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エネルゲイア×ディビエイト  作者: 加藤貴敏
第七章

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フラグメンツ

一応翼でも解放しておこうかな。

また少し林を進むと1つの殺気が近づいてきたので、胸に手を当てて剣を取り出す。

そして重たい足音を鳴らしながら現れたのは、太い手足に全身の毛皮、背中は曲がっているが般若を思わせる顔に、こめかみ辺りから空に伸びる捻れた2本の角を持った生物だった。

鬼だな、あれ。

2足歩行かと思ったら、歩き方はゴリラだな。

「オマエ、ニンゲンノニオイガシナイナ」

でも喋れるのか。

しかも結構ペラペラだ。

「まあね、ところで、君の親玉は妖怪石を持ってるかな?」

すると鬼みたいな奴は空を見上げながら小さく笑い声を上げた。

「ハッオマエアタマワルイナ。オニノオサヲネラウナンテ、イキテハモドレヌゾ?」

「それはどうかな」

光と闇を纏った氷弾を撃つと、鬼は光と闇と氷の爆風と共に轟音を立てながら吹き飛んでいった。

するとすぐに立ち上がりはしたが顔の面にヒビが入り、角が折れた鬼はまるで逃げるように背を向けた。

「ユルサヌゾ、カナラズヤ、フクシュウシテヤル」

逃げるのか。

復讐されるのも厄介だしな。

再び鬼に向けて光と闇を纏った氷弾を撃ち、うつぶせに倒れた鬼の首に剣を突き立てる。



麒眼への林道を外れ、林を抜けて直接虎牙に入ると、すぐに町の中に得体の知れない巨大なものが見えた。

またあれか。

刀を抜きながら建物に飛び乗ると、すでに得体の知れないものは中心地に足を踏み入れていた。

・・・このままでは刻印が破壊されてしまう。

貫鷹達は一体何をしておるのだ。

建物を飛び移りながら得体の知れないものに近づいていき、刀を抜く。

「白火」

そして建物から得体の知れないものの背に飛び乗りながら、背から生える腕のようなものを1本切り落とす。



あ、来た来た。

間もなくして先程と同じような鬼が坂の上に現れると、倒れている鬼に目を向けた途端、鬼は怒り狂うように雄叫びを上げた。

走り出してきた鬼に光と闇を纏った氷弾を撃ったとき、爆風を走り抜けてまた別の鬼が向かってきたので、光と闇を纏った剣で斬りつけた。

血は出るけど・・・あまり剣じゃ傷をつけられないみたいだな。

皮膚が厚いのかな。

「グゥゥ・・・オノレ、サムライ」

侍じゃないけど、まぁ良いか。

傷口を押さえながらこちらを睨みつける鬼に、光と闇を纏った氷弾を撃つ。



得体の知れないものの首筋を斬りつけたが、動きを鈍らせながらも背から生える腕のようなものを振り回したので、得体の知れないものから少し間合いを取る。

下手には近づけぬか。

得体の知れないものの動きを見極めているとき、ふと崩れた建物に埋もれるようにひれ伏す人が目に入った。

・・・あれは、貫鷹か?

あれでは、死んでいるようにしか見えぬ。

得体の知れないものに目線を戻しながらもう1本刀を抜く。

「黒桜」

頭上から振り落とされる背の腕をかわし、すぐに地面に打ち付けられた背の腕に黒桜を突き刺す。

背の腕が引き上げられると共に宙に投げられので、得体の知れないものの背に降り立ちながら背の腕を白火で斬り落とす。

そして得体の知れないものから飛び降り様に首筋を白火で斬りつける。

・・・まだ倒れぬか、図体のでかさのことだけはある。

その時に突如刻印を納める神社から強い風が巻き起こると、瞬く間にその風が渦を成し、龍のように天にまで昇っていった。

刻印が・・・間に合わなかったか。

渦巻く風が神社の周りの建物も巻き込みながら空に消えると、崩れた境内の門の向こうから、1人の異国人が現れた。

ここで彼奴を討てば、わざわざ雀翼で待つ必要はないのだ。



だいぶ鬼も集まったな。

「オマエ、コノママイキテカエレルトオモウナヨ」

紋章を天魔の力で強化出来るなら、剣にも氷牙の力で何かしら出来るかな?

