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やっとたどり着いた人がいるところ。
王子っぽい人と別れてからその日の内にその町に着くことができた。
「・・・」
「・・・」
思った通り、そこに車は走っていなかった。
日本人も居ない。
それでも話が通じるのだから不思議ではある。
ヨーロッパの田舎町、という感じ。
建物は立派だし、村とは言えないだろうと思う。
町の中に川があって、女性たちがそこで洗濯物を洗っていたりもする。
町の入口には立派なアーチが設えてあり、町中の道路は馬でも馬車でもものともしない石畳で舗装されている。
そういうテーマパークがあってもここまで細かく再現は出来ないはずだというところまでリアルだった。
町の中を歩いてしまえば、アキラも納得せざるを得ない。
「困ったな」
「どうする?お金も何もないんだけど」
身に着けている物なんて自分たちの服だけで、装飾品一つ身に着けていない。
「モンスターでも倒せればお金稼いだりできるのかな?」
「ゲームじゃねぇんだからンなことできるかよ」
アキラはそう言うが、私はそうでもない。
「たぶんできる。なんか私、ゲームで言うところのLv.MAXな気がするんだよねぇ」
「何だそりゃ?」
「『グランドグラン』」
何を言っても理解はしてもらえないだろう。
そう思い、実際に手の中に魔法を出した。
「・・・何だよソレ」
「グランドグランっていう魔道書、らしいよ?」
私にだって分からないことはある。
出てきた魔導書は古めかしいが高そうな装丁の本だった。
そしてそれは手の支えもなく宙に浮いている。
「何か、最初からこの世界の知識がある程度頭の中にあるような気がするんだよねぇ」
「オレにはねぇ」
アキラはそう言うが、そんなことはないだろう。
「じゃああの看板、読める?」
目の前の建物の入口に掲げられた看板を指さす。
「ホーミィの宿屋」
普通に読んでくれてしまった。
それが何だよって顔で見上げてくる顔がまた可愛い。
「うん、じゃあ何語で書いてあると思う?」
「!?」
そこでやっと気が付いたらしい。
無意識に読み上げた文字はひらがなでもカタカナでも漢字でもない。
もっと言えば英語でも中国語でもフランス語でもスペイン語でも・・・とにかく地球上の国で使われてきた文字ではない。
「何だありゃ・・・」
「この国の文字だろうね。ちなみにこの本は古代語で書かれてるらしいから、アキラ読める?」
「読めん・・・」
本の適当なページを開いて見せるがアキラには読めなかった。
そうなんじゃないかと思った。
「私とアキラの中の情報量が違うみたいだねぇ」
「なんでお前魔法なんていきなり使えるんだよ」
「それだけじゃなくってさ、コレ、かなり高位の魔道書らしいし、たぶん剣も使える」
「だから何でだよ」
「わかんないよ。頭の中が勝手にそう言うんだから」
魔道書の目的のページを開く。
そして知っているやり方で本に魔力を込める。
すると本の中から剣の柄が生えた。
それを掴んで本から抜き取る。
「さっきやろうかと思ったんだけどさ、いきなり思いついたから混乱して逃げちゃった」
この召喚っぽい魔法は、魔道書を極めると使える必殺技みたいなモノらしい。
「な、なんでお前だけなんだよ!!」
「いいじゃん。これからちゃんと教えてあげるし」
「お前だけ最初からマスタークラスってひでぇ!!」
そう言われてもなりたくてなったわけじゃないのだが。
「これで、ますます私は男に近づいて、アキラは女に近づいたんだね・・・」
「う・・・」
そんな力を手に入れた中で、私たちは割と簡単にこの世界を受け入れた。
そうなるように頭の中の情報が書き換えられていたのかも知れないが。
ご都合主義どんと来い!なお話です。そして説明^^;
さらにはBLと言っておいてそれっぽい要素がない・・・