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エネルゲイア×ディビエイト  作者: 加藤貴敏
第七章

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ホーリー・エンペラー2 シルバー・インパクト

後ろに振り向こうとしたとき、ふとヤシャリュウと呼ばれたサムライが血しぶきを上げながら吹き飛んで行くのが見えた。

白と黒の風?

レテークか。

「ハルクさん」

改めて後ろを振り返ると、レテークが強い意思を宿した眼差しでこちらを見上げていた。

「オレ・・・頑張る」

「あぁ」

すでに殺気が消え失せていた呑気な雰囲気を醸し出していたサムライを放したとき、別の方から新しい感覚の殺気を感じた。

「始めから本気出さねぇと死ぬぜ?ゼンリュウ」

「承知の上だ」

あの新手、俺が後ろを取られたときに一緒に来れば良かったのに。

「レテーク、俺が2人を相手するから、その間に刻印を探してくれ」

不意打ちを嫌う理由でもあるのか?

「あ、うん分かった」

レテークが飛び上がると2人のサムライの目はレテークに向けられたので、すぐに吹き出した光と闇の刀身を新手のサムライに向けて振り下ろした。

驚異的な気迫を発していない新手のサムライは素早く剣を抜くと、足を強く踏ん張りながら光と闇の刀身を受け止めた。

何だと?・・・。

表情を力ませた新手のサムライは光と闇の刀身を押し返すと、すぐに飛び出してこちらの腹に一太刀を入れた。

こいつ・・・強いっ。

すぐに光と闇の刀身を振り始めるが、すでに新手のサムライはこちらの腹に拳を突き出していた。

こいつは皆より動きの判断をつけるのが速いな。

こちらが後ずさりしたその一瞬を狙ったように、新手のサムライは上空に飛んでいたレテークに向けて剣を振りかざした。

・・・くそ、レテーク・・・。

「ぐあっ」

すると勢いよく地面に叩き落とされたレテークに向けて、静寂を落としたような殺気が向けられた。

まずいっ・・・。

「一刀命凪ぎ」

すぐに光と闇の刀身を吹き出し、レテークに振り下ろされる前に剣を受け止める。

それと同時に地面に降り立った新手のサムライがこちらに向かって走り出す。

くそ・・・。

新手のサムライの剣を翼で受け止めたとき、突如中央の大きい建物から光の柱が飛び出し、空に向かって伸びていった。

何だ?

光の柱で建物の屋根が突き抜かれた音に、2人のサムライもすぐに建物に目を向けた。

「くそっやられた、こいつらは囮だったかっ」

気迫を放つサムライが口走ると、空に伸びる光の柱に向かって、更に4本の光の線がどこからか降り注いだ。

まさか・・・祠が壊されたのか?



