汗をかきながら質問の答えを少し頭の中で作り答えた。

「もしあれだったら私が教えてあげるよ!」

質問をして来た彼女の隣にいた彼女がそう行ってくれた。顔を見合わせ楽しそうに笑った。

「大丈夫。一応家庭教師に教えてもらってて体調がいい日にやってたから授業はきちんとついていけるよ」

ついていけるよというよりは超えているので退屈しないか不安な面あるが授業は楽しみだ。

「そうなんだ。頭いいんだね」

少し残念そうにそう言われた。

「で、でも、休んだりしたらノート見せてくれるかな?」

「勿論!いつ休んでもいいように綺麗に書かなきゃ!」

ヴィリムに頼りにされたことが嬉しかったのかすごく声が弾んでいたりしていて胸をなで下ろす。第一位印象でなどとの関わりが決まるのはよく知っていたことが功を制した。

「じゃあ次俺!魔力がないの本当か?」

その質問は必ずくると踏んでいたが質問されるとヒヤリとした。

「うん、魔法を行使する時魔力の流れを感じるって言うけど分からないんだ」

「そうなんだ」

そう言って謝ってくる彼に首を振ると悪目立ちしていた彼が近づいて来たため、クラスメイトは場所を譲るように輪が切れる。

「はっ!本当に銀髪なのかよ!?染めてるだけじゃねえのかよ!?」

ガシッとヴィリムの髪を掴み引っ張る。力が強く少し体が浮く。

「ッィ!たっ!」

「ちょっと!ヴィオ君に何するのよ!」

女子が庇う形に立ってくれる。パッと手を離され空いていた腰を元に戻し髪を整えた時チャイムがなり、リリアとノクトが一緒に入って来た。

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