表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エネルゲイア×ディビエイト  作者: 加藤貴敏
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/351

あの人を捜して2

するとすぐに男性の掌から放たれたビームのような光は、防壁をかすりながらも防壁をえぐるように真横を通り過ぎて行った。

防壁が砕けたか。

ならこの人は覚醒でもしてるのか。

「悪いが、死んだ後で俺を恨むなよ?」

呟きながら男性が勢いよく水平に手を振ると、手が通った跡をつけるかのように光の弧が男性の目の前に描かれた。

絶氷牙を纏った瞬間、光の弧の端から細く短い光が無数に飛び出して来たが、氷の鎧に当たった光はことごとく消滅していく。

「何だこいつっ」

戸惑いながらも男性はすぐにまた手を光で包み始めると、光は手から真っ直ぐ伸びていき剣のように先端を尖らせていく。

ノブ達だけでも3対2だし、問題は無いだろう。

話が出来るか分からないけど、とりあえずビルの中に入ってみようか。

男性の光の手刀を絶氷槍で受け止めたとき、衝撃音と共にもう1人の能力者が勢いよく飛んでいくのが目に入った。

しかし吹き飛ばされながらもその男性は握りしめた両手を勢いよく後ろに引くと、空気が叩きつけられたように拳から小さな波が生まれ、男性は難無く体勢を立て直す。

そしてすぐに男性はその場でノブ達の方に拳を突き出し、空気の波を衝撃波のように飛ばした。

なるほど、ノブと似たような力なのか。

「よそ見か。随分と余裕があるんだな」

絶氷槍を弾いた男性は素早く光の手刀を振り下ろすが、氷を刺すような小さな音と共に光の手刀は肩で止まった。

「くっ硬ぇ」

「悪いけど、君に構う気は無いよ」

男性の腕を掴んですかさず腹辺りに拳を突き出そうとしたが、その前に男性の手から放たれた光に阻まれると、男性は腕を払う勢いで光の手刀を振り回し始めた。

一旦少し下がると、同じように距離をとった男性の表情から怒りのようなものが見てとれた。

「俺にはお前と戦う理由があるんだ。あまり遠くばっか見てると、今にも足をすくわれるぞ?」

「そうか」

なら、さっさと戦闘不能にさせるまでだな。

ブースターに意識を集中させたとき、男性の体が突如光に包まれると、気合いを入れるかのように両腕が勢いよく小さく広げられると同時に、光は鎧のように形作られて男性の全身を覆った。

まるで氷牙みたいだな。

ブースターを噴射させて拳を突き出しながら、男性の懐に飛び込む。

直撃を受けた男性は足を踏ん張り、少し後ろに押されただけで衝撃を受け止めると、すぐに手から光のビームを放って反撃をしてきた。

どうやら防御力は上がったみたいだな。

ブースターを出して衝撃を相殺しながら足を踏ん張ったとき、反撃の隙を与えないようにすかさず男性が走り出す。

振り下ろされる光の手刀を紋章で受け止めながら、もう片方の手から紋章を2つ重ねた絶氷弾を撃つ。

氷が砕け散るような爆発音と共に男性は強く吹き飛ばされるが、時間も経たない内に起き上がると、目を覚ますかのように首を振りながらゆっくりと立ち上がり始める。

結構タフなんだな。

だけど今ならチャンスだろう。

男性が完全に立ち上がる前に絶氷弾砲を構えるが、まだ体が重そうにもかかわらず、こちらと同じように男性も掌を向けてくる。

絶氷弾砲を撃ち出したと同時に男性の掌が瞬間的に光り出すと、放たれた光に迎撃された氷の弾は男性に届く前に破裂し、爆風は霧のように静かに風に流されていった。

判断力も高い・・・。

でも近くで撃てば避けられないだろう。

向かってきた男性の光の手刀を旋回しながらかわし、そのままの勢いで男性の首筋に尻尾を叩きつけ、男性がよろめいた隙に更にブースターで勢いをつけた蹴りを入れる。

そしてすぐにブースターで距離を詰め、男性が体勢を立て直そうと足を踏ん張ると同時に、絶氷弾砲を近距離で撃ち出した。

黄みがかった色の光の鎧は白く変色するほど凍りつき、その上コンクリートの壁や地面への衝突で今にも砕けそうにヒビが割れたが、男性は突っ伏したままでも、もがくように手を伸ばし始める。

まだ動けるのか。

たいした防御力だな。

ノブ達が相手をしている能力者に目を向けたとき、突如空の方から街全体を揺らすほどの轟音が体中に響いた。

とっさに地面をも揺らしたような音がした方に顔を向けると、天狗と思われる人影が去って行ったビルの屋上から、尻尾が5又に分かれたサソリの形をした巨大動物がこちらの方を見据えていた。

・・・あれは・・・まさか、あの時のエニグマなのか?