あの光の柱から東西南北の位置にも同じような光の柱があるけど、まさか祠が壊されたのかな。

そんな事を考えながら塀を飛び越えると、そこには2人の侍と獣人の堕混、そしてハルクが皆揃って光の柱を見上げていた。

どうやらハルク達が壊した訳じゃないみたいだな。

皇下街に降り立ったとき、源氏の城とやらの屋根を突き抜けている光の柱が消えると同時に、塀の向こうに微かに見えている4本の光の柱も消えていった。

そして少しの沈黙の後、城の屋根からそれはゆっくりと姿を現した。

あれが、聖帝って奴か。

燃えるように揺らめく真っ赤な翼に、足先は鳥の足ような形をしているが恐竜のような太い足。

筋肉質で太く長い野生的な色の腕に鋭い爪、甲羅のような質感に見える滑らかな肌。

自身の胴体と同じくらいの、蛇のようにしなやかに伸びた長い尻尾。

そして龍のような体つきと角ではあるが、虎のような顔と鋭い牙。

「我が手に収めたぞ、聖帝の力をっ」

「チガリュウぅぅっ」

その声が皇下街に響き渡ると、侍の1人が聖帝に殺気を込めたような声色で呼びかける。

「我は貴様らのような脆弱な侍でも、ましてや貴様のような龍の名を持つ侍をも越えた堕混などでもないっ」

そして銀色に色づいた神々しいオーラを纏いながら、聖帝は浮遊するようにゆっくりと源氏の城の前に降り立った。

「我は聖帝だっ」

分からないけど、この姿じゃ敵いそうにないな。

銀色に輝くオーラを纏った聖帝が腕を思いっきり一振りすると、激しくほとばしる銀色のオーラはこちらの方に降りかかってきた。

「レイヨウっ」

ヒョウヨウの叫び声が混ざった激しい電撃音のような音と共に、レイヨウと1人の龍の侍はほとばしる銀色のオーラに呑まれる。

そして2人の侍は体中を引き裂かれながら、舞い上がる血しぶきの中を吹き飛んでいった。



立て続けにセイテイになったチガリュウが腕をもう一振りすると、今度はこちらの方にほとばしる銀色の光を飛ばしてきた。

とっさに光と闇を纏わせた翼を盾にするが、翼を広げたときにはすでにレテークと、ナギリュウと呼ばれたサムライが血まみれで倒れていた。

「レテークっ」

くそっチガリュウっ。



これが、かつてこの世界に君臨した森羅万象の王、聖帝の力か。

異国人共々、龍をいともたやすく・・・。

「龍の居ないこの国など、もはや親玉を亡くした妖怪も同じ、如何様にも潰してくれるわ」

こうなれば、たとえこの身を犠牲にしてでも、千牙龍を止めなければ。

「氷牙殿、つかの間で良い、時を稼いでくれぬか」

「・・・分かった」

氷牙が掌の前に作り出した紋様から、千牙龍に向けて氷の塊を撃ち出したときに、黒嵐華を解いて手を合わせる。

・・・皆、行くぞ。

「禁忌陣形、煌命・劫火刃」



顔から胸元にかけてかなり凍りついたように見えたが、聖帝は体に纏っている銀色のオーラで瞬時に氷を弾き飛ばし、ブースターを吹き出しながら突き出した拳も難無く受け止める。

源氏の城の壁に押し付けたものの、聖帝は怯む様子もなく口を大きく開けた。

その瞬間に開けられた大口から、銀色に輝くオーラが勢いよく吐き出された。

視界を覆うほどにほとばしる銀色の光線の衝撃に思わず吹き飛ぶが、すぐにブースターを吹き出して反動を打ち消しながら、聖帝に蒼満月を撃ち込む。

すると氷の弾の破裂に源氏の城の壁もろとも聖帝は吹き飛んでいった。

今の一発だけでも氷王牙の鎧は傷だらけか、さすがに強いな、聖帝は。

何となく後ろを振り返ると、ヒョウヨウは7本の刀もろとも白く煌めく炎に激しく焼かれていた。

何だ何だ?



あのサムライ、7本の剣が周りを囲んだと思ったらいきなり燃え上がったな。

自爆には見えないが・・・。

すると更に激しく燃え上がった白く煌めく炎は、いきなり爆発するように周りに広がりながら消えていった。

そして姿を現したサムライはもはや人間ではない異様な姿に変わっていた。

異様なまでに痩せ細った頭から胴体にかけては白く刺々しいものの、両脚からはくっきりと黒ずんでいる。

更に右腕は赤がかった紫色で、肩と、肘から手首にかけての鎧はギザギザした形をしているが、左腕は青がかった紫色で肩と肘から手首にかけての鎧は波を打ったような形をしている。

そして一見尻尾に見えるものは蛇腹の形をしながら淡い紅色に色づき、背中を守っているかのような茶色がかった甲羅は、上を軸にして綺麗に2つに分かれながら傾いていた。

これが、キンキジンケイ、コウメイゴウカジン?

随分と長い名前だが・・・んー、俺やヒョウガのようなことと同じなら、このサムライもディビエイトなのか?



侍って、あんなことも出来るのか?

ヒョウヨウを見ていたときに激しい衝撃に襲われ、体勢を立て直したときには城から出て来ていた聖帝は真っ直ぐこちらを見据えていた。

まあ良いか、時間は稼げたみたいだし。

「我の力はこんなものではない」

すると聖帝は腕を交差させながら身を屈め、姿が見えなくなるほど銀色に輝くオーラを纏っていった。

何をする気だ?

