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悪役令嬢もライバルもいない乙女ゲーに転生したけど幸せになれません  作者: さしうせすいそ


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4/13

一生後悔して

「リーユ!もってきたぞ!」


しばらくすればトリ様が本を沢山持ってきた。


「どの本がいい!?義姉に虐げられていた女の子が舞踏会で成り上がる物語、婚約者に殺されかけた女性がひとりで躍進しながら出会った王子と恋する物語、これは!国中から無視されたお姫様が全部ぶっ壊す物語だ」

「なんでそんな物騒な物語ばっかなんですか!」

「リーユ好きだったろ?強い女性の物語が」

「そう、なのですね……そうだった気がします」


いやそうです。好きだよ私は。まさかリーユ様同類!?ラブストーリーの冒頭だけ見ては蔑みが足りない、もっと強い女性がいいとアニメを見漁ってた私にそっくりだ。

普通に一緒に話がしたかった。


「あとはあとは、これがリーユがいちばんすきだった本」

「は!?泡沫の月華!?」

「覚えているのか!?」


いやありえない。だって泡沫の月華は"この"物語なのだから。

じゃあこれは、なんだ。この本は……


「いえ、内容までは……タイトルが思い当たり……」

「では僕が読み聞かせてあげよう!」

「いや、」


本は自分のペースで読みたいのだが!?

過保護の域を超えていますトリ様


「こほん。『死んだら何もない。天国や地獄などあるわけがない。それが病弱な少女白姫純恋が導き出した答えだった。少女は夢を見た。幸せなお姫様になる事を。でもそれは叶わない。なぜなら病弱でか弱く家族に疎まれていたから』」


これは、私だ。私の物語だ。

泡沫の月華はこの世界だと私の物語なんだ。


『貴女は主人公よ』


その言葉が私の頭を木霊する。

彼女はわかっていた。私が泡沫の月華の主人公だと。

じゃあなぜわかった上でリーユを演じさせているの。

私の、主人公の人生があると知っていて、なぜ。


「リーユ?大丈夫か?疲れているか?寝るか?」

「ここで寝てしまっては私一日のほとんどを寝ていることになってしまいます。リウス様、それくらい分厚い本はさすがに自分で読みます」

「……記憶を失う前はこうやって読み聞かせてた」

「大嘘吐かないでください。流石に分かります」


トリ様がむくれる。私はそれに思わず笑ってしまう。


「本当にだいじなんですね。リーユが」

「ああ、大事だ。すごく」

「ごめんなさい」


その幸せを壊してしまって。


「リーユ、なんで謝って」

「とにかく本は自分で読みます!リウス様は戻ってください!」

「え」

「レディのお部屋に長くいるものではありません」


私はそのままトリ様を追い出した。

落ち着いてゆっくり本を読む。

自分が主人公の本を読むなんてなんともむず痒いが仕方がない。


「読むか」


この物語は病弱で家族に虐げられている私が病院でとある青年に会い恋に落ちる物語。

最終的に私は死ぬ。

主人公の白姫純恋は本当に私に似ている。

性格も言動は私そのもの。ただし決定的に違うことがある。

それは……


「ヒーローが全く好みじゃない」


なんだろうこの違和感は。

絶対にこんな男は好きにならないなとはっきりわかる。

あと、私が守られっぱなしなのも気に食わない。プリンセスは好きだけど自分で状況を打破するプリンセスが好き。

私は自分の手で自分のことはする。

こんなの私じゃない。


「最低なものを読んだわ……まあでも私が主人公であることは確か、か」


あとはなぜ私がこっちにいるかだけど……リーユに聞くには……


「寝よう」


トリ様にあんなこと言っといて本当に申し訳ないけど、体調が悪いことにして寝よう。

寝なければあの子に会えないから。

そう思いながら意識を暗闇に沈めた。


「やっぱ寝れば来れるんだ」


目が覚めれば花畑にいた。理屈は分からないがどうやらここは泡沫の月華の物語が交差する場所のようだ。


「来たんだ……えっと……純恋さんかな」

「リーユ」


そこには少女の姿があった。でも前回と同じではない。

黒い髪橙色の瞳。白姫純恋がそこにいた。


「私も主人公だった。貴女が前回言っていたことがわかったわ」

「よかった。じゃあこれでおしまいかしら」

「貴女は何を望むの」


目を見つめる。多分これを引き起こしたのはリーユだろう。

何故こんなことを


「退屈だったから」

「は?」

「兄様は過保護、父様も母様も。私は自分の手で未来を切り開きたい。だから捨てたの、全部。退屈な人生をやめにして新しい人生を作る術を使った」


ダメだ何を言ってるか全然分からない。

未来を切り開きたい?そんなの……


「勝手にやればよかったのに」

「ん〜?」

「家族から愛を受けられるのは嬉しいことでしょう?」

「嫌よ。私は籠の鳥じゃないの。物語の主人公のような、白姫純恋のような人間になるの」

「貴女にはなれない」


私ははっきりと言う。その言葉にリーユは驚いたようだった。


「私がリーユロクになれないように貴女も白姫純恋にはなれない。側が変わっても貴女は貴女のまま。どうせまた逃げ出す」

「逃げ出してなんか」

「逃げ出した。家族からの愛を受け止められず、自分の都合がいい物語に逃げた。周りの気持ちも考えずに。悲しむ人の顔なんか気にせずに。周りのことを全く考えない貴女はどこまで行ってもリーユロクよ」


ギリギリと唇を噛む音がする。他人のことは言えない。私だって王様、女王様、トリ様の寵愛から逃げている。そんな私がこれを言う資格は無いかもしれない。けど。


「私はリーユロクを許さない。人を傷つけて生きる選択をした貴女を。そんな貴女が白姫純恋として生きられるとも思ってない。一生後悔して死んでいけ」


私はそう吐き捨てて湖に潜った

お世話になっております。

ここから先リーユは愛を受け止められるかどうぞ見守ってください。

ちなみに今回のお話自分でも今どっちがどっちに向かって喋ってる?問題が勃発して苦しかった。

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