遠くても分かる、似てるどころじゃない、あれは、あの時のエニグマそのものだ。

通りで聞き覚えのある雄叫びだと思った。

でも、どうしてここに・・・。

するとエニグマは狙いを定めるように静かに飛び降り、ガラスや壁を破壊しながら能力者のアジトのビルに入っていった。

狙いはあっちか。

エニグマを追いかけるように飛び立ち、重機で無理矢理開けられたかのような大穴からビルに侵入する。

この世のものではない巨大な生物を目の前にして、立ち向かおうとしているのか、それとも足がすくんで動けないのか、能力者と思われる人達がエニグマと対峙しているのが見えると、先にエニグマが動き出し、天井を突き破りながら鉄球のように先端が膨らんでいる尻尾を振り回し始める。

天井や壁がいとも簡単に破壊され、轟音と共に建物全体が揺れるような振動が起きると、能力者と思われる人達は抵抗も出来ずにその場から逃げ出そうと散り散りになっていった。

どうやったのか分からないけど、エニグマを使うってことは建物を破壊するのが目的なのか?

結果的にはこの組織を潰すことにはなるだろう。

だけど、それが目的ではないような気がする。

突如凄まじい振動が建物全体に響くと、ビルは爆破でもされたかのように瞬く間に形を失っていく。

柱がやられたか。

何とか外に出るとビルから脱出したアジトの能力者達は、体中にのしかかる瓦礫を軽々と振り払うエニグマを睨みつけるように見上げていた。

・・・急に大人しくなったな。

まるで指示を受けたかのように動きが止まったエニグマが瓦礫の上からただこちらの方を見据えると、ノブ達も戦いを止め、睨み合っているエニグマと能力者達の間に異様な静けさが流れ始める。

一体、どうなってんだ・・・。

するとエニグマが現れた隣のビルから、先程の天狗と思われる翼を生やした人影がエニグマの上にゆっくりと降り立った。

どうやらベージュのフードコートで翼以外を隠してるみたいだな。

所々穴が開いていてボロボロだけど、素性を隠したいと思うなら、本当にアジトとは関係ないってことなんだろう。

それにしてもまさかあの人、エニグマを手なずけてるのかな?

「てめぇ、いったい何のつもりだっ」

ビルの上部が崩れる直前に外へ逃げ出してきたスキンヘッドの能力者が口を開くと、フードを被っているせいか顔は分からないが、その人が口を開いた男性の方に顔を向けたのははっきりと見えた。

「このまま逃げられると思ってんのか?ああ?」

するとその人は黙って手に緑色に光る何かを電気のようにほとばしらせると、その手を大きく振り払うと同時に、その緑色にほとばしる光をこちらの方に飛ばしてきた。

「くそっ」

「何だあいつ」

ノブ達も広範囲に散らばる緑の電撃のような光に少し身を屈めながら、エニグマの上に佇む天狗と思われる人に警戒の眼差しを向ける。

結構攻撃範囲が広いな。

エニグマを知ってるなら、あの人もオーナーに頼んで異世界に行ったのかな?

マイのような力や、ナカオカの知り合いのような力を持っているなら、従わせるのも不可能じゃないんだろうけど。

カズマのように、どの世界にいるかも知れないものを勝手に召喚したってこともある。

「ちっ・・・おいっハタナカ・・・って、んなとこで寝てんじゃねぇよ。ニシキ、そいつらはもういい、天狗をやれっ」

どうやら司令塔役はあのスキンヘッドの能力者みたいだな。

「分かった」

ノブ達と対峙していたニシキと呼ばれた能力者がすぐに天狗の方に駆け出すと、辛そうに立ち上がった光の鎧を着た能力者も、ニシキと呼ばれた能力者の方に重たい足取りで駆け寄る。

あっちの方がハタナカだったのか。

ニシキが拳を引くと天狗も同じように手を引き、放電させるように緑色の光を手に集め始めると、ニシキは目の前の空間を殴りつけるように拳を突き出し、衝撃波のように空気の波を飛ばす。

