幼馴染み
「学校だるいよな~」
俺は吉田 零先月高校生になったばかりの学校に行きたくないが行かないと金が入らず生活できないので渋々学校に行く系男子です
「そうか?俺はあの学校の女子を見られるだけでも楽しいぞ」
こいつはただのスケベだ、一応名前も言っておくか、荒川 真沙斗小学校からの腐れ縁でよく一緒に遊んでいる
「あぁそうかよ、確かに可愛い女子はたくさんいたけど麻弥とかみたいなそうでもないやつもいるだろ」
突然後頭部を鈍器のような物で殴られる痛みを感じた
「誰がブスよ、本当に零は中学から変わらないね、その性格と顔の悪さ」
麻弥ぁ、遠慮もなくグーパンしてきやがって
「そこまでいってねぇよ、それに人のこと言える立場か?俺達とよくいるくせに男に免疫無いくせに」
新田 麻弥幼稚園からの幼なじみで男にあまり免疫がなく、友達も、少なくとも一緒に遊んでいる姿を見たことはない、幼稚園の頃は暗い性格をしていたが小学校の間で明るくなった。
「うるさいな、もう克服したもん」
「ほぅ、なら試させてもらおうか」
俺は麻弥の腰に手をまわし身体を寄せ、少し成長した麻弥の胸が当たる、もう片方の手は麻弥の後頭部へ。
「目、開けたままするか?」
これから何をされるかわかっているのだろう、顔が赤く染まっている
「え、ちょっ、待って」
顔が近く麻弥の息が俺の顔にかかる
「ん、どうした?」
少し顔を離して目を合わせる
「どうしたって、私キスとか初めてでその、えっと」
やっぱり克服しきってなかったんだな
「ふっ、あはははっ、冗談だよ、本当に麻弥はおもしろいな」
麻弥を見るといたずらしたくなるけど、さすがにキスまではやめておこう、だってさ
「ほら、早くしないと遅刻するぞ!」
「あ、こら零!もう、真沙斗も早く行こ、零を追い抜いてやんなきゃ」
「あ、あぁ」
好きな女の子に傷ついて欲しくないから
◇
ギリギリ遅刻せずに学校へ到着できた
家から徒歩20分ほどの所にある私立高校で家から近いという理由でここにしたが入試は少し難しかった
真沙斗は教室が違うため途中で別れ、俺と麻弥は自分達の教室に入って席に座る
どうでもいい朝のホームルームが終わり、次の授業までの時間はいつもはスマホでゲームをするが今日は家に忘れていて暇だ
「零、ちょっと数学Ⅰのノート見せてくれる?」
「あぁいいぞ、ほら」
麻弥が貸して欲しいのが数学Ⅰ、だが俺はわざと数学Aのノートを渡す
「零、こっちじゃないよ?」
「あぁ、知ってる、お前が貸して欲しいのがこっちだって」
カバンから出した数学Ⅰのノートを麻弥が取ろうとするが俺はノートを遠ざけ取れないようにする
「あぁもう、どうしてイジワルするの~」
「麻弥にいたずらするとおもしろいからだよ、ほら、取ってみろ」
椅子から立ち上がり手を上に挙げる、麻弥は俺より背が低く取れるはずがない
「もういいよ、私が零のせいで卒業できなかったら卒業できるまで勉強教えさせるから」
と自分の席に戻ろうと俺の隣を通り過ぎる
「ごめんごめん冗談だって、ほら、貸してやるから拗ねるなよ」
「拗ねてないし、今度やったら蹴っ飛ばすから」
麻弥が席に着くと同時にチャイムが鳴り、先生が教室に入って来た
「はい、席に着いて下さい、授業始まってますよ」
◇
昼飯前の授業も終わり、真沙斗も入れて三人で弁当を食っていた
