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第10話

 残った璃空たちは、戦闘アンドロイドを倒すべく、再び闘いを繰り広げていく。

 凶暴化が修まれば、いつもどおりアンドロイドの弱点を突いて攻撃していくのみだ。並行して、工場の主要部分も破壊する。



 忠士も戦闘を続けていたが、たびたびタミーの方に目をやっている。タミーも忠士が気になるようだが、しらんぷりを装っている。

 しばらくすると「あー!もう我慢ならねえ!」と頭をかきむしり、璃空のそばまで走り込んで叫ぶ忠士。

「新行内! 悪いが30秒だけタミーを借りる!」

「ええ?!」と、驚いてこちらを見るタミー。しかしすぐ立ち直り、銃を構えて敵を倒す。

 璃空はジロッと横目で忠士を見ると、静かに言った。

「きっかり30秒で返せよ」


 璃空にお許し?をもらった忠士は、タミーのそばまで素早く移動し、今だけだ!許せ、と思いつつ上司の威光を振りかざす。

「ネレイ! ここに30秒だけ、結界を張れ!」

 当然ネレイは「ええー?指揮官、横暴だよー」と文句を言うが、そんなものは知ったこっちゃない。

「高級ホテルのスイーツ食べ放題と引き替えだ!」

「うわぁーホント? じゃあ契約成立!ホイ、結界始動~」


 タミーと忠士のまわりにネレイのバリアが張られたのがわかる。

 忠士は時間がないため、驚くタミーの手を取り、まくし立てる。

「タミー許してくれ! あんな形で指輪を渡すつもりじゃなかったんだ。けどさっきお前があの手鏡を持ってくれてるのを見て、たまらなくなった。時間がないから単刀直入に言う。タミー・アヴリーヌ。俺はお前を愛している。俺と、広実 忠士と結婚してくれ。頼む!」


 頭を下げる忠士の耳に、ドォン!ドォン!と響く銃声。その合間に、ヒュウ~と隊員たちの口笛が混じる。ネレイは初めて見る焦ったような上司を見て、ちょっと顔を赤くしながらも嬉しそうだ。

 タミーはやれやれと肩をすくめて、仕様がなさそうに言う。

「なんでこんな恥ずかしい真似するのよまったく。ホント世話の焼ける人」

「タミー~」

 またうなだれる忠士。しかしその首にぐっと腕がまわる。

「でも、こんな人と一生上手くやっていけるのは、私くらいよね」

「え?」

 タミーは忠士に顔を近づけながら、嬉しそうに言った。

「わかったわよ、結婚して、あ・げ・る」


 忠士はしばらく、訳が分からないような顔をしていたが、その意味を理解すると「タミー」とささやいて彼女にKissをした。どんどん深くなる2人の口づけ。

「あと10秒しかないよ~」

 あきれたようなネレイの声がそのあとも響く。

「あと5秒。4、3、2、1!」

 ゼロの声とともにスッと結界が消える。

 それが合図のように、忠士とタミーは唇を離したが、抱き合ったままお互いの背中越しにドンドンッとアンドロイド向けて銃を撃ちまくる。


「イャッホー、皆~今日はいい日だねえ」

 浮かれる忠士の耳にネレイの嬉しそうな声が聞こえた。

「高級ホテルのスイーツ、スイーツ~。どこにしようかな~」

 げっと言う顔をした忠士に、バリヤの連中が追い打ちをかける。

「ついでだ、俺たちにも酒を奢れ!」

「そうだそうだ」

「あたしにはスイーツ!」

 するとヤケになったように、ハイテンションで答える忠士。

「ええい!わかったよ。全部奢ってやる」

「大丈夫? 結婚式はハイグレードじゃなきゃ許さないんだけど」とタミー。

「勘弁してよお~」

 言葉とは裏腹に、こんな戦場で忠士は本当に幸せそうだった。



 その後、タミーとはいったん離れて戦闘を続けていた忠士は、璃空と遭遇した。

「人騒がせなヤツだ」

 いつものごとく、憮然とした顔で言う璃空。

「璃空くん、許してよ~」

 忠士はまだまだにやけた顔を隠さずに言う。璃空はあきれてその様子を見ていたが、

「ちゃんと30秒で返したんだ、許してやる。それと」

「?」

「おめでとう。幸せになれよ」

 璃空がはじめて綺麗な笑顔を見せて忠士の背中をたたきながら言ったあと、敵の中へ飛び出して行く。

 忠士はまた視界が緩んでくるのを止められずにいた。

 くっそおー、今日は何の災難だ!





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