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エネルゲイア×ディビエイト  作者: 加藤貴敏
第三章

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ザ・ジャイアント2 バーサス・カオス

「いや、顔見知りってだけだよ」

「すごいですよ、顔見知りなんて」

どうやら、この人はアリサカ達のファンみたいだな・・・。

「そうか」

「あの、今度、いつカサオカさんが怪物退治するんですか?」

「いや、そこまでは分からないよ」

「そうですか」

それでも嬉しさを抑え切れないかのように、その女性は小さくニヤつきながら手元のカメラに目線を落とす。

「一緒に撮りたいな、写真」

「君は・・・カサオカのファンなの?」

するとこちらに目線を戻したその女性は、まるでそれが答えかのように小さな照れ笑いを見せる。

「はい。だってカサオカさん、カッコイイじゃないですか、あの力、天使みたいで」

天使?・・・。

「・・・そうか」

物悲しさのある背中を見せながら海を眺めるタツヒロに声を掛けると、振り返ったタツヒロはすぐに何かを訴えるような眼差しを向けてくる。

「あ、氷牙、僕思ったんだけどさ」

そしてすぐにタツヒロはある方へと指を差した。

「あっちにある学校の人達なら、何か知ってるんじゃないかな?マルが殺されたときに見た人も多いと思うし」

「そうかもね。じゃあちょっと行ってみようか」

「あ、その前にさ、昼ご飯食べに組織に戻ろうよ」

「そうか、分かった」

適当に目を付けた壁から組織に戻り、近くのテーブルに座ってウェイトレスを呼び出すためのベルを鳴らしたとき、ふと天魔界で聞いた、敵襲時に城内を駆け巡る鐘の音を思い出した。