「あ、俺水筒忘れてた、はぁ、自販機に買いに行くか」
「私もお茶無くなったから行く!」
「いってらっしゃい、俺はまだあるから食くいながら待ってるよ」
真沙斗が教室に残る事になり、俺は心の中で少し喜んでいた、いつも三人でいるが今は麻弥と二人でいられる
「うわぁ、いっぱい飲み物があるね。私この学校で自販機初めて使うよ」
「そうなのか?俺は結構使うよ、水筒だけじゃ足りないから」
零はいつも買っているジュースを買い、麻弥の方に目をやると、何を買うか決まったみたいだ
「あ、財布カバンの中に忘れてきちゃったかも。零、他の所にないか探して」
「はぁ、自分でポケットとか探せねぇのかよ、ったく。両手広げろ」
俺の言う通り麻弥はかかしのように両手を広げる
「ねぇ、まだ?手が疲れてきちゃうよぉ~」
麻弥が早くしろと小さく何度も跳ねる
「麻弥、お前今の姿が周りからどう見えるかわかるか?」
「え?わかんない」
麻弥は無垢な瞳で首をかしげる
本当にわからないみたいだ、小さい頃から麻弥はかわいいな
「まぁ、いいや。じゃ、調べるぞ」
「え、うん」
麻弥の腰に手をあて思い出す
しまった、そういえばこいつ服の隅々調べるまで納得しない事忘れてた
「よし、もう全部調べたぞ」
「あ、もうちょっとやってよぉ」
やっぱりこうなるか
「何でだよ、ありそうなとこは全部調べたぞ」
「だって零にペタペタされるの気持ちいいんだもん」
なっ、こいつそんな事思ってたのか!まさか、な、麻弥も俺の事が好き、なんてそんな都合のいい話があるわけないか
「あぁ、俺が奢ってやるから何が欲しいか言え!」
「え、うん、これなんだけど」
あぁ、麻弥の好きそうな色んな果物のミックスジュースだ、絶対にめちゃくちゃ甘い
「ちゃんと全部飲めよ、俺はこんなの飲めないからな」
「大丈夫、私これ好きだから」
本当に大丈夫だろうか、中学生の時も結局俺が甘すぎる菓子を食わされた記憶が、まぁ麻弥が食べたとこだけ食べてギブアップしたけど
「ぷはぁ、ごちそうさま~」
全部飲み干したようだ、とにかく一安心と言ったところか
「ふぅ、じゃあ、教室に戻ろうか」
「そうだね、真沙斗の事私すっかり忘れちゃってたよ」
おいおい
◇
「おかえり、遅かったね」
真沙斗が膝の上に女の子を乗せて微笑みかけてくる
「悪い、麻弥が決めるの遅くてな」
「私初めてだから零みたいに最初から決めて行けるわけないじゃん!・・・あれ?真沙斗、その子だれ?」
女の子は真沙斗の膝から降りて麻弥に手を差し出す
「こんにちは麻弥ちゃん、私は柴野 奈々(しばの なな)、真沙斗の恋人だよ、よろしくね」
「え、うん、よ、よろしく」
「そういえば、奈々と麻弥が出会うのは初めてか」
「あの時は俺と零しかいなかったからな、奈々は麻弥に会いたがってたから呼んだんだけど思ったより遅いから俺も奈々も暇だったよ」
奈々が真沙斗に抱きつき悪戯な笑みをうかべる
「私は真沙斗とイチャイチャできて楽しかったよ?」
「奈々、そのへんにしておけ、麻弥が本気で恋人だって思ってるから」
「え、違うの?」
「あぁ、二人はただの幼なじみだよ」
麻弥はそのままフリーズしてしまったようだ、たぶん頭の中を一生懸命整理しているんだろう
「つまり、二人は魔法使いなんだね」
ちょっと待て、なぜそうなった!?
