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だから言ったのに婚約破棄

作者: 山田 勝
掲載日:2026/11/04

「イメルダよ。お前のような表情のない女はうんざりだ。婚約破棄を【お止め下さいデービット様】」



 私はイメルダ、婚約破棄をされている真っ最中だわ。隣にはやたら病気になる従姉妹がおりますの。


 ここはデービット様のお屋敷のガーデンパーティー・・・・

 思わず止めた。



「イメルダよ!男の発言を遮るとは何事か?!」


「うっさいですわ!穏便な解消にして賠償金を沢山頂ければ十分ですわ!!」

「な、何だと!」


「でなければ」

「脅すか?」


【黒瞳(こくとう)族が来ますわぁ!】


 国瞳族、黒瞳の部族だわ。それはとても恐ろしい方々・・・


 だが、皆様は笑い声出したわ。失笑された。


「「「プゥ~クスクスクスクス~~」」」

「まあ、イメルダ様は夢見る乙女かしら」

「まるで子供のケンカに親を呼ぶようなものだな」



 これは本当にいる。

 実は私のクーパー家とデービット様のガルド家は仲が悪い。

 領地が隣同士だから領土、利権争いでケンカが絶えない。

 だから政略結婚だったのに・・・


 私とメイド2人でガルド家のパーティーに来た。

 一人の黒瞳(こくとう)族が護衛騎士で来ると言ったが断ったわ。

 どうしてもと言うから近くの林で待機させているわ。


 理由はとても恐ろしくて・・・人前に出せないわ。


「お、お嬢様・・・シロウ様が・・・を呼びますか・・・」

 メイドのマリーが震えている。彼女もシロウ殿を見ているのだ。



「フン、クーパー家の者は嘘つきばかりだな。王都で黒瞳族を見たぞ。何か軟弱な商品を作っている者ばかりだ」


「まあ、家門の侮辱と取りますわ。なら、呼ばさせて頂きます」

「お、お嬢様!」


「おう、呼べ。来たらこの剣で両断してくれる!」


 馬鹿ね。デービット様は何も知らないわ。



 私は笛を取り空に向かって吹いたわ。


【ピィーーーーーーーー!】


 彼が来る合図だわ。






 ☆☆☆回想


 シロウ殿とは森で出会った。

 馬車で領地の森を通っていると、流れの冒険者達にからまれたわ。



「よお、姉ちゃん。少し金くれねえ?」

「美人だな。メイドもいいな」


「馬車の前を塞ぐのはやめて下さいませ」


「金くれたら出ていくぜ」

「そうだ。俺たち路銀が足りなくなってよ」


 これは嫌がらせだ。職に困った冒険者達が出ていくから金を渡せと要求する。

 一度渡すとウワサになって次々とくる。タカリの一種だわ。


「お断りしますわ。領民に迷惑をかけたらきっちりと責任をとらせますわ」


 毅然と断ったら・・


【何だと!】

【俺たちがいないと魔物の被害で困るだろが!】



 ゴロツキ達に囲まれたわ。

 そしたら、シロウ様が登場したの。






【やあ、やあ、近き者は更によれ、遠からん者は音にも聞け!我は男衾四朗!か弱き姫に助太刀いたす!】



 奇妙な格好の殿方が現われました。それがシロウ様でしたわ。


 異国の甲冑に手には大きな弓。小さな馬に乗っていました。

 馬も・・・


【ヒィン!ヒヒヒヒヒィーーーーーン】


 ええ、かなり凶暴な馬でしたわ。


 戦い方も・・・



「待て、俺たちはちょっと脅して金を取るつもりだ!」

「な、何だ。近距離で弓を放ってやがる!」

「か、体に穴が空いた・・・」


 ええ、弓で戦いました。あっと馬にゴロツキ達は息が絶え。

 その後、大きなやや曲がった刀を抜き。


 首を刈りましたわ・・・

 その首を持って私の前に来て。



「いや~、蒙古と戦っていたら、弁天様に導かれてこの浄土に来たのじゃ。姫、首級でございます。確認をお願いします!」



 私は気絶しましたわ。


「姫!」

「「「お嬢様!」」」


 その後、屋敷に戻ったら。お父様は客人として迎え。



「うむ・・・イメルダの護衛騎士にした」

「ヒィ、嫌ですわ」


「おう、ご奉公をすることになった。よろしく申し上げる!」

【ヒィン!】



 こうして、私の護衛騎士はシロウ・オブスマ殿になりましたの。




 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




【ピィーーーーーー!】



 笛を吹くと・・・・・

 子馬に乗ったシロウ殿がやってきた。

 手には大弓。



【ヒヒヒヒ~~~~ン!】

【いざ鎌倉!姫、男衾四郎ただいま参上!】



 やってきたわ。


 デービット様達は爆笑したが・・・


「何だ!あの馬は!」

「小さいな!」



 すぐに恐ろしさが分かった。

 シロウ殿は馬を走らせながら弓をいった。


 その矢はデービット様の横をかすめ。

 後ろの庭木に突き刺さったわ。

 ズンと鈍い音がしたわ。



【やあ、やあ、近き者はよって見よ!遠からん者は近くによって見よ!我はオブスマシロウ!イメルダ・クーパー姫の一の家臣!ご奉公に参った!】



「ヒィ・・・」

「おい、騎士たち何をしている!」


「あんなの・・・聞いていない」

「戦えない・・・」



「デービット様!一刀両断して下さい・・・あ、失禁されている」



 皆、見て分かったわ。

 シロウ様はまるで別人種だわ。

 人を殺すのを生業としている階層・・・



 平和なれした騎士では太刀打ち出来ない。


【ア~ハハハハハ、姫、誰を殺せばよろしいですか?】


「シロウ殿、もういいわ。奉公ご苦労様です。後で父上に言い褒美を取らします」


【ハハー!】


 そのまま屋敷に戻って。


「シロウ殿、ご苦労であった。金貨十枚を取らす」

「ハハー!」


 褒美を渡し。


 婚約破棄から解消になり。多額の慰謝料をもらったわ。


 政略結婚は無しになった。

 何故ならこちらは強力な抑止力があると分かったからだわ。


 シロウ殿は領地内に土地を与えられ開墾している。

 自ら畑を耕しているわ。

 人も増えている。



「皆の者、ご苦労じゃな。休憩しよう」


「「「はい、トノ!」」」


 家来にはトノと呼ばせ。


 家来の中には魔族までいる・・・


「トノ、赤子が生まれました。是非、名付け親に」

「うむ。九郎判官でどうじゃ?強い武将じゃ」

「はい、良い名です」


 そして、奥様がいつの間かにできたわ。

 魔族と獣人族、人族の三人だ。


「「「あなた!」」」

「おう、今日の獲物は鹿だ!さばくから少しまっておれ」

「「「はい!」」」



 こんな怖いシロウ殿は・・・



「姫!王都に行かれると聞きました。家人を1人つけましょうぞ」

「いえ、本当に結構ですわ・・・・」


「何かあったら駆けつけましょうぞ」



 土地に縛られている。


 私はこれから王都の学園に行き婚約者を探す。

 学園の賢者様に聞いたら、黒瞳族でも時代を超えてやってくる者がいるとのことだわ。

 数百年単位のズレがあるとのこと・・


 婚約者になられる方にはどうこの護衛騎士のことを話すか思案中だわ。



最後までお読み頂き有難うございました。

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