「そろそろ親玉呼んだら?」

剣に光と闇を集めながら、剣の付け根辺りに氷の紋章を出す。

その直後に氷の紋章が剣に吸い込まれると、剣は青白く光り出して少しだけ長さを増した。

「チョウシニノルナァァッ」

振り下ろされた鬼の腕を剣で受け止め、強く剣を振り上げると、鮮血と共に鬼の腕は宙を舞った。

予想通り切れ味は増したか。

「ガアァッ」

後ずさりした鬼を追いかけるように飛び上がり、回転して勢いをつけながら鬼の首目掛けて剣を振り抜いた。



異国人は体中に風を纏わせながら、まるで風に乗るような速さで駆け回っている。

・・・下手な惑わしなど、手数を増やして迎え撃てば良いまでだ。

「雷菖蒲、風杜若」

2本の刀が鞘から抜け出ると、1本は刀身が落雷を思わせるぎざぎざとした形に変わり、もう1本は緩やかに波を打ったような形に変わった。

「2人共、左右を頼む。黒桜は頭上から隙を作ってくれ」

雷菖蒲が左側の後ろに構え、風杜若は右側の後ろに構えると、黒桜は頭上から異国人の隙を伺うように辺りを見下ろした。

異国人が左から背後に回ろうものなら雷菖蒲が行く手を阻み、すぐ様頭上から黒桜が異国人に刀身を伸ばしていく。

異国人が黒桜に気を取られたときに白火を振り下ろすが、長い鉤爪で受け止められると、すぐに振り出た雷菖蒲も異国人の鉤爪に勢いを殺される。

両手が塞がった異国人にすぐ様黒桜が刀身を振り下ろすが、とっさに異国人は距離を取り、黒桜の刀身は空を斬った。

さすがに素早いが、されど私にも下手に手出しは出来まい。



氷牙を纏ってないから紋章は2つしか使えないけど、もう1つ入れてみようかな。

青白く光る剣の付け根にもう1つ紋章を出すと、紋章を吸い込んだ剣は更に青白く光りながらまた少し長さを増す。

なるほど。

向かってきた鬼を一刀両断すると、その様を見た周りの鬼は少しずつ後ずさりしていく。

鬼もビビるんだな。

鬼達に向かって飛び出そうしたとき、ふと遠くに木々を薙ぎ倒しながら歩く一際大きな鬼の姿が見えた。

やっと来たか。

赤い肌は若干灰色がかり、白髪のような髪で風格を漂わせているその鬼は、普通の鬼よりも体が一回り大きく、2本の角が更に二又に分かれていた。

「オマエハワシガクロウテヤル、イノチゴイハ、モウオソイゾ?」

「そうか」



異国人が力むように身を屈ませると、突如異国人の周りに強い風が吹き荒れ始める。

あの渦巻く風を出す気か、こんな間近で。

「岩影」

背中の鞘から飛び出た刀は、刀身を幅広く伸ばしながら目の前に降り立つ。

「前を頼む」

瞬く間に異国人が吹き荒れる風に包まれると、掻き回すような低い音を鳴らしながら風は渦巻き始めて天を昇り始める。

そして渦巻く風は瞬く間に太さを増しながら、土や石、崩れた建物の破片を巻き込みながらこちらに迫ってきた。

くっ・・・下がるしかないのか。

強い風の圧や砂埃に視界が狭まっていく中、突如風杜若が1人で巨大な渦巻く風に飛んでいった。

「おい・・・待て」

風杜若が天高く飛んでいき、巨大な渦巻く風に刀身を振り下ろすと、まるで竹が割れるように巨大な渦巻く風に真っ直ぐ亀裂が入っていった。

徐々に巨大な渦巻く風の勢いが失せていくと、風杜若が地面に降り立つ頃には渦巻く風はゆっくりと空に解けていっていた。

しかし渦巻く風の跡には異国人の姿が無く、ただ小さな風の音が辺りに響き渡っているだけだった。

逃げ失せたか。

「おい杜若、あまり無茶をするな」

「無茶だと?理一こそ、何故私を使おうとは思わなかったんだ?」

こちらに顔を向けた途端に風杜若は少し責めるような口調で歩み寄ってくる。

確かに少しばかり冷静さを忘れていたな。

「・・・済まぬ」

小さく笑みを吹き出した風杜若はすぐに表情を緩ませ、風になびくように天を仰いだ。

「確かにとじゃ君は存在感が風みたいだしね」

「な・・・」

呆気に取られたような表情で固まる風杜若を見てから後ろを振り向くと、黒桜がからかうように小さく笑みを浮かべていた。

「おい桜、それはどのような意味だ?」

風杜若が問いかけるが、こちらに顔を向けた黒桜は刀に戻り、すぐに鞘に入っていった。

「おい」

「杜若、雀翼で再び異国人と相見える故、またすぐに力を借りるだろう」

「あぁ」

風杜若が鞘に戻ったので貫鷹の下に向かうが、血にまみれ横たわるその姿は事の切れを容易に伺わせた。

「・・・憑鷹殿」

振り返るとそこには砲虎が居たが、すぐに砲虎は力が抜けたように膝を地面に落とした。

