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第5話


 それぞれが、それぞれに思いをかかえた休暇も終わり。


 手塚はバリヤの隊員たちを率いて、またクイーンシティへとやって来ていた。

 第7チームからは土倉、晃一、ワルテ。クイーンからはティーナとセシル。こちらの資材成分の解析のため、京之助も一緒だ。


「ティーナ。セシル。おかえりなさい」

「「ただいま帰りました、シルヴァ王妃」」

 迎えに出た王妃に、ティーナとセシルはうやうやしく挨拶する。

「あちらの様子を聞かせてもらいたいのは山々ですが、今は壁へ行くのが先決ですね」

「「はい」」

 ふたりが声をそろえて言うと、シルヴァはにっこり笑って満足そうに言った。

「それでは、貴女たちはバリヤの皆さんを高い壁へ案内して下さい。私は手塚さんと少しお話がありますので」



 そして今、ティーナたちは高い壁の足もとへと来ていた。

 下から見上げるその壁は、どこまでも高く高く、まるで空を2つに分けているようだ。

「うわっ、実際に見るとやっぱりすげえな」

 ワルテが感無量という様子で言う。土倉もホワッと言って壁を見上げる。京之助は早速仕事の顔になっている。

 ひとり晃一は、嬉しさを隠せない様子で、ニコニコしながらあっちへ行ったりこっちへ行ったり、かと思うと、壁をなでて感触を確かめたりしていた。


「写真じゃない本物はいかが?」

 そんな様子を可笑しそうに見ていたティーナが晃一に聞く。

「すげえ~。あ、いや、すごいですよ」

「うふふ、すげえ~、でいいわよ」

 ちょっとからかおうとしたティーナの方を振り向いた晃一は、いきなりその手を取って興奮気味に話し出す。

「貴女たちは本当にすごい! 頑丈なだけじゃなく、こんなに高くて! こっちの男どもはなぜこの技術を役に立たないなんて言うんだ、ねえ…えっと、どうしました?」

 何だろう? なぜかティーナが固まっている。

 ふと気づくと、ずいぶん近いところにティーナの顔があった。晃一はあまりの嬉しさに、気づかずティーナに近づきすぎたようだ。

「あ。す、すみません」

 ティーナはこちらの男にひどい目にあわせられていたと言う。

 たとえ次元の向こうの男とはいえ、こんなに近づいては怖かったのだろう。あわてて手を離して距離をとった。

「いえ」真っ赤になりながらうつむくティーナは、なぜかしら少し残念そうに見えた。



 その向こうでは、セシルが京之助に声をかけていた。

「いかが?」

「ああ…触ってみた感じでは、あちらの石壁となんら変わりはないな。少しサンプルをもらって行ってもいいのかな」

 落ち着いた様子で言う京之助に、セシルは微笑みながら言う。

「ええ、そのために来たんでしょ?」

「ありがとう、では遠慮なく。…土倉指揮官」

「なんだ?」

「この壁のサンプルを採取して持って帰ります」

「早速かぁ。真面目だねえ、君は」

「遅くなっては、リーダーの言うように、またお偉方にどやされますよ」

「うへっ、そーだね」

 ポンと自分のおでこをたたきながら、土倉は一緒に来ていたクイーンの技術班に採取の依頼を出した。



 ひとしきり壁の技術を見終わると、晃一たちはまた王宮へ戻る。

 するとそこには、バリヤの第1チームと第2チームが準備万端で揃っていた。

「おう! どうだった、壁の方は」

 手塚が聞くと、晃一が嬉しそうに答える。

「いやー、すごいですね。感動ものですよ」

「そうか、そりゃ良かった。で、帰ってすぐで悪いんだが、小美野とワルテはこのあと、バリヤの戦闘チームと一緒に制御装置を見に行ってもらう」

「はい」


「それから刀弥は。ああ、いたいた。お前は壁のサンプルを…」

 と言ったそばから、京之助が「それならここに」と、先ほど採取したサンプルを見せる。

「おや、さすがに早いねえ。お偉いさんが涙を流して喜ぶぜ。じゃあお前はそいつを次元の向こうに持って帰って、第5チームの研究所で分析を急いでくれ」

「わかりました」

 すぐにでも次元の向こうへ帰ろうとする京之助に、手塚は少し待つように言った。


「ああー、待ってくれ刀弥。お前さんだけが行くより、クイーンの誰かと行く方が、より細かい分析が出来るんじゃないか? えーっと、それには、ティーナさん、行ってくれますか?」

「あ…」

 少し言いよどむティーナに、その返事をさえぎるようにセシルが言った。

「私が行きますわ。成分分析はティーナより私の方が詳しいんです」

 ニッコリと微笑んで言うが、それが彫刻のように美しく、有無を言わせないような迫力がある。なるほど、美人にはかなわねぇな、と手塚は思いながら訂正した。


「わかった。それなら刀弥とセシルさんは次元の向こうへ。ティーナさんはこちらに残って、一緒に壁の向こうへ行く護衛アンドロイドを選んでくれますか」

「護衛アンドロイドと言うのは?」

 璃空が聞く。


「ああ、俺もさっき王妃に聞いて初めて知ったんだが、こっちの女性は高い壁が出来るまで、戦闘アンドロイドから身を守るために、護衛用アンドロイドの開発に力を注いでいたそうだ。で、そいつらは守りにかけては超一流の性能だから、一緒に連れて行けば何かの役に立つってことだ。こっちの男は、そんなものいらねえなんてバカなことを言ってたらしい。でも俺たちは、護衛アンドロイドなら大歓迎だって言ったのさ」


「わかりました。ではティーナさん、早急にそれらを選んで下さい。その間にワルテと晃一は、こちらの戦闘服を着用しろ。俺も自分で着けてみて思ったんだが、さすがというか、戦闘服ひとつとってもずいぶん研究されているんだ」

「へえー。わかったよ」

「りょーかい」

 そうして晃一たちは再び高い壁の元へと向って行った。





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