今のうちに不意打ちするか・・・いや、確実に倒すにはもっと強い力が必要かな。

この機に乗じて、天魔の力を使ってみるか。

天魔の力に意識を集中させ始めたとき、一瞬にして目の前が銀色の閃光に覆われた。

直後に聴覚が利かなくなるほどの音と衝撃が体に襲い掛かる。

意識がちゃんとはっきりしたとき、真っ先に分かったのは、聖帝の背後にあったはずの源氏の城が跡形も無く消え去っていたことだった。

立ち上がりながらふと周りを見渡すと、皇下街を仕切っていた塀は腰くらいの高さにまで崩れていて、皇下街の外の町には瓦礫の山々が立ち並んでいた。

ふぅ・・・不意打ちしとけば良かった。

「目障りだっ目障りだぞ貴様ら。この聖帝の前に立ちはだかるなど」

どうやら、無事だったのは僕とハルクとヒョウヨウだけみたいだな。

これはさすがに、天魔の力が必要だ。

「ヒョウヨウ、今度はヒョウヨウがちょっと時間稼いでくれる?」

「承知した」

「ハルクも頼むよ」

こちらに顔を向けたハルクは小さくため息をついてから聖帝に顔を向けた。

「分かった」

2人が聖帝に向かって走り出すのを見ながら、天魔の力に意識を集中する。

体が大きくなったからなのかな、体の中から天魔の力を沸き上がらせるのに、少し時間が掛かるみたいだな。



この異国の者とヒョウガ殿は知り合いだったのか。

雷をほとばしらせた右腕を聖帝に振り下ろすが、聖帝は銀色の光を纏った手でそれを難無く受け止める。

それと同時に異国の者も白黒の刀身を振り下ろすと、勢いよく吹き出す白黒の刀身は構えた聖帝の腕を激しく呑み込んだ。

しかし、ヒョウガ殿は刻印を守るために共に戦ってくれていたが、異国の者は刻印を狙っていたはず。

「小癪なぁっ」

聖帝はこちらの右腕を強く押し返すと、その勢いのままほとばしる銀色の光を異国の者にも飛ばす。

しかし白黒の光を纏った翼を盾にした異国の者には、ほとばしる銀色の光の牙は届かなかった。

だが、今は異国の者はこうして聖帝に剣を向けている。

ヒョウガ殿の知り合いなら、ここはひとつこの異国の者を信じてみるか。

異国の者が白黒の刀身を振りかざしたときに体中の力を尻尾に集め、聖帝が白黒の刀身を振り下ろす異国の者に目を向けている隙に、尻尾を伸ばしながら振り回す。

聖帝が異国の者の剣を受け止めたときに、こちらが振り回した尻尾が聖帝の脇腹を裂いた。

「貴様っ」

今の力を持ってしてもあの程度の傷か。

すると今度は聖帝がその長い尻尾を振り回してきて、とっさに交差した腕を前に出したが衝撃も強く、体はたやすく宙へと投げ出された。



あのサムライがつけた傷がもう再生し始めてるな。

小さな傷をつけていくより、一気に片を付けないといけないってことか。

光と闇の刀身をチガリュウに向けて真っ直ぐ吹き出すが、チガリュウは押されながらも銀色の光を纏った手で受け止めた。

「はぁぁああっ」

光と闇の刀身を最大限に吹き出すと、激しい水流のような光と闇は一瞬にしてチガリュウの腕、肩、そして翼を呑み込んだ。

「何だとぉっ」

しかし後ずさりしながらもチガリュウは大きく開けた口に銀色の光を集め、こちらに銀色の光線を吐き出した。

しまった避け切れない・・・。



ハルクがこちらの近くに吹き飛んできた頃に体中に天魔の力が充満するのを感じたので、すぐに天魔の力を体の外に湧き上がらせる。

「翼、解放」



何だって?・・・。

・・・こいつ、翼が解放出来るのか?・・・。

ヒョウガから生えた翼と、光が闇がヒョウガを包み込む。

そういえば、確かこいつは力が欲しくて俺の世界に来たんだったな。

翼が大きく広げられると、翼は真っ直ぐ伸びたまま凍りつくように固まると共に、天魔の鎧の所々が大きく刺々しい変化を遂げていた。

通常、翼を解放したらあれほどの鎧の変化はないはずだが。



ヒョウガ殿も変身を遂げたようだな。

「どれほど姿を変えようと、我には、聖帝には敵う訳がないっ」

すると聖帝が再び身を屈め、姿が見えなくなるほどに銀色の光を纏った。

先程のあれをやる気か。

させるものかっ・・・。

聖帝に向かって飛び出したが、その時にはすでにヒョウガが聖帝の首筋に拳を突き当てていた。

「がぁっ」

弾けるように消えた銀色の光の中から、聖帝が凄まじい勢いで吹き飛んでいき、砂埃と共に瓦礫をも巻き上げながら皇下街の向こうにまで飛んでいった。

・・・聖帝を、あれほどまでに・・・。



今回はちゃんと不意打ち出来たな。

ブースターに換えた5つの紋章を消し、とりあえず聖帝の動きを待ってみる。

そうだ、この姿にも名前つけないとな。

氷王牙の上に天魔だから、シンプルに天魔氷王牙かな、いや天魔氷王の方が語呂が良いな。

「お前、そういや天魔の力が欲しいって言ってたよな」

「おのれぇぇええ」

もう立ち上がったか、予想より速いな。

主人公っていう時点で、少し周りとは違って悪運も強くなければなりませんからね。

ありがとうございました。

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