「ま、麻弥、頭の中のどこで話が脱線したんだ?」
「まぁまぁ零、いつもの事じゃないか、麻弥が頭の中で話を脱線させるのはさ」
あぁ、確かにいつもの事だが俺はつっこまずにはいられないんだよ
「たぶんカラオケ行った後の居酒屋で私と奈々ちゃんが脱ぎはじめた辺りだと思う」
そうなる今まで何をしてたんだよ!まぁ、麻弥が想像するのが下手なのは昔からだが、最近ひどくなってるな
「うん、麻弥が頭悪いのは前から知ってるけど改めて言わせてくれ、麻弥は本当に頭悪いな」
まぁ、そんなとこも可愛いけどな
「なんかすごい笑顔で言われてイラッてくるんだけど」
「そうだ、いきなりだけどさ、零と麻弥ちゃんは付き合ってるの?」
「いや、奈々と真沙斗と同じようにただの幼馴染みだよ」
出来れば恋人と言いたかったが、麻弥が本気で俺と恋人と思う可能性があるからな、それはそれで嬉しいが
「でも、俺達以上に恋人に見えるのは確かだよ」
お、真沙斗、嬉しいこと言ってくれるね
「え、どこが?」
「だって麻弥と零が一緒に寝るときお互いにハグして寝るし、風呂も一緒に入るだろ?あと、麻弥が外で寝ちゃった時に麻弥の家まで送って一緒に寝たって聞いたから」
どこからの情報だ、それは
「普通じゃないの?」
「・・・・え!?麻弥ちゃん、私もさすがに真沙斗とお風呂とかハグして寝たりしないよ?」
「そうきたか。零、麻弥とはいつからの馴染みだ?」
「幼稚園の年少からだけど、言ってなかったか?」
真沙斗は聞いたような聞いてないような、みたいな顔をしている
「真沙斗、奈々、そろそろ午後の授業が始まるぞ」
「あぁ、それじゃあ放課後にまた」
「またねぇ、奈々ちゃんもまた来てね」
「もちろんだよ、今日は生徒会で無理だけどまた時間がある時に遊ぼうね」
奈々って生徒会に入ってたんだ、意外だな、ヤンチャそうな感じなのに根は真面目なのかな?
「奈々ちゃん、生徒会の人だったんだね、私初めて知ったよ」
「俺も初耳だ、ほら、もうすぐ先生が来るから座ろうか」
◇
俺達は下校途中、久し振りに一緒に遊んでいた公園に寄って遊んでいた
「零、零、この鉄棒ちっさいよ~」
麻弥が小学生の時に使っていた一番小さい鉄棒にもたれ掛かるように座っている
「よかったじゃないか、麻弥が成長してる証拠が見つかって」
「うるさいな、私だって成長してるよ」
鉄棒に座る麻弥の頭を零がわしゃわしゃと撫でる
「まぁ、奈々に比べたらまだ小さいけど確かに成長しいてるよ」
「なんか、奈々ちゃんと比べられると勝てる気がしないし嫌なんだけど」
麻弥は鉄棒から降りて隣のブランコに座る
「あ、そういえば今朝、麻弥を抱き寄せた時にわかったんだけどさ、お前、胸大きくなったな」
「え!なんでわかったの!?」
なんでって抱き寄せた時にって言っただろ
「零は麻弥の胸の大きさをいちいち記録しているんじゃないかな?」
「なんでだよ、前までペタペタしてた麻弥の胸が膨らんでたから大きくなったなって言っただけだぞ?」
「ペタペタじゃなかったし、少しはあったもん!今はCだけど前はギリギリBあったもん!」
麻弥はブランコを揺らして勢いをつけ、跳び蹴りをくり出すが、俺は蹴りを避け、麻弥を受け止める
「最近零に攻撃が当たらない、あたれバカ」
「痛いだろ、それに麻弥みたいに俺はマゾじゃないから受けたくない」
なぜか麻弥は顔を赤くして目をそらす
「どうした?まさか図星か!?」
「ち、違うよ!・・・その、零の手が、その、左のやつ」
俺の左手がどうかしたのか?・・・あ
「す、すまん!気づけなかったんだ!」
俺はすぐに手を離し、麻弥をおろす
「うん、私も最初は気づけなかったから大丈夫、零の手が動いて気づいたの」
「いや本当に、さすがに謝る、ごめん」
まだ手に残る女の子の感触が俺の鼓動を早くする
投稿二作目です。
正直恋愛小説は読んだことが無い作者ですが、全力をもって書かせていただきます!
よろしくお願いいたします!