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閑話:トオル小話

 11話頃の話です。読まなくても特に問題ありません。

 プレイヤー達で賑わう時計台広場。

 土龍族のプレイヤー、トオルは自分の露店で一本の武器を手に持ちじっくりと眺めていた。

 ポイズン・ククリ。最近知り合った友人にプレゼントする予定の武器である。

 まだ不満は残る出来だが、今のところはこれが精一杯だ。仕方ないかと思い切ったところで、とある音楽が脳内に響いた。

 自宅リアルからの緊急連絡用に設定した音楽だった。


「……またか(・・・)」


 一瞬、無視してしまおうかと悩む。だが、それをすると確実に後でうるさいことになるし、万が一、ということもある。

 仕方なく、トオルはリンにコールして待ち合わせに遅れる旨と謝罪を告げ、リアルに帰還したのだった。



「お兄ちゃん、おっそーい!」


 目を開いてすぐ耳に飛び込んできたのは、彼の妹の声……いや、罵声だった。

 正直、その時点で先は読めた。トオル――いや、《透》は今すぐログインしてしまおうかと真剣に悩む。

 だが、その誘惑は妹が無理矢理VRギアを奪い取ったことで露と消え、透は渋々ベッドに上半身を起こした。


「……裕香。いつも言ってるだろ。下らないことで緊急コールをかけてくるなよ」

「下らなくないもん!」


 裕香は透の言葉に頬を膨らませて抗議する。今年中学に上がった妹だが、まだまだ子供っぽく、透もついつい甘やかしてしまう。


「……で、何の用だよ」


 溜め息とともに苛立ちやら説教やら諸々を呑み込んで、透は妹に問い掛けた。

 すると裕香は膨れっ面を止め、真剣な表情になる。


「そうだった、時間ないんだ。あのね、お兄ちゃん。今から友達とお祭り行く事になったから浴衣出して欲しいの」

「はあ? 勝手に出せばいいだろ」

「どこにあるのかわかんない」

「浴衣じゃなくてもいいだろ」

「浴衣がいいの! いいから、さっさと出してよ!」

「あー、うるせえ。わかったよ……」


 透は溜め息をついてベッドから立ち上がった。三人の姉と二人の妹を持つ透は、女相手に口で勝負するのは勝ち目が無いと理解している。面倒だと思いながらも手早く妹の浴衣を取り出してやった。


「ほらよ。下駄と巾着も忘れんな。髪飾りもあるけど、着付けは美容室で頼むんだよな? どうする?」

「持っていくよ。でも、可愛い髪飾りがあったら買っちゃうかも」

「金は足りるのか?」

「んー……えへへ、少し貸して」

「……ちゃんと返せよ」

「わーい、お兄ちゃんありがと!」


 自分でも甘い、甘過ぎると思いつつ、財布を出してしまう。友達に言わせるとオカン属性らしい。そんなのいらない。


「で、待ち合わせの時間は? 今日も沙知絵ちゃんとかと一緒なんだろ?」

「ううん、今日は違うよー」


 裕香の頬がうっすらピンク色に染まる。


「今日はね、部活の先輩とお祭りに行くんだー」

「……男か」


 半眼になる透の前で裕香は照れたように身体をくねらせ、えへへ、と笑う。


「まあねー。んじゃ、行ってきます。ありがとね、お兄ちゃん」

「気を付けろよ! 男は信用するな!」

「お兄ちゃんって、お母さんみたいだよねー」

「いいからわかったな! 帰り遅くなったら連絡しろよ!」

「はいはい」

「返事は一回!」

「はーい」


 そそくさと逃げるように部屋を出ていく妹を見送り、透は舌打ちした。


「……爆発しろ、リア充め」


 何十年も前に流行ったというネットスラングを呟く。

 この数日後、彼も友人と二人でお祭りを回る事になるのだが、今の彼には知る由も無い事だった。

 27話終了時の主人公所有スキル、称号一覧


 《パッシブスキル》


【かくれんぼ】Lv4【夜目】Lv3【誘き寄せ】Lv1【見習い毒使い】Lv1


 《アクティブスキル》


【鑑定】Lv4【調合】Lv2【鍵開け】Lv4

 短剣スキル《二連撃》Lv2


 《獲得称号》


【牙を持つ小動物】New!【シルト村の友人】

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