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エネルゲイア×ディビエイト  作者: 加藤貴敏
第三章

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オーガニゼーション・アクティビティーズ3 ユナイテッド・キングダム

「氷牙」

声がした方に振り向くと、そのテーブルには手招きするライムらしき人物とユウコが居た。

2人の前に座りながらライムを見ると、ライムの服装にふと違和感を感じた。

よく見ると鎧の中に着ている服が違うみたいだ。

「ユウコにね、ティーシャツって言うの貸して貰ったの」

見せるようにTシャツの裾をつまみ上げながらライムは嬉しそうに喋り出す。

「そうか、どうりで何か違う気がしたと思った」

袖も無くて胸から下が無い薄めの鎧だから、そこまで不自然な感じがしないんだな。

でもTシャツはやっぱり白なんだな。

「インナーくらいは洗濯しないとね」

ライムを見ていたユウコはそう言って笑顔をこちらに向ける。

「そうだね」

まぁいつかは洗濯くらいしなきゃいけない日が来るしな。

「じゃあミントにも貸してあげないとね」

「ミントちゃんにはね、カナコちゃんのを貸してあげるって決めてるの」

ユウコがそう応えながらライムと目を合わせると、ライムもユウコにつられるように笑顔を浮かべる。

「そうか、ライムはこの世界には慣れた?」

「うん、ニュースを見ちゃうと少し悲しくなるけど、それ以外はすごい住みやすいよ」

その笑顔を見ると、ミントほど疲れてはいないみたいだな。

「そうか」

会議室への扉が開いた音がしたので、ふと舞台を見ると、扉からはちょうどシンジ達が出て来ていた。

「ここに居たのか」

そう言ってシンジが近づいて来ると、シンジはユウコと一瞬目を合わせてからこちらに顔を向けた。

「終わったみたいだね」

そう言いながら立ち上がり、ショウタと共に闘技場に向かうシンジについて行く。

強くなったショウタとやるのは初めてか。

闘技場の中央に着き、最初に動いたショウタは炎の剣を作り上げると、刀身を激しく燃え上がらせながら炎の剣を逆手に持つと共に、それを投げるような動作を見せる。

「ドラゴンファイア」

そう言うと同時にショウタがシンジに向かって炎の剣を投げると、直後に剣先から竜巻のような勢いで炎が溢れ出し、そして炎の竜巻は龍のように宙を舞いながらシンジの方へと飛んでいった。

シンジが勢いよく回転して炎の龍の頭を思いっきり平手で叩くと、炎の龍はまるで意思を持つかのように方向を変え、こちらに向かって飛んできた。

その燃え上がる音がどことなく雄叫びのようにも聞こえる炎の龍から、ブースターの出力を上げながら難無く逃げていく。

壁際に追い込むと同時に急な方向転換をすると、炎の龍もとっさに頭の向きを変えるが間に合わず、壁に激突すると同時に炎の龍の頭は勢いよく破裂しその形を失った。

しかし壁を伝って炎がほとばしると、激しく燃え盛る炎は再び形を成し始め、そしてまるで雷雲から飛び出るように再び大きな口を開けながらこちらの方へと飛んできた。

地面に絶氷弾砲を撃ち、氷の障害物を作り上げるが、炎の龍はたやすく氷の障害物を噛み砕く。

なかなかしぶといな。

シンジの方に向かって逃げると、シンジは拳を後ろに振り上げながら、まるで居合斬りを構える侍が如く静かに身を構えた。

そしてシンジが拳を突き出そうと、肘にあるブースターを噴射させたその瞬間に一気に急上昇すると、シンジが突き出したその拳は人を丸呑みしてしまうほどの炎の龍の口先に思いっきり叩きつけられる。

