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ゆるふわお姉ちゃん(年下)と行く異世界紀行  作者: kdorax
3章 リアルJKとゴブリンの王
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第33話 報奨金もシケてるし

「それじゃーあとは男の子をー連れて帰るだけですねー」

「「「「「……」」」」」

「あれー? まだ何かやっておくことがあるんですかー? まさかーあの奥からーもっと強いゴブリンさんがー」


 イチゴちゃんは自分の発言に賛同せず黙り込んでしまった他の五人の雰囲気に不安を感じてしまう。

 状況を理解出来ていないイチゴちゃんのためにまず不安を解いてあげることにする。


「いや、もうこの洞窟の中に生きたゴブリンはいないよ。だから奥から何か出てくるってことはない」

「じゃー何で黙っちゃうんですかー」

「それはねイチゴちゃん。ここはおそらく山賊が拠点としていたところよ」

「それでー?」

「だから山賊が奪った荷物または金、もしくはその両方が残されている可能性が高い」

「なるー。それを自分たちのものにしてしまう訳ですねー」


 イチゴちゃんも気づきがなかった割に、言われたら飲み込みが早い。

 反対されるとうるさかったのだが、これからやることに文句を言われることはなさそうだ。


「ああ。一連のゴブリンとの戦いは報奨金が出そうに無いからな。取れる所から取っちゃう訳よ」

「ついでに付け加えると領主や街の連中にガメられても困るってことだヨ。ジェシカ、眠り薬は用意できるかヨ」

「上で待っている間に準備済みです」


 そこまでやるかとは思うが、アンジェリカの依頼を受けたジェシカはまだ意識を取り戻さない男の子の口に何か液体を入れる。

 街人に情報が伝わる可能性はどんな小さな一つでも摘み取って置く必要があるということだ。


「目覚まし用の薬の残りは赤レンガに残してきているから、街までは眠ったままとなります」

「良い仕事でございまし」

「それじゃあわたしは左側の方をやるわ。イチゴちゃんも手伝って頂戴」

「アタイは右側を探すことにするヨ。よく分からないものも中央に纏めるようにしてくれヨ」

「そうするよ。俺たちじゃ価値が分からない奴もあるってことだろ」

「なるー。わっかりましたー」

「私めとジェシーは奥を探索するのでございまし」

「何かあればいいですが」


 皆、自分の役割を確認するとそれぞれの仕事に着手する。

 特に作業を決めなかった俺は男の子の周りを確認し、何も無いことが分かると、至るところに散らばったゴブリンだった物を一箇所に集めることにした。

 その作業を進めているところで、ベアトリクスとジェシカが不満気な顔をして戻ってきた。


「早かったが空振りだったのか?」

「あったにはあったのでございましが……」

「ゴブリンの便所でした」


 言葉を濁したベアトリクスの代わりにジェシカが単刀直入に答えてくれる。


「ここの悪臭がキツくない理由が分かったよ」

「山賊たちが使っていた頃には別の用途の空間だと思うのでございまし」

「あそこで行き止まりのこの洞窟では容量に限りがありますもの。やはりゴブリンの頭の回転はイマイチです」

「はあ……皆を手伝うのでございまし」


 一息の溜息をつくとベアトリクスはアンジェリカの手伝いへと向かった。

 一方ジェシカは倒れているゴブリンの王の元へと移動し、しゃがみ込むとその死体の観察を始めた。

 死因は明確であるが検死をするみたいだ。


 俺が引き続きゴブリンの死体を集める作業を行っていると、ジェシカが検死を終えて立ち上がるところに出くわした。


「終わったようだが、何か分かったことでもあった?」

「推測でしかありませんが聞いておきます?」

「ああ。後でも聞けるけど、今のも急ぎの作業って訳じゃないし」


 一応まとまったスペースを確保する観点で手を出した作業であるが、今行っているゴブリンの死体整理はやってもやらなくても良い作業である。

 面白そうな方向に転ぶことを期待して、俺はジェシカの話に耳を傾けることにした。

 そんな俺の姿を目ざとく見つけたお姉ちゃんとイチゴちゃんが近づいてくる。


「何かー面白いことでも話してますー」

「密談はよくないわよ~ケイ君」

「いや、ジェシカがゴブリンの王について何か分かったみたいだから聞いておこうかなってだけ」

「じゃあわたしも一緒に聞くわぁ」


 ジェシカの話を纏めるとこうだ。

 王はこの世界のゴブリンとは一線を画す存在である。

 この世界での最大サイズは将軍と呼んでいた方で、これはこの世界で生まれたゴブリンに間違いない。


 では王は何者か? という考えを張り巡らせたとき、出る答えは一つ。

 王が転移者であるということだ。

 ついでに持っていた幅広の長剣は王が持ち込んできたものらしいので高い価値がある。


「この無駄にでかいだけの剣に価値があるとはね」


 俺は転がっていた長剣を手に取る。

 ズシリと重たさを感じるが、俺であれば使えないということはないので試しに振り回してみる。

 重量があるため振り回す度に身体も一緒に持っていかれそうになるが、そこは上手くコントロールする。


「すごいですねー。強そうですねー」

「気にいったのなら自分のものにしちゃえばぁ?」

「こんなもの嵩張るだけだし、そもそも俺には必要ないから要らないよ。売り飛ばそう」


 剣が無くとも魔物を始末するのに不自由はしないので、荷物になるだけの武器は必要がない。

 だからこれもベアトリクスとはアンジェリカの許可を得られたら売り飛ばすことにする。

 どうせプリメロの冒険者の中にコレを扱える者なんていないし賛同してくれるだろう。


「あんまり高価だとー買い取ってくれるところにも限りがありますよねー。見つかりますかね―」

「安心してぇイチゴちゃん。わたし達は武器に詳しく金貨一千枚は溜め込んでいる人を知っているはずよ~」

「あーそっかー。そのまま武器屋さんにー持ち込めばいいのかー」

「そういうこと」

「分前は他の拾得物との兼ね合いになると思うがな」

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