やると決めたのだから
この国の歴史はそこまで長いものではない。
500年の歴史。国にしては短いものだ。
だがそれでもここまで栄えたのは花の加護があるからだろう。
花の加護があるからこの国の人たちが悲痛な死を迎えることがない。
歴史の勉強では国の過去というより花の加護について多く教えてもらった。
「この国で餓死をした方は過去500年を見てもいません。
花の加護さえあればそのようなことはありえないからです」
「加護を受けられない人間はいないんですか? 」
「そうですね、基本的にいません。この国の人は皆花の加護を受けることができます。
花の加護さえあれば魔物による死もありません。」
であればこの国でいる限り私もある程度は安全なのだと少し安心する。
それはとてもありがたいことだ。知らない土地で命の危機はごめんだ。
……まあ、あったのだが命の危機。あれも花の加護のおかげで助かったのだろうか。
何度聞いても花の加護についてはわからない。
愛があふれるほど加護が強くなるのであれば、リーユの家族が加護を多く受けているのは理解ができる。
じゃあ私は?私はそんな加護を受けることができるのだろうか。
「とはいえ、加護が弱まることはあります。その時のお話は、魔法の勉強の際にお話ししますね」
学ぶことが多い……まあでも仕方ない。私がここでリーユの代わりをするのであれば学ばなければならないことだ。
頑張るしかない。とはいえ
「つっかれた~」
ほんとに疲れた。普段の勉強とは違う。一から知識を得るというのは本当に疲れる。
ここがゲームの世界で、私に少しだけ知識があってよかった。
本当に何もない状態からだったら私は間違いなく詰んでいた。
「午後は魔法と体力って言ってたな。やれるか?私」
庭園で独り言をつぶやく。メリアは今昼食を取りに行っているので久しぶりの一人の時間だ。
ずっと気を張っていたから少し落ち着く。自分を取り戻すように私は深呼吸をする。
「やるしかないか。やると決めたのだから。」
私は私だ。だけど今はリーユロクとしてこの世界を壊さないように世界を傷つけないように生きなければいけない。
それが私なのだから。
「リーユ!」
そんなことを考えていたら遠くからトリ様がやってくる。
「リウス様こんにちは、リウス様も休憩ですか?」
「ああ!鍛錬に一区切りついたんだ」
「鍛錬ですか?」
「ああ、必要なんだ!すべてを守るために」
「立派ですね。素敵です」
「ありがと。ところでリーユ」
トリ様が私の頬に触れる。小さいけど、暖かくて優しい手が私の頬をなでる。
今すぐ爆発しそうな心臓の音を抑えながら私はその手を受け入れる。
「疲れた顔をしている。大丈夫か?」
「学ぶことは楽しいので大丈夫ですよ」
まさか顔に出ていたとは。気づかれないようにしていたつもりだったが本当にリーユのことをよく見ているんだなトリ様は。
「無理はするなよ、リーユが倒れたら元も子もないんだから」
頬に触れていた手が頭をなでる。
その愛が心地よくて、申し訳なくて、リーユのことが大好きなこの人を傷つけてはいけないと本能が叫ぶ。
「大丈夫です。心配しないでください私は強いですから」
「そうか?ならいいんだけど……」
それでも心配そうな顔をするトリ様に私はなんて声を掛けたらいいかわからなかった。
不思議な無言の時間が一瞬流れているとメリアがやってくる。
「あらリウス様もいらしていたんですね」
「あ、ごめん昼食の時間だったか」
「いえいえ、であればリウス様の分もお持ちしますね。お待ちください」
「ありがとう」
いつの間にかトリ様と昼食をとることになってしまった。
私の前に座ってニコニコとほほ笑むトリ様に私はちゃんと笑顔を返せたのか不安になった。
花の加護ってなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