炎の龍の頭は水しぶきのように広がるが、後ろから押し出されるように炎が吹き出すと、その炎は押し出される津波のように瞬く間にシンジの巨大な拳を覆い始めた。

「くそっ」

シンジはすぐに右腕を引っ込めて後ろに下がるが、炎の龍は一瞬だけその場に留まると再び形を成し始め、そして再び大きな口を開けながらシンジに襲い掛かった。

シンジはとっさに拳を地面に突き立て右腕を盾にするが、右腕に激突すると同時に炎の龍は急上昇し、再びこちらに向かってきた。

しつこいな・・・。

逃げながらふとショウタを見ると、ずっと立ち尽くしていたショウタは手の動きに合わせるようにその場で炎の龍を操っていた。

素早く急降下しても、ショウタは素早く手首を捻らせ、炎の龍を自在に急降下させてみせる。

「はぁっ」

ショウタが気合いを込めるように手を勢いよく振り下げたので、後ろを振り返ると、炎の龍の口はすでにこちらの体を飲み込もうとしていた。

目の前に紋章を4つ並べるが、まるで濁流に呑まれたかのように体はそのまま地面に叩きつけられる。

燃え上がる轟音に押し潰されながらほんの少し時が過ぎ、炎が地面を這う地響きが収まると、煙も残さずに消えてゆく炎はどこか神秘的に見えた。

「今のはすごいね」

「そ、そうかな・・・」

ショウタは呆れたような苦笑いを浮かべてこちらを見ている。

「やっぱりちょっとおかしいんじゃないか?」

しばらく戦った後に闘技場を出ると、シンジが不満を漏らすような言い方で口を開いた。

「何やっても何でもないように立ち上がるって事?」

椅子に座りながらシンジに応えるショウタの表情も、どこか呆れ顔に似た疲労感を伺わせている。

「簡単に言えば防御力重視だってことだよ」

「まあそうだろうな」

頷きながらもどこか不満げな表情を浮かべながら、シンジももたれ掛かるように椅子に腰掛ける。

そろそろ鉱石の情報を大阪に言ってみるかな。

「そういえば、シンジ結局鉱石使ってないよな」

ショウタは両手を頭の裏に置きながら深く背もたれる。

「まあな、アクセサリーがあるし・・・やっぱりまだいいかな」

シンジが悩みながら応えるのを聞きながら静かに席を立ち、ホットミルクを注いだコップを持って会議室の扉を開けると、ユウジが一瞬こちらを見るがすぐにテレビに目線を戻した。

うるさく感じない程度の音量にしているみたいだ。

「13個目ぇ」

マナミは毛糸のブレスレットを小さなダンボール箱に入れながら数えていて、ミサは髪を後ろに束ねて集中しているような様子でブレスレットを編み上げている。

「どうかした?」

アキの言葉にミサが不意にこちらに顔を向ける。

「あ、氷牙」

するとこちらに顔を向けたマナミが呟くように口を開く。

「大阪の組織に鉱石と堕混の事言おうかと思って。ユウジは神奈川の組織に言った?」

「え、ああまだだね、そうだね、言った方が良いかもね」

ユウジはテレビとこちらを交互に顔を向けながらそう応え、最後にコップに手を伸ばしカフェオレを一口飲む。

「氷牙、これから大阪に行くの?」

ミサが目線を手元に置いて手を動かしながら、呟くように聞いてきた。

「いや、メールでいいかな」

「そう、ね・・・ふぅ」

ミサはブレスレットが完成すると、少し伸ばしたりしながら問題が無いか確認してからマナミに渡した。

「14個目だね」

マナミが笑顔でブレスレットを受け取るのを見ながらおじさんの部屋の扉をノックすると、間もなくして扉が開かれ、おじさんが顔を覗かせる。

「何ですか?」

「ちょっと頼みがあるから入っていいかな?」

「はいどうぞ」

ドアノブに手をかけて入ろうとしたときに、ユウジが立ち上がった。

「俺も行くよ」

おじさんに椅子を出して貰ったので、ユウジと共に椅子に座る。

「用というのは何ですか?」

そう言いながら椅子に座ったおじさんは椅子を回し、2人に体を向けてくる。

「組織にメールして欲しいんだ。内容は、鉱石の新しい使い道と、堕混の存在についての2つだよ」

「そうですか、どこの組織に送りますか?」

「前に行った大阪の組織に」

「あと神奈川の組織にもね」

ユウジがすぐにつけ足すと、おじさんはまるで何も疑おうとしないかのような表情で小さく頷く。

「分かりました。具体的には何て書きますか?」

「んー鉱石は持つだけでも力が強くなることが分かって、1人2つまでなら問題無く身に着けられるって。堕混は、胸に赤い宝石がついている奴が居て、もし戦うことになったら強いから気をつけてっていう感じでいいよ」

