心配事
俺が家に帰ると、日向と母さんがすごく心配していたようで、特に日向は安心感からか、俺に抱きついた状態で泣いてしまった
「そんなに泣くなよ、日向」
「だって、にぃが、全然帰ってこないか、ら」
あ、寝た。緊張が解けたからか、泣き疲れてか
「日向ってば、零が今から帰るって電話で言ってから中々帰ってこないから、にぃ、にぃって言って零に去年貰った誕生日プレゼントのぬいぐるみ、あれを抱いて泣いてたのよ」
母さん、日向が泣き疲れて眠った瞬間に日向が秘密にしそうな事を暴露して、日向拗ねるぞ
「じゃあ俺は日向をベッドに運んでくる」
「日向の頭に気を付けてね」
「わかってるよ」
俺は日向を抱えて、二階の日向の部屋に入ろうとして、立ち止まる
そういえば、最近日向は部屋を片付けるまで入るなって言ってたな。気にはなるが、やめておこう。俺のベッドに寝かせるか
日向をベッドに寝かせ、下に降りようと立ち上がろうとしたが
「にぃ、だ、め」
「寝言か。ふっ、大丈夫だよ日向、俺は帰ってきたから」
そう言うと、俺の服を掴む日向の手の力が弱まったようだ
「さてと、風呂でも入るかな?」
◇
俺は、犯人の手を銃で撃ち、麻弥を助ける事ができた、でも、犯人の手を撃ち抜いた時、ゲームで感じる高揚感とは違った何かがあった。もしかしたら俺は
「零、お風呂からあがったら洗濯物を入れてくれる?それと、もうすぐごはんできるから、日向も起こしてあげて」
「了解」
この事はあまり考えないようにしよう、考えても何も出ないだろう
そろそろ出るか
洗濯物入れて、日向も起こさないとな
洗濯物を入れようと、外に出た俺は、ものすごい光景に立ち尽くしている
「うわぁ、どんだけ溜まってたんだよ。入れ物ひとつじゃ足りなさそうだな」
俺は何度かに分けて洗濯物を入れ、日向を起こすために、自分の部屋に入ると、日向はそこにはいなかった
あいつ、降りたのか?でもそれだと母さんが降りてきたって言うはず。じゃあ、自分の部屋に戻ったのか
そう思い、日向の部屋の前まできたが、入るのはだめだし、ノックでもするか?
コンコン
「日向、そろそろ飯だぞ」
反応がないな、仕方ない、降りよう
「日向、自分の部屋に入って寝てる」
「そう?さっきはお水飲みに降りてきたのに、早いわね。もう一度呼んであげてくれる?」
「はいはい」
日向はさっき水を飲みに降りてきた、なのにどうして、もうすぐできる飯を待たないんだ?
コンコン
「日向、いるのか?もうすぐ飯だぞ。寝てるのか?開けるぞ」
ドアを開けると、部屋は片付けられていた、入っても大丈夫だったみたいだな
「日向、起きてたなら返事くらいしろよ、飯だぞ、降りてこいよ」
日向は黙って両手を俺のいる方に拡げている。抱っこして欲しいらしい
「ったく、小学生の間だけだぞ?」
日向を抱き上げると、肩が濡れてきた、日向は声を出さずに泣いているようだ
「まだ泣いてるのか?じゃあ、ちょっと母さんには待っていてもらうか」
俺は日向を抱えたまま、床に座り込む
◇
しばらくして、日向が顔をあげた
「もう大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
二人で一緒に階段を降りて、母さんの手料理の並ぶテーブルへと向かう
「もう、遅いじゃない、どうしたの?」
「なんでもないよ、私お腹すいたから早く食べよ」
「あぁ、そうだな、さっさと食おう」
二人で何事もなかったかのように、いつも通りの食事をした




