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 二階にはやはり左右と真ん中、三つの部屋があり、私達は今度は真ん中から行こうかと考えていた。

 しかし、真ん中の扉には鍵がかかっていた。


「うーん……駄目、これは特別な鍵じゃないと開かないみたい」


 【鑑定】で調べた結果に私は首を振って皆を見た。


「特別な鍵か……まずは他の部屋を調べてみるか」

「そうだね」

「ピィ」


 トオルの言葉にうなずいて、まずは右側の部屋にむかった。

 そこは可愛らしく整えられていて、一目で若い女性の部屋だとわかった。


「天蓋付きのベッドに白い猫脚の家具かあ。綺麗に掃除したら可愛いだろうな。もったいないねー」


 部屋を見渡して、露草は肩をすくめる。確かにその通りだったので、私やユノ、さやかちゃんはうなずいた。トオルやユキトさん、男性陣は興味無いみたいだったけど。


「取り敢えず調べましょうかー」


 のんびりとしたユノの言葉で部屋の探索が行われたけど、めぼしい物は見つからず、左側の部屋に行くことになった。




「ここは、夫婦の部屋……なのかな?」


 部屋に入ったユキトさんが首をひねる。部屋にはダブルベッドや男性用の服がしまわれているクローゼットと、ドレスがしまわれているクローゼットがあった。


「そのようだな。さっきの部屋が娘のもので、ここがこの屋敷の主人夫妻の部屋か」

「真ん中の部屋は?」

「書斎か何かだろ」


 なるほど。トオルの言葉に納得して私は皆に混じって部屋を調べ始めた。


「……何もないねー」

「ピィ……」


 さやかちゃんがレヴィと一緒に困ったような声を上げた。そう、この部屋にも鍵はなく、怪しげな物も見付からなかった。


「見落としたのかな?」

「もう一度、一階から見てまわりますかー?」


 露草が眉を寄せてつぶやき、続けてユノが皆に尋ねた。


「他に方法もないし、それしかないかな」

「ああ」


 ユキトさんとトオルが同意し、私やさやかちゃんも特に意見はなかったので、また一階から調べ直すことになった。

 そして、数十分後。


「……あれ?」

「ピィ?」


 一階を調べ終わり、再び娘の部屋と思わしき部屋を調べていた私はなんとなく違和感を覚えた。

 なんだろう。

 一歩下がり、じっくりと部屋を見渡す。視線が壁ぎわに来た時に気付いた。

 壁ぎわに置かれた本棚。その中にぎっしり詰まっている本の一冊が、僅かに突き出ていたのだ。

 なんだ、大したことじゃなかったな。

 私は本を押し込めようとして、出来なかった。


「……あれ?」


 どんなに押しても中に入らない。私は疑問符を浮かべながら本を抜き取った。


「中は……詩集か。特に怪しい点は、なし」


 本自体に問題はなかった。私は本を戻すために抜き取った後の場所を見て、気が付いた。

 奥に、もう一冊置かれている。


「……これは、日記?」


 ざっと読んでみると、それはメイドの書いた日記のようだった。なぜメイドの日記がこんなところに隠されているのか。何が書いてあるのか。

 私は心臓を高鳴らせ、皆にこの発見を伝えたのだった。




 メイドの日記には、この屋敷で起こった忌まわしき出来事が書かれていた。

 この屋敷には、仲の良い家族が住んでいた。主人夫妻と娘である。

 しかし、流行り病で妻と娘を亡くした屋敷の主人は、おかしくなってしまう。

 夜な夜な怪しげな儀式を繰り返し、屋敷にはゴーストやモンスターが集まった。

 そして使用人が一人、また一人といなくなり、耐えきれなくなった日記の持ち主は、この日記を娘の部屋に隠して逃げ出す計画をたてた、らしい。


「……無事に逃げられたのかな」

「さあな。おい、同情するなよ、これはゲームなんだからな」

「わ、わかってるけど……」


 トオルに釘を刺され、私は口籠もった。わかってるけど、やっぱりもやもやとするんだよね。

 さやかちゃんや露草、ユノも私と同じみたいで複雑な表情を浮かべている。

 そんな重い雰囲気を払おうとしてか、ユキトさんが私に話しかけてきた。


「えーっと。それで、書斎の鍵はどこにあるか、書いてるの?」

「あ、はい。あの丸くて白いモンスター……ハンプエッグに主人が渡しているのを見かけた、と書いてありました」

「あいつかー」


 たれ気味のユキトさんの目が少しだけ吊り上がる。

 ハンプエッグは、ユキトさんに害虫認定されちゃっているらしい。


「うーん。どこにいるんだろ。一階にもいなかったし……どうやって探す?」


 腕を組んで露草が皆を見渡すと、ユノが怪しげな笑みを浮かべた。


「そうですねー。探すのではなく、誘き寄せるのはどうでしょうー?」

「誘き寄せる? どうやってだ」

「ふっふっふ……まあ見ててください」


 ユノはトオルの疑問に含み笑いで答えた。

 ……なんとなーく嫌な予感がするのは気のせいだよね? だよね?

 私はユノの怪しい微笑みを見ながら、顔を引きつらせたのだった。

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