すると天狗は緑色の光を前に突き出し、正面から空気の波を受け止めると、そのまま放電しているような緑色の光の球をニシキに向けて飛ばした。

ニシキも天狗と同様に空気の波を生み出し、自身の目の前で緑色の光の球を受け止めるが、爆発するように放電した衝撃にニシキは勢いよく吹き飛ばされる。

気を失ったのか、倒れたまま動かなくなったニシキを目の当たりにしたハタナカは、すぐに天狗に体を向けて身構えた。

「はぁああ」

そして両手を前に出し、残りの力を振り絞るように自身よりも大きな光の球を作り出すと、受け止めるような体勢に身構えた天狗の全身が緑色にほとばしる電気に覆われる。

ハタナカって人、まだあんな力があったのか。

天狗の全身が放電するような緑色の光に包まれると同時に、放たれた巨大な光の球で天狗の姿が見えなくなる。

天狗の力がどれほどかは知らないけど、果たしてあの光の球でダメージを与えられるだろうか。

しかし電気がほとばしるような轟音と共に巨大な光の球の勢いが無くなると、更に激しい放電によって巨大な光の球は空気に溶けるように消滅していった。

ああ・・・。

広範囲に広がる爆風と共に緑色の光がほとばしる中、姿を現した天狗が被っていたフードが外れ、更に羽織っていた古びたロングコートが燃え尽きるように空に消えていく。

・・・あれは、まさか・・・。

翼を広げ、首から下を鎧で固めたその女性の胸元には、鮮やか血のような色をしたひし形のものが埋め込まれていた。

・・・堕混。

しかもあの人、前にアジトの人と思われる人達と口論してた人だ。

するとその女性は音もなく飛び降り、翼を広げながら静かにハタナカの目の前に降り立った。

何だ、この人、この気迫、今までの堕混よりも鋭さが段違いだ。

「くっ」

後ずさりしながら身構えるハタナカをよそに、その女性は冷ややかかつ、鋭い眼差しでハタナカを見つめている。

・・・強い殺気のせいか、隙が感じられない。

しかし、イギリスで倒した堕混の他に、まだこの世界に堕混が居たなんて。

ハタナカが拳に光を溜めて走り出すと、直後にその女性は両手に集めた緑色の光を剣のような長く鋭い形に固める。

そしてハタナカの拳が届く前に女性が素早くハタナカに一太刀を入れると、立て続けに交差させた2本の緑色の光の剣を強く振り抜いた。

瞬間的な電撃音と共に吹き飛ばされながら光の鎧が砕け散り、ハタナカが意識を失ったかのように倒れたまま動かなくなると、女性はすぐに緑色の光の剣を消して背筋を真っ直ぐに戻した。

速い・・・。

でもあの太刀筋、どっかで見たような気がする。

「てめぇっ」

女性がスキンヘッドの能力者にゆっくりと体を向けると、スキンヘッドの能力者の周りの能力者達も皆、緊迫感と殺気に押されるように身を固めてしまう。

このまま堕混を倒すのは惜しいな。

この際、色々と情報を聞き出そうか。

「君が天狗なの?」

首を回してこちらの方を見た女性は眉間にシワを寄せながら、ゆっくりと体と共に殺気を向けてくる。

「テング?・・・いや、私の名前、ハオンジュだけど・・・」

「・・・そうか」

・・・まあ天狗を知らなきゃ仕方ないか。

・・・え?

「名前は知らなくて当然だと思う。あの時はそんな状況じゃなかったから」

な・・・何を言ってるんだろう。

「あの時?」

殺気が溢れる眼差しの中で、ハオンジュという女性の口角が少しだけ上がったように見えた。

「顔も隠してたし、そもそも覚えていたかどうかって聞けるほどのことじゃなかった。だけど、私はあなたを覚えてる」

・・・一体、何の話をしてるんだ?

女性の堕混なんて初めてだしな。

「どこかで会ったことがあるの?」

するとハオンジュから笑みが消え、体全体から威圧的な殺気が溢れ出した。

「すぐに思い出させてあげる」

その直後にハオンジュが飛び出しながら両手から緑色の光の剣を出したので、とっさに紋章を前に出して2本の緑色の光の剣を受け止めるが、激しい電撃のような光を纏う剣により紋章に勢いよく亀裂が入る。

紋章が・・・。

果たしてこれが、起承転結の転なのか、起なのか。ってところですかね。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