おやすみなさい
日向と俺は母さんの長話を少しでも短くするためにも風呂に入って、短時間で風呂から出られるようにすれば、母さんは風呂から出てきた俺達に気が向いて話を中断してアイスを出してくるはず。それまで麻弥には母さんの長話に付き合ってもらおう、母さんがすぐにアイスを出してくるから麻弥も怒る暇なくアイスに食らいつくだろう
「にぃ、入浴剤切れてるけど、どこかに買って置いてなかった?」
ん、なんで入浴剤を入れるんだ?さっき母さんが入ってたから入浴剤も入れて・・・ないな
「洗面台の下にシャンプーと一緒に入ってるだろ?」
「あ、あった。にぃ、桜とゆずがあるけど、どっちがいい?」
どっちでもいいから早く風呂入って麻弥を助けるついでにアイス食おうぜ?
「じゃあ、桜で」
「オッケー、にぃ、入浴剤入れてて、私服脱ぐから」
あ、ネコマルだ、桜の香りの肉球型入浴剤って、ネコマル使う必要無くね?・・・日向、ビニールを剥がしてから渡してくれよ、俺、これ剥がすの苦手なんだよ
「にぃ、今から私入るからお湯、使わないでね」
「あぁ、わかった」
日向が浴室に入ってきた時に俺は、日向の体に少し疑問を抱く
「日向、その脚どうした?」
「え?あぁ、これね、昨日ちょっと机にぶつけちゃって、たぶんその痕だよ」
日向、お前本当に嘘が下手だな。日向が嘘を言うときは絶対に嘘の元となる場所をみつめて目を合わせないからすぐにわかるよ、たぶんじいさんから遺伝した前髪の一部が赤い事で虐めを受けているのか、それとも他の事で暴行を受けたかと言った所だろう
「そうか、周りには気を付けろよ」
「う、うん」
◇
「ふぅ、お風呂ちょっと熱かったね、アイス食べたい」
「俺はいい感じに暖まったけどな」
「あら、もう出てきたの?それじゃあ、アイス出してあげるね」
俺達が風呂から出てきた事に気付いた母さんは、アイスを取りに冷凍庫へと向かう
「はぁ、やっと開放されたぁ~、零ママって相変わらずお話長いね~、よく買いものの事だけで話続けられるよね」
「そう愚痴るな、もうすぐでアイスが食えるぞ」
「麻弥姉ちゃん、アイスだよ、ほらニコニコして?」
あれ?いつもならすでにアイスの入った入れ物を抱えた母さんが出てくるはずなんだが、ちょっと遅いな
「あれ?お母さん遅いね、私ちょっと見てくるね」
日向が母さんを追って台所に向かってすぐに戻って来た
「どうだった?」
「なんか、パフェ作ってた」
・・・・マジかよ
「パフェ!?」
「うん、どんなパフェかはわからないよ?パフェの容器にアイスを入れる所だったから」
「はぁ、がんばるなぁ、さすが元総料理長最有力候補だったことだけあるな」
まぁ、母さん本人が言ってた事だし本当かはわからないが、すごかったんだな
「零、今日は一緒に寝よ?」
「麻弥、いきなりどうした?」
「そうだよ、にぃと一緒に寝たら、麻弥姉ちゃんに何するかわからないよ!?」
日向、覚悟しとけ、今夜は確実に寝込みを襲ってやるからな
「だって、零が一緒にお風呂に入らない変わりに一緒に寝るのはいいよって言ってたもん」
「いや、一緒に寝るのはいいけど、一緒に風呂に入るのは無理だって言ったんだけど」
「にぃ、細かい事を気にしてたら女の子にモテないぞ」
今でも女子からの質問攻めに苦戦してるのにさらにモテたら俺、絶対に頭の中グチャグチャになる
「みんな、アイスだよ~」
「アイスだ・・・おぉ!!凄い!おっきいパフェだぁ!」
「本当だ、凄い!!美味しそう」
日向と麻弥がパフェを見や否や即座にテンションが上がって、二人とも椅子に座る
「お前ら、テンション上がりすぎだろ」
「零はこの美味しそうなパフェを見てテンション上げずにいられるの!?」
「これを見てテンション上がらないなんて、にぃの心は絶対零度の氷か!」
なんでパフェひとつで俺はメチャクチャに言われるんだ?俺、甘い物って嫌いじゃないけど、好きでもないんだよな
「零にはビターチョコソースかけてあげたからね」
「あぁ、ありがと」
うん、うまい、甘い物に甘い物は無理だけど、甘い物に苦いチョコはうまいな
「にぃ、明日は勉強教えてよね」
「わかってるよ、日向は数、理、社が苦手なんだよな、俺も理科は苦手だか、教科書があればなんとかなるだろ」
まぁ、苦手って言っても、日向はテストでは平均点は取ってくるから大丈夫だと思うんだが、でも俺が教えた所は絶対に外さないから日向からすれば俺は必要なのかな?
