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異世界召喚されたけど俺のクラスが“クソ野郎”だった件  作者: まにゅまにゅ


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ブルーレット壊滅

 ブルーレットの街は無茶苦茶だった。

 もうそこら中クレーターだらけで石造りの家も木の家も原型を留めぬほど破壊されており、街の壁も瓦礫の山と化していた。


「ひでぇなこりゃ……」


 街の外壁があったであろう場所は完全に瓦解しており、そこから見える範囲に残っている建物はない。見通しが良すぎて怖いくらいだ。そしてあちこちに人が転がっており、ピクリとも動く様子はなかった。多分既に死んでいる人ばかりだろう。


「街が完全に破壊されておるな。まさかこのような手段に出てくるとはな」

「何が起こったらこうなるんだよ。あちこちに岩が転がってるけどまさか……」


 相当な高さから岩を落とさないとこうはならないだろう。考えられるのは大量の隕石が落ちたくらいだが、ちょっとこれはえげつなさ過ぎだわ。


「恐らくですが、儀式魔法メテオスウォームを使ったものと思われます」


 街の惨状を見てメルディナが答える。


「そんな魔法があるのか。てかブルーレットの街は人間の街だろ。使った奴は何考えてるんだ?」

「人間の街が落とされるなんて滅多にあることではないんです。魔族の侵攻は大抵肉の壁を使えば防げますから。ナポリタン国王は恐らくブルーレットの街が魔族の手に落ちた事実を国外に知られたくなかったのでしょう」


 体面を保つために街一つ破壊したっていうのか?

 それは頭おかしいだろ。


「そのためにブルーレットの街の人々ごと魔族を消し去ったと。知られたらそっちのほうが恥ずかしいと思うけどな」

「誰も生き残っていなければ話が広まることはないでしょう」

「死人に口なしか。胸糞悪いな」


 確かに伝える奴がいなきゃいいだけだもんな。思いついて実行できるあたり民のことなんて考えちゃいねーんだろ。


「しかしこれでは中に駐屯していたリーウの部隊は全滅だろうな」

「リーウのおっさん……」


 まだ出会って大した日数じゃねーけどリーウのおっさんのことは嫌いじゃなかった。ちょっとカッコイイな、と男として憧れさえ抱いたほどだ。


「とにかく街の被害状況を確認しましょう」

「そうだな。せめて同胞を弔ってやりたいところだが……」


 それから俺達は崩れ去った街の中に入り、その被害状況を確認することにした。生き残りがいればいいが……。


 あれから街を見て回ったが、酷いものだった。隕石のサイズはまばらだったが大きいものだと8メートルくらいあるんじゃないかと思えるものもある。


 そして見つけてしまった。できればこんな姿は見たくなかったんだがな。


「……ホルヌス、こっちに来てくれ」

「どうした?」


 俺は黙ってかつてリーウと呼ばれた戦士を指さした。


「……リーウ。なんということだ!」


 ホルヌスはワナワナと震えながら戦士の遺体に目をやった。リーウはなんと人間の子供を庇っていたのだ。だがその庇われた子供も息絶えていた。落下の衝撃に耐えられなかったのだろう。


 リーウの身体も損傷が酷く、脚はもげ鎧は壊れ乾いた血がこびりついていた。

 そして辺りにも仲間だった獣人達の亡骸が転がっている。この付近に生存者がいることはまずないだろう。


「なぁ、戦場の死体ってどうしてるんだ?」

「基本的には火葬する。死体を放置するとゾンビ化するからな。仲間のゾンビ化は見たくないだろ? だから一箇所に集めて火葬するわけだ」


 なるほど、放置するとゾンビになるわけか。確かに仲間のゾンビ化は精神的にキツイよな。


「この街全体が壊滅してるみたいね。それなら区画毎に広範囲燃焼魔法で辺り一帯焼いていったほうがいいかしら。戻ったら火葬のために部隊を編成しないといけないわね」


 この街の様子をだいたい理解したところでオクシオーヌが発言する。


「なぁ、その習慣は人間も同じと考えていいのか?」

「ええ、そうですね。持って帰るのは簡単ではありませんから現地で火葬するのが一般的です。ゾンビ化すると誰彼構わず襲うので一つの戦いが終わったらすぐさま火葬の準備に入ります」


 つまり欠かせないわけか。ということは簡単に魔族の部隊を炙り出せることになるよな。そんなことのために街一つ滅ぼすとか正気の沙汰とは思えんが。


「なるほどな。そうなるとそれを狙って部隊を投入してくるとかやりそうな気がするぞ」

「火葬に入るのでそこを狙わないのは暗黙のルールです。それに戦略的に意味があるとは思えません」


 俺が懸念を示すとメルディナはそれを否定した。だが俺はなんつーか、ここまでのことをやれる国王とやらなら平気でやりそうな気がしてならんのよ。


「襲わないのは人間同士の話だよな? 魔族を殺して当たり前に思ってる奴らが魔族相手に人間と同じ暗黙のルールを適用するとは思えん。それに戦略的な意味はあるだろ。捕虜を捕まえればアジトを吐かせることができるからな」

「それは十分考えられるな。捕虜を隷属させればアジトを吐かせるくらい容易いことだ」


 俺の意見にホルヌスが同調する。ホルヌスもそんくらいはやりかねんと思ったのだろう。この作戦の問題点はいつ襲えばいいのかわからない点か。そうなるとそれを知る手段がこの世界にあるのか確認しないといけないな。


「メルディナ。俺等が葬送作業に入ったことを知る手段はあると思うか?」

「結論から言えばあります。遠視魔法の中には特定の地域を監視できるものもありますから。私は使えませんが、王都の宮廷魔導士なら使えるものは何人かいるはずです」

「そうか。オクシオーヌ、この街全体を火葬しようとすればどれくらいかかる」

「この街全体となると一週間は見ないと駄目ね。装備や遺品だってある程度は回収し、亡くなった同胞や遺品のリストも作るのよ。ただ焼き尽くすだけじゃないから時間がかかるの」

「ならばやはり警戒すべきだな。よし、一旦撤収しオクシオーヌは編成作業、ソロモンは対抗策を考えてくれ」


 それぞれの意見を総合し、ホルヌスが判断を下す。そうなると対抗策だが、今すぐは思いつかんな。


「わかった」

「わかりました」


 もし本当にそこを狙うようならドン引きするほどにエグいやり方も辞さないつもりだ。リーウのおっさんの弔い合戦のつもりでやってやるよ。

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