「分かりました。ユウジ君もそれで良いですか?」

おじさんは張り付いたような微笑みを浮かべたまま、ユウジに顔を向ける。

「うん、あと俺からもう1つ良いかな?」

ユウジはそう言いながらポケットに手を入れ、何かを取り出そうとする素振りを見せる。

「良いですよ」

「この人にメールして欲しいんだよね」

そう言うとユウジは、ポケットから取り出した北村の名刺をおじさんに差し出した。

「応援に応えても良いという人が居たから、何かあったらメールしてっていう感じで頼むよ」

「分かりました」

「あ、俺の名前と組織のリーダーだってことも一応入れといてよ」

「分かりました」

そしておじさんは椅子を回して巨大なモニターに体を向け、キーボードを叩き始めた。

「それじゃあ会議室で待ってるよ。氷牙もそうしたら?きっとすぐに返信来るかもよ?」

ユウジは立ち上がって椅子を1つ戻しながらそう言ってこちらを見る。

それもそうだな。

「じゃあそうするよ」

椅子を持って会議室に戻ると、ミサは一瞬こちらを見て微笑んでから目線を手元に戻し、作業に集中し直した。

歩き出すとすぐにミサが椅子をずらしたので、何となくミサの隣に椅子を持って行く。

何となくテレビを見ていると、突如どこからともなく着信メロディーのようなものが聞こえてきた。

するとミサが首周りにファーを出現させ、そこから出した糸をバッグの中に入れて携帯を取り出すと、糸を手のように操りながら携帯を操作し、着信メロディーを止める。

両手でブレスレットを編みながら、携帯のメールを確認しているみたいだな。

「ミサさんの力って、実生活に役立つね」

「まあそうね」

アキが何気なく口を開くと、ミサは少し照れながら微笑みを浮かべる。

「でもそれなら、ユウジの方が永遠に電力が無くならないわ?」

携帯を閉じながらミサが噂話をするようにアキに微笑みかける。

「そういえばそうだね」

「え、じゃあコンセント無くても携帯の充電出来るの?」

アキが冷静に応えると、すぐにマナミが嬉しそうにユウジを見ながら喋り出した。

「なるほどぉ、試す価値は無きにしもあらずだね」

ユウジは嬉しそうに喋るマナミに若干の苦笑いで応えている。

本人はそこまで実生活に活用することは考えてないのかな。

ミサがブレスレットを完成させてマナミに渡したとき、おじさんの部屋の扉が開いた。

「2人共、返信が来ましたよ」

扉の先のユウジに気を遣っているのか、おじさんは扉から顔だけ出しながらこちらに顔を向ける。

「あぁ」

再びユウジと共におじさんの部屋に入ると、早足にキーボードの前に座ったおじさんがモニターに受信されたメールを映し出す。

すると巨大なモニターには3つのメールが同時に映し出された。


ほんまかいな。

ほんなら早速試したるわ。それより、胸に赤い宝石の奴って、イングランドの南を壊滅させたっちゅう奴のことやろ?


イングランドの南が壊滅?やはり堕混は侮れないみたいだな。

「んーそっか、じゃあ俺は戻るよ」

「あぁ」

メールを見たユウジは席を立ち、足早に会議室に戻っていった。

「返信しますか?」

おじさんがキーボードに片手を置きながらこちらに顔を向ける。

「あぁ、じゃあ、問いに応えるのと、今後堕混の新しい動きが分かったら連絡してって」

「分かりました」

そう言うとおじさんはキーボードをとても慣れた手つきで叩き始める。

「あと、イングランドの南辺りの組織に、助っ人しても良いかってのも頼んで良いかな?」

「はい、イングランドの崩壊した地域に1番近い組織で良いですか?」

おじさんはキーボードを叩きながら、素早く問いを返してくる。

「あぁ」

会議室に戻ると椅子に座り、ホットミルクを一口飲む。

能力者が束になったら堕混とも戦えるなんて、ちょっと考えが甘かったかな。

「ミサ、やっぱりイングランドの組織と連絡とるよ、思ったより苦戦してるみたいだし」

「そう、分かったわよ」

ミサは編み物をしながらそう言って一瞬こちらを見ると、目線を戻しながら呆れるようなため息を漏らした。

完成させたブレスレットをマナミに渡したミサは、腕をまっすぐ上に伸ばし、素早く深呼吸する。

「疲れた?」

マナミはブレスレットを箱に入れながら、そんなミサに心配するような表情を向ける。

ショウタが周りから炎龍使いと呼ばれるようになってから、通り名のないシンジは内心焦ってるらしいです。笑

ありがとうございました。

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