秋の京都
なし
上も下も観光客でごったがえす参道。
そして、境内へ続く石畳。
両脇の売店からは
売り子が観光客の氣を引こうと必死。
紙コップのお茶を手渡したり
お菓子満載の
漆菓子盆を手に奮闘中。
少しでも長くお店を回遊してもらいたい
売り上げに貢献してほしい
そんな氣が
ほがらかな
笑顔の裏に見え透ける。
彼女らの上にはお店があり、
そのお店への商品の卸問屋があり
商品を作る会社がある。
秋則は先頭をすすむ。
「はーい、皆さん遅れないでください。
もうすぐ、境内に入ります」
門が見えてきた。
国宝。
後ろに頂く山の紅葉が絶妙。
国宝たる所以。
「高雄さーーん。
写真1枚撮ってください」
ハイテンションのおばちゃん軍団。
あれからの6ヶ月。
ここまでの道のりは長かった。
苦行を終え、やっと希望の部署に
行くことができた。
はじめは、先輩社員について段取りを学んだ。
というのも、添乗員になるには資格がいるらしく
無資格の者は、有資格者と一緒にするしかなかったのだ。
はじめは、町内会、老人クラブ、
おばちゃん連中の日帰り
あるいは、1泊旅行が多かった。
ひたすら安い単価で
貧乏暇なしというくらい添乗した。
その1年後
研修を終え
秋則は旅行業務取り扱い管理者を
習得した
なし