確か堕混は色んな世界に行ったって、旧魔城で戦ったときにミント達が言ってたな。

「そういえば朝、警察の人が能力者と連携するって、ニュースでやってたよ」

小さなピザがタツヒロの前に運ばれると、タツヒロはピザを押し潰された線に沿ってちぎりながらそんな話をし始めた。

「そうか、これでテロも少なくなるかな」

「そうだといいけどさ」

しかしタツヒロはピザを頬張りながら、何故か不満げな表情を見せた。

「けどって?」

「世間じゃそれに反対する人の方が圧倒的に多いみたいだよ。能力者って言っても、ただの一般人だからさ」

まぁそうか。

高校生を戦わせるなんて言って賛成する親は、この時代には居ないか。

お皿を下げて貰ってしばらく話していたとき、突如おじさんの声がホールに響き始めた。

「神奈川の組織から援軍要請が出ましたので、応えられる人は私の部屋に来て下さい」

舞台に向かう人達を追うように見るが、戦いに向かうはずの人達の物腰からは、強い緊張感や不安感が感じられなかったことにふと気が付いた。

鉱石での強化とマナミの能力があるから、皆も安心して出動出来るのかな。

「よしじゃあ、そろそろ行こうか」

そう言って立ち上がったタツヒロに続いて立ち上がったとき、突如右耳に入っているイヤホンから発信音が聞こえてきた。

「氷牙君聞こえますか?只今イングランドの組織からメールがあったので、すぐに戻って来て下さい」

「ごめんタツヒロ、おじさんから通信が入ったから行かなきゃ」

「あ、ああ・・・そっか。分かった」

落ち込むように眉をすくめたタツヒロに背を向け、足早に舞台を上がり、おじさんの部屋に入る。

「おじさん」

部屋に入るなりすぐさま呼び掛けると、こちらに振り返ったおじさんは少しだけ驚いたような表情を浮かべた。

「早いですね」

「たまたま組織に居たからね」

「そうでしたか」

ゆっくりと頷きながらおじさんはキーボード脇にある、小さな蓋の無い箱に手を伸ばす。

「ではどうぞ。こちらの方が相手の言語を日本語に翻訳する設定ですので、お間違いなく」

「あぁ」

青いスイッチが印象的な白いイヤホンマイクを2つ受け取りながら、黒いイヤホンマイクをおじさんに返し、部屋の左隅にある扉に向かう。

扉を開けてイングランドの組織のオーナーの部屋に入ると、すぐに1番近いテーブルの椅子に座りながら、外を眺めているテイラーが確認出来た。

「テイラー」

名前を呼ぶと、こちらに振り向いたテイラーはすぐに立ち上がり、そして少し緊迫感のある表情を浮かべながら駆け寄ってきた。

翻訳機のイヤホン部分を耳につけながら、もう1つをテイラーに差し出す。

それを見たテイラーは一瞬戸惑うが、こちらの耳についてある翻訳機を見て理解したのか、すぐに翻訳機を受け取り、素早く耳につけた。

まずはマイクテストしないとな。

翻訳機のスイッチを押しながらテイラーに話し掛ける。

「僕の言葉が理解出来る?」

翻訳機から指を離すと、テイラーはこちらの見よう見真似で翻訳機の青いスイッチに指を当てた。

「出来ます」

テイラーが喋り終わると同時に、イヤホンからはまるでテイラーが日本語を話しているかのように、テイラーの声で訳された日本語が聞こえてきた。

頷くとテイラーは少し安心したように微笑む。

問題無いみたいだな。

「例の敵が現れたの?」

するとテイラーは再び少しだけ緊迫した表情を見せながら話し始める。

「そうです」

「ジェイク達はもう戦っているの?」

「はい。今から私について来て下さい」

「分かった」

テイラーに指示されたオーナーがキーボードを叩いた後、自身から右手に少し離れた扉を差しながらテイラーに合図を返すと、その扉に向かいながらテイラーはこちらにアイコンタクトをして見せた。

テイラーの後に続いてその扉を抜け、乾いた空気を更に研ぎ澄ませるような緊張感を肌に感じながら、静寂に削られたビルが建つ街を進んでいく。

街全体が戦場と化しても、やじ馬は居るんだな。

間もなくしてテイラーが3人の男女と合流すると、テイラーと話した後に1人の女性がこちらに手を差し出してきた。

「彼女はケイトです」

どこか自信の伺える微笑みを見せるその女性と握手しながら、警戒心を感じさせる眼差しの男性と、緊張からか表情を強張らせている女性に目を向ける。

4人と共に爆発音や号令のような声が聞こえる辺りに着くと、そこには周りの建物を傷付けながら人々の視線を集める、2人のテロリストと思われる能力者が居た。

「前に話した、翼の生えたテロリストは?」

テイラーがこちらに振り向くと、イヤホンマイクに指を当てながら、テイラーは何やら深刻そうな表情を見せた。

「その3人組が現れた時に、まるで結託しているかのようにあのテロリスト達も現れたんです」

結託?

堕混達と、この世界の能力者が、結託・・・。

「そうか。そのテロリスト達の人数は?」

「8人です」

「そうか」

じゃあ、合わせて11人ってことか。

1人のテロリストが掌から黄色に色づいた空気の塊を飛ばしていくと、その黄色い空気の塊はやじ馬やテイラーの仲間達を巻き込みながら、盛大に破裂して建物を軋ませていく。

この辺りにはあの2人しか居ないみたいだし、とりあえずただの能力者は早めに倒して、堕混の居る場所を探さないとな。

氷牙を纏い、そのテロリストに氷弾を撃ちながら前に飛び出したとき、ふと視界の隅から電撃音が聞こえると、直後にその方から線香花火のように電気をほとばしらせる小さな球が飛んできた。

小さな球が胸元に当たり、破裂した瞬間、小さな球は更に辺り一面に電気をほとばしらせ、やじ馬や周りの建物を電撃で引っ掻いていく。

ブースターを噴き出し、胸元で破裂した電撃の衝撃を和らげながらそのテロリストに氷弾を撃つ。

氷の弾の爆風を体に纏う電気で防ぎながら、そのテロリストが背後にある建物に勢いよく背中をつけたとき、先程の黄色い空気を飛ばしたテロリストがこちらに掌を向けているのにふと気が付いた。

紋章を盾にして黄色い空気の塊を防いだと同時に、テイラーの仲間と思われる1人の男性がそのテロリストに向かっていく。

その1人の男性が黄色い空気を飛ばすテロリストの腹に拳を叩き込むのを見てから電気の球を飛ばすテロリストに顔を向けたとき、そのテロリストは体に電気を纏いながら、すでにこちらの懐に飛び込もうとしていた。

