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序盤4 魔法

ブックマーク8件

総合評価16pありがとうございます!

自分には魔法、魔力がないという現実を知ったお茶会から数日が経とうとしていた。

本来なら3歳から剣術などの稽古をやり始める年頃だが、体が弱い為かまだ、模擬剣すら触れたことがなかった。勉強も取り組んでいないので朝から部屋でゆっくりと過ごしていたが、お茶会があった日の夕方のことを思い出していた。


あの後、父である国王の執務室に呼ばれ部屋に来ていた。

「ヴィオ、お前の存在については話は聞いたな?そこでだ。魔力はないが知っているのと知らないのでは違う。知識として魔法の勉強を開始しようとおもう。どう思う?」

「えっと………全く知らないよりはいいと思いますが魔法以外の勉強はしないんですか?」

目を見開く父は

「おや、他の勉強もしたいのか」

「はい、僕は兄様達と違って体が弱いので知識は早めに得たいと考えます」

幼児が発言する内容ではない事をよく言うのはわかっていた。根本的な幼い子供のイメージ通りの部分もあるが、それすらかすらない大人な末の我が子。

産まれながら不思議な子だった。夜中もせず、ふとした時に一人になってしまっても動じない子供だった。それ故に誰にも頼らない子でもあり心配で仕方がない。

「まぁ、魔法とマナーとダンス。この三つをやろうか」

「はい、父様」

にこりと笑った末の我が子の笑みに疲れたからだか癒される。その笑みにつられ国王も微笑みを返した。


名を呼ぶ声に思いにふけっていたが現実に引き戻され声のした方に振り向くと一人の侍女が此方に首を傾げていた。

「どうかしましたか?ヴィリム様、お加減でもお優れになりませんか?」

「ううん、少し考え事してただけだから大丈夫」

そう問われ首に振ると安心したように息を吐くのがわかった。異常なまでに心配性の家族や城のもの達に苦笑するしかない。

「そうですか、なら良いのですが、もう時期魔法の勉強を教えてくださる宮廷魔法士様方がお見えになりますのでご準備の方をお願いいたします」

侍女の言葉に違和感を覚えたヴィリムは首を傾げて侍女を見ると、彼女も首を傾げた。

「宮廷魔法士方って?一人じゃないの?」

「はい、初日である今日は挨拶を兼ねてということですとお聞きしております。その後については代わる代わるだそうです」

頷くとにこやかに退出をして行った侍女がいた場所をじっと見つめため息をついた。

(関わる人は限られてるみたいだなー。隠されているけれど疎外されてるわけでないからいいんだけど。なんだか寂しいな)

座りながらパタパタと窓の外を見る。窓の外ではのびのびと小鳥が空を飛んでいた。

「私はこのまま、籠の鳥でいるしかないのかな」

深く重くため息をついた時、天井がゴトリと音を立てた。

「な、何?」

ピクリと驚き朝から飛び立ち、壁際で背中を守り、周囲を見渡た。その時コンコンと扉をノックされる音が再び部屋には響く。

「は、はい!」

上ずった声を上げ入室を許可を出したが、膝がガクガクと震えているのが自分でも分かる。その緊張を崩すように見知った顔の父付きの執事クラシスが入って来た。

「失礼いたします。宮廷魔法の皆様方をお連れしました。おや?そんな所で何をなさっているのですか?」

「う、ううん、な、何でもない」

不意を疲れたのがいけないのかきちんとした返事をすることができず怪訝そうな顔で此方を見ていた。

「そうですか。何かあれば言ってくださいね」

「わかってるよ。ありがとう、クラシス」

そうですかと引き下がったクラシスは退出していく彼にひらひらと手を振り見送った。

「お初にお目にかかります。我々は宮廷魔法士でございます。ヴィリム殿下。週二回代わる代わる勉学の指導されていただきます」

「よろしくお願いします」

一向に名を名乗る気配を見せない宮廷魔法士五人に少し冷たい目^_^思想になるが何とか止める。

「お名前をお聞きしても?」

「名乗る気はございませんよ。お好きなようにお呼びください」

冷たく言い放たれた言葉の見えない刃で臓腑をえぐられた様な刺さる感覚に駆られた。

況してや、国民には公表はされてはいないが、一国の王子である人間。本来なら自ら先にはなる様な立場にないはずのヴィリムが名乗りことがあってはならない。彼らの態度は王族に対してはならない事をしている。しかし、彼らは魔力もなく自分自身で守る体術なども身につけていないヴィリムの守る警備体制をの魔法関係を一手に引き受け、自分たちの魔力を張り巡らせ、何が起きてもいい様に彼が行き来する場所には魔力が充満している事によって結界の役割を果たしていた。

宮廷魔法士という仕事は多忙だ。魔力を充満させるにはその場所で魔力を解き放つ行為が必要でその場所に足を運ぶという作業がいる。その工程をしている暇があるならば別の仕事に時間を当てたいと思うのは当然だとは思うのだが、この態度は流石に頂けない。

(私の前でこの態度は構わないよ?でも、他にされたらどうなることやら。私は知らないよ)

