魔法と花の国
「さて、まずはこの国についてお話しましょう」
「はいお願いします」
「初歩的なことをお教えしますので覚えていることがあってもご容赦ください」
メリアは深くお辞儀をした後説明を始める。
大体の説明はゲームで見た通りだ。
この国はフラワリア。
魔法と花の国。人口はおおよそ10億ほど。
魔物ももちろん蔓延っているが花の加護で弱体化しており騎士団が殲滅している。
ここペタルシティはそんな国の首都であり、この国の敷地は全てナスタチウム家が保有している。
「全て、ですか?民が持つものはない?」
「そもそもここに住んでいるのはナスタチウム家とその使用人のみですので」
「そうなんですね」
「王族が住むということで首都はこちらになってますが、最大の都市はブルームタウンなのです」
ブルームタウン。
この国の全ての産業が集まる都市。後に私たちが通うブルーム魔法教育高等学校もここにある。
全ての民が愛を持ち暮らせるようにと願われてできたこの首都は花の加護がいっそう強いとされている。
「そもそも花の加護ってなんですか」
「そうですね、言葉にするのは難しいですが花は全ての生命を見ると言われています。」
この国にとって花は神のような存在で、庭師は位の高い職業になる。
花は生も死も全てを見守る。姿形は違えど、全ての花が同じ世界を見るとされているらしい。
だからこそ命が尊いうちは花が全てを守ってくれるというのがこの世界の常識だ。
「なるほど、素敵な考えですね」
「そうですね。特に今代は大変愛に溢れた方でありがたいです」
メリアはにっこりと笑ってこちらを見る。
知ってる。この数日で嫌というほど理解してしまった。
あの人たちは多分何があっても私を、民を見捨てない。
それが少し怖い。
愛情は施し続ければどこかで壊れる。それこそ、リーユロクのように。
「サルビア王は全ての移民を受け入れました。そしてそれを迫害することを禁止する法もしっかり制定し、移民が過ごしやすいよう国を整えました。アンスリウム王妃は逆に国民の過ごしやすいように整えました。そのお陰でこの国は花の加護を多く受けられているのです」
移民と先住の民。両方が暮らしやすくするにはすごく苦労するだろう。それをやってのけたふたりは、本当にすごいな。……そういえば
「女王と王妃って別なんですか?」
「女王は自らが国を統治する君主。王妃は君主の奥様でございます」
「私ずっと女王様って呼んでた……!」
「ふふ、大丈夫ですよ。気にされる方々ではありません」
自分の無知に顔が赤くなるのがわかる。すごく恥ずかしい。
「そもそもおふたりはお名前で呼ばれるのが好きですから」
「そんなこと一度も言われてない」
「お優しいですからね」
そもそも名前も知らなかったというのは置いといて。
記憶を失って何が何だかわからなくて、そんな私を気遣って、自分たちも悲しいはずなのに。
その優しさに甘えているのが申し訳なくて、最初から記憶喪失なんて言わなければ、あの人たちは傷つかず、気を使わなかったのだろうか。
家族ではない。けれど自分を家族だと思ってくれる人に対して精一杯お返ししたいと思うのは、当たり前だ。でも返し方が分からない。騙し続けている私には何も。
「話がそれましたね、このまま歴史についてお話します」
メリアは色々教えてくれた。私はそんな話を聴きながら、自分の生き方を、これからの道をずっと考えていた。
今回はメタ的に言えば世界観説明ターンです。
こんな感じの世界です。実は細かいことは決まってない