すぐに駆け寄って肩を支えると、腕を掴んだ砲虎は額から流れる血に表情を歪ませながらゆっくりと顔を上げる。

「千牙龍が・・・異国人に・・・ぐっ」

「喋るな、すぐに医者の下に連れていく」



さすがに親玉の皮膚は硬いな。

興奮して筋肉が太くなってるからかな。

鬼の親玉の拳が地面に叩きつけられると、一瞬の轟音と地響きに木々は揺れ、辺り一面の枝葉まで振動を響かせていく。

・・・そうだ、強化した紋章を剣に合わせたらどうかな。

「ナカナカシブトイサムライダナ」

少し距離を取り、剣を元に戻して光と闇の紋様を纏った紋章を1つ重ねた、光と闇を纏った氷弾を撃つ。

すると胸元に当たったその弾は、巨大な鬼の親玉が見えなくなるほどの光と闇と氷の爆風を生んだ。

「ガァッ」

土砂崩れが起きたような音を轟かせ、木々を薙ぎ倒しながら鬼の親玉が吹き飛んでいくその隙に、剣の付け根に光と闇の紋様を纏った紋章を出す。

すると紋章を吸い込んだ剣は柄と鍔のデザインも少し変わり、長くなった剣身は青白く染まった代わりに白い光と黒い風を纏った。

・・・なるほど、これが本来の強化した姿かな。

鬼の親玉が飛んでいった方に向かっていき、立ち上がった鬼の親玉の左胸に剣を突き刺す。

「グッ・・・オノレ・・・」

それでも鬼の親玉は腕を振り上げたので、すぐに光と闇を纏った氷弾を鬼の親玉の顔に撃ち込む。

鬼の親玉から剣を抜くと、轟音と砂埃を巻き上げながら地響きを起こした鬼からは、殺気が波のように引く様子が伺えていった。

鬼の親玉の頭の方に回り込んでみるが、頭には妖怪石と思われる石は着いていなかった。

あれ?無いのかな。

体中を見回してみるが、やはり妖怪石はどこにも着いていない。

・・・これじゃ無駄に殺したことになるな。

せっかくだし、この立派な角でも持ってってあげないと可哀相かな。

鬼の親玉の角を押さえ、角の付け根に向けて思いっきり剣を振り下ろす。

「あの」

不意に声を掛けられたのですぐに振り返ると、そこにはまるで人の姿をしたものが木の陰からこちらを見つめていた。

見た目は丸きり人間だけど、雰囲気に似た何かが異様な違和感を醸し出している。

「ん?」

「鬼を、殺したのですか?」

少し怯えたような声色だが、その女性からは怒りのようなものは感じない。

「そうだけど、いけなかったかな?」

するとその女性は素早く首を横に振った。

「いいえ。私達の村は、代々鬼に脅かされていたので」

村って・・・ジャクヨクとかとは別のところかな。

何にしても殺しちゃいけない訳じゃなかったみたいだな。

「そうか」

切り離した角を一旦地面に突き立てる。

結構大きいな。

すぐに2本目の角の下に行き、角を押さえながら剣を振り下ろして角を切り離す。

「あの」

木の陰に隠れていた女性はどことなく安心したような表情になると、少しずつこちらの方に歩み寄ってきた。

「ん?」

「その角、1つ持っていっても良いですか?鬼が死んだという証拠が欲しいんです」

・・・まぁ良いか、2本あるし。

「良いよ」

小さく笑みを浮かべたその女性は地面に突き立てられた角に駆け寄った。

「うーん」

しかしその女性は角を引っ張りながら唸っているので、剣を消してから歩み寄る。

「大丈夫?」

その女性がこちらに顔を向けたとき、ふとその女性の瞳に目を奪われた。

・・・まるで宝石のような鮮やかな緑色だ。

確かジャクヨクの修練番の女性も、少しだけ緑色がかってたけど。

こんなに鮮やかじゃなかった。

「君はどこの出身なの?」

「え・・・」

周りを見渡したその女性は遠くの方に目を向けたときに動きが止まる。

「・・・あっち」

そう一言告げるとその女性はゆっくりとこちらに目線を戻してきた。

・・・村の名前とか無いのかな。

「あっちにも人間が住んでるんだね」

するとその女性は少し慌てるように首を横に振り出した。

「わ、私達、人間じゃありません」

・・・どういうこと?

「え、じゃあ、何?」

「妖怪です。よく見て下さい、私の目、翡翠色でしょ?」

・・・目が緑色だと妖怪なのか。

憑鷹にとっての右腕は白火ビャッカ黒桜クロザクラですね。雷菖蒲カミナリアヤメ風杜若カゼトジャクは補佐的な感じですかね。

ありがとうございました。

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