◇
「それじゃあ私、先に寝るね。おやすみ」
「おやすみ、ヒナちゃん」
「おやすみ、悪夢を見ないように気を付けろよ」
階段を上がろうとしていた日向の足が止まる
「にぃ、私も一緒に寝ていいかな?」
「俺はいいけど」
「私も大丈夫だよ!」
と言うわけで三人仲良く寝ることになりました
◇
「じゃあ、日向と麻弥が先にベッドに詰めて入れ、俺も入るからスペース残しとけよ」
二人ともベッドに入るのに続き、俺も入るが、やっぱり狭いな
「にぃのベッド壊れないかな?」
「そうだね、三人も乗ると壊れちゃいそうだね」
「大丈夫だ、いつもの俺とチビ二人追加されただけだから」
麻弥と俺に挟まれていた日向が、俺のあごに頭をぶつけてくる
「日向、そろそろ仕返しするぞ?」
「にぃの口が悪いのがいけないんだよ」
「ほんとだよ、零は本当に口が悪いよね」
そんなに言うならお前らベランダから外に吊るすぞ
「そういえば、にぃっていじられてもすぐに仕返ししないよね。どうして?」
「どうしてって、作戦もなくすぐに仕返ししたら失敗するだろ?だからすぐに仕返しはしないんだよ」
「うわ、怖ぁ」
ふと、時計を見ると時間はすでに12時を過ぎていた
「ほら、麻弥も寝ろ、明日は休みだけど真沙斗達と遊べないぞ」
「なんで私だけに言うの?ヒナちゃんだって、ってあれ?ヒナちゃん、寝ちゃってる」
「すぅ~、すぅ~」
完全に眠りについた日向に気付いた麻弥は、寝た!この二人寝付くの早っ!・・・ふっ、本当に寝顔も可愛いな麻弥も日向も、さて、俺もそろそろ寝ようかな
「にぃ」
「どうした?」
日向に呼ばれて反応したが、どうやら寝言だったようだ、だが、日向は俺の腕を掴んで離さない
「いか、ないで、ここに、いて」
日向はどうやら悲しい夢を見ているみたいだな、目から涙が流れている
俺は日向の小さな体を抱き締める
「大丈夫だよ、俺はここにいる、だから泣くな、日向」
「にぃが、ムキムキまっチョに・・・キモイ」
マッチョのとこ少しおかしかったが、それよりもどこからそんな夢にうったんだ!?・・・でも、なんとか悪い夢を払えたみたいでよかった、俺ももう寝よう・・・・
ちょっと今回は短めですかね?
まぁ、理由は考えも無く(いつもの事ですが)書いていて、長くなってタイトルを付けにくくなりそうだったのでちょっと切りました、すみません
次回は零と麻弥の出会いとそこからの付き合いを書きたいな、と思います
これからもよろしくお願いいたします