何っ・・・。

とっさにこちらの腹にタックルを決め込んだそのテロリストの襟を掴む。

遠距離の攻撃だけじゃないのか。

ブースターを噴き出し、こちらの体を押し上げようと踏ん張るテロリストを持ち上げ、そしてブースターの勢いを借りて思いっきりテロリストを投げ返した。

再び建物に背中をつけたそのテロリストに紋章を向けたとき、突如上げられたやじ馬の悲鳴に思わずその方に目を向けてしまう。

しかし消え入る爆風の中、そこに降り立ったのは首から下を白黒のいびつな鎧で包んだ、白い翼の生えた女性だった。

・・・堕天使。

絶氷牙を纏ったときに、黄色い空気を飛ばすテロリストの意識を奪ったテイラーの仲間の男性が、堕天使の女性と向かい合う。

堕天使の女性がテイラーの仲間の男性に顔と掌を向けたその瞬間、堕天使の女性の左腕全体が、ほんのりと白い光を漏らす銃器を思わせる機械と化す。

そして直後にその左腕の先端にある、放射状に開きながら前方に折り返した、3つの鋭く尖った突起物の中心から、闇がほとばしる黒いレーザーが放たれる。

テイラーの仲間の男性の胸元を黒いレーザーが貫いたと思った瞬間、その黒いレーザーはこちらの左肘をも突き抜け、更にその風圧はこちらの体をも軽く舞い上がらせた。

何だこの威力・・・。

ブースターを使い、難無く地面に降り立ったものの、ふと目に留まった左腕には肘から先が無くなっていた。

何・・・。

同じく風圧に飛ばされ、こちらの目の前まで飛んできた男性に目を向けていた堕天使の女性は、ゆっくりとこちらの方に目線を移していく。

空気中の水分を鎧に換えて左腕を元に戻すと、堕天使の女性はその左腕の先端をこちらに向ける。

銃腕の弾道から外れようとブースターを噴き出した直後、放たれた黒いレーザーは一瞬にしてこちらの腹に突き刺さった。

くっ・・・。

しかし真っ先に覚えた感覚は、先程のものよりも遥かに威力の落ちた衝撃と風圧だった。

何で威力が落ちたんだ?

足を踏ん張って素早く走り出し、弧を描きながら堕天使の女性に近づいていくが、その先には体に電気を纏うテロリストの男性が待ち構えていた。

邪魔だ・・・。

とっさにブースターを噴き出しながら回転し、再びこちらに向かって飛び掛かろうとしているテロリストの頭を蹴り飛ばす。

堕天使の女性を視界に捉えると同時に、その堕天使がこちらに向けている銃腕の先端に闇がほとばしる。

放たれた黒いレーザーを間一髪でかわした直後、堕天使の銃腕からはもう1発のレーザーが放たれた。

胸元に衝撃を受けながらブースターを噴き出し、ビルの壁で足を踏ん張る。

連射も出来るのか。

ビルの壁を伝うように飛び上がり、放たれていく黒いレーザーをかわしながら堕天使の女性の頭上を捉える。

そして銃腕を構える堕天使に向かって急降下すると同時に、堕天使の女性は銃腕の先端から闇をほとばしらせ、一直線に走る黒い閃光を光らせた。

ブースターを全開で噴き出し、胸元を突き抜けていったレーザーが生み出した風圧を抑えながら宙返りして、堕天使の女性の後頭部にかかとを叩き込んだ。

勢いよく倒れ込んだその堕天使は少しだけもがいたものの、左腕が元に戻るとそのまま動く気配を感じさせなくなった。

まずは1人か。

鳴り止まない爆音や衝撃音の中、ふと何かを喋りながらこちらに歩み寄るテイラーの姿が視界に入ったので、すぐに鎧を解いた。

「ごめん、鎧を纏ってると無線機が使えなくなるんだ」

するとテイラーはイヤホンマイクに指を当てずに、小さく驚きの声を上げる。

「何て言ったの?」

「ここは彼らに任せて、私達は別の場所に行きましょう」

「分かった」

テイラーと共に商業ビルを曲がり、また別のやじ馬が群れを成す、戦闘が行われている場所に入る。

堕天使は・・・。

周りを見渡すが、そこには街や一般人に被害を及ぼしているように見える3人の能力者、そしてその能力者達と対峙するジェイク達が居るだけだった。

堕混も居ないのか。

「テイラー、胸に赤い宝石がある奴は?」

「その人は、まだ出て来てないです」

出て来てない?

とりあえず堕天使も居ないんじゃ、ここはジェイク達に任せるか。

別の通りに顔を向けたとき、頭上からゆっくりと降りてきた何かにふと目を捕われる。

偶然ですが、たまに我ながらちょうど続きが気になるような終わり方になってるなと、時々思いますね。偶然なんですけどね。笑

ありがとうございました。

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