「じゃあ、その場その場適当に呼ばせてもらいます。僕のことも勝手に好きな様に呼んで構いませんが、もし、そうだね?兄様達やクラシスが見学したいと言い出した時困るのは貴方方だよね。僕は名を聞いた」

その言葉を聞いた宮廷魔法士達はピシリと凍りついた様に固まる。

「確かに僕は貴方方に守られているから、余分な仕事を増やす僕にその態度を取ってしまうのは仕方がないかもしれない。けれど態度はあとあと返ってくるかもしれないね?」

何も理解できていない子供と思っていた。しかし、彼は普通か子供よりはるかに勝る頭脳を持っているかもしれないとこの場にいた五人は思った。彼が置かれている立場と自分の置かれている立場は違いすぎる。王子と宮廷魔法士の関係でしかない。彼の方が立場は上というのは変わらないのだ。彼はそれを理解しているのだろう。

「申し訳ございません。ですが折を見てきちんと名前を紹介いたしますので」

「わかった。きちんと紹介してね?」

「勿論、名前をお伝えいたします。では、授業と言っても今日は魔法がどんなものか見てもらうだけですので、楽しんでくれたらと思いますよ」

先ほどとは違う。柔らかな優しさに包まれた微笑み。

(もしかして、何か探りを入れたのかな?)

そんなことを考えていると深い青色の髪の宮廷魔法士が何やらブツブツと唱え始め、彼を中心として渦のように下から上へと水が流れた。

「わぁ、すごい!」

キラキラと青い光の粒がヴィリムの周りに現れ、そして色無しの銀髪にジワリと染まるように深い青色の彼と同じ髪色に変化した。

「ヴィリム殿下。一体……」

「なに?でもすごいな、僕もそんな風にできたら良いのに」

少し焦ったようにヴィリムに深い青色の彼がヴィリムに話しかけ、その続きが出てこない彼に首を傾げ無邪気に笑ってみせる

その時、先ほど彼が見せてくれた魔法がヴィリムを中心に起きた。

「ふぇ?!見せてくれるだけで楽しいですよ」

「いえ、私は何もしておりません」

「え?」

深い青い色の彼の隣にいた真紅の髪色を持つ彼は何にかを考え込むように手を顎に当てじっとヴィリムを見つめたと思うと徐ろに手をかざし、ブツブツ唱えた、

呪文と共に鳥の姿をした炎が現れた。これまたすごいと思ったヴィリムの周りに先ほどと同じように今度は真紅の輝きと髪色に変化したのだ。

その変化に五人の宮廷魔法士は目を見開き顔を見合わせる。金髪の宮廷魔法士は足早に近づくと、細い腕に軽く力を加え引き寄せるように椅子から立たせるとそのまま出口に向かってしまう。

(私、何かやらかしたのかな?)

自分自身の変化をわかっていないヴィリムは不安そうに引かれるまま部屋を後にし、廊下を歩く。その道は国王の執務室がある区域に繋がる廊下だった。宮廷魔法士の少し驚愕と慌てた様子に、もしかすると魔法な勉強もまともにできないのかと背に冷や汗が流れる。

国王の執務室の扉まで来ると宮廷魔法士は大きく深呼吸したが、その顔は深刻そうではなかった。

「国王陛下失礼いたします!」

「入れ」

その言葉に反応して扉を開けると眉間にしわを寄せた父王が椅子に座っていた。

「それで、我が息子に何があったのか?」

「いいえ、国王陛下。ヴィリム王子にとって悪い話ではありません。むしろ喜ばしいことやもしれません」

「それはほぼ確信して良いことです」

口々に嬉々として話す宮廷魔法士達は何度か嬉しそうや声色で話し本当にいいことなのだとヴィリムは思った。

「ふむ、喜ばしいことか、それは良かった」

「ええ、本当に」

「それは何だ?」

国王陛下の問いかけに隣にいた真紅の髪色の彼がヴィリムの髪をくしゃくしゃとしながら口を開く。

「ヴィリム殿下は大変珍しい髪色。銀髪で産まれましたが。さらに珍しいお方かもしれません」

その言葉に父王は大きく目を見開く。

「まさか……」

「そのまさかです。ヴィリム殿下は魔力をお持ちです。全ての属性を試したわけではありませんが今の所。火と水は使用可能と判断して良いでしょう」

「ええぇー!!」

ヴィリムの声が響く。父王は驚きはしたものの。優しい目でこちらを見ていた。

「確かに体が弱いことには変わりありませんが、魔力を持っているということは自分自身の身を守ることは可能になるでしょう。それでも私どもはヴィリム殿下の無体を引くつもりはありません。ヴィリム殿下には最低限の防衛です」

「そうかそうか。良かったなヴィリム。私は嬉しい。魔力なくてもきちんと守るつもりでいた。お前には苦労かけたな。お前を守りたい気持ちは魔力があっても変わりない。魔法の勉強頑張って行え」

その言葉に内心ため息を吐く。

(過保護には変わりないね)

「はい!僕も兄達と違うので、引き目を感じていたので魔法が使えると知って嬉しいです!」

その言葉にふむふむと頷く父王であった。

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