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悪役令嬢もライバルもいない乙女ゲーに転生したけど幸せになれません  作者: さしうせすいそ


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16/16

きっとこれからも

「医学魔法も薬も飲んだのでこれで大丈夫かと思われますが、何かあればこちらでお呼びください」

「ありがとうございますポトス様、これは?」

「呼び鈴です。医務室のほうが鳴るようになっています。では私はこれで」


ナースコールのようなものか、と感心しているとポトス様は帰っていく。

あの後すぐにトリ様がポトス様を連れてきてくれて、そこまで苦しい思いをせずに済んだ。


「リウス様もありがとうございました」

「もう、平気か?」

「はい。お騒がせいたしました」

「ん」


トリ様は一切手を放そうとしないし、部屋を出ていこうともしない。


「あの、リウス様……?もう」

「今日はここにいる」


それはよくない。別の意味で私の心臓が持たない。

ずっと手を握ってもらっていたら寝れないし


「ですがこれだと寝れませんし」

「手は放す。でも、ここに居させてくれ」


少し震えた声が耳に入ってくる。

泣いている?まあ、リーユを大切にしているトリ様なら当たり前だ。

だからこそ、リーユのために私のせいで泣いていると思うと申し訳ない気分になる。

そして同時に悔しくなる。この人が求めているのは自分ではないと


「私のことは、気にしないでください」

「え?」

「あなたの守りたかった妹ではないでしょう?」


ああ、言葉に出てしまった。自分でも思考がまとまらなくて、自分を見てほしいなんていう馬鹿なわがままを素直にいうこともできなくて。それでいていっちょ前に拗ねている。最低な人間だと思う。


「逆だよリーユ」

「逆?」

「今からする話は父さまにも母さまにも言わないでくれよ」


いつもと違う表情、妹をめでるような表情ではなく守るものがある騎士のような表情で私を見る。


「僕は君の本当の兄じゃない。君しか産めなかった二人が引き取った孤児出身の平民だ」


知ってる。リーユを産んですぐに病気になってしまった王妃様。私に何かがあった時のため、王族の未来のためにとトリ様を引き取った。


「孤児の僕にとって、王族になれるならどんな待遇でもよかった。冷遇されても娘の代わりだとしてもよかった。それでも」


王と王妃はリーユ同様にトリ様を愛した。決められた人生を歩ませてしまう代わりにとたくさんの愛をトリ様にささげた。


「それが僕にとってはとてもうれしかったんだ。だから僕はそんな二人が一番大切にしているであろう存在のリーユを守ると誓ったんだ。何があっても、絶対に。だからあの時リーユが水を飲んで倒れた時僕は血の気が引いた。自分の責務を全うできなかったって。前の医者に襲われたとき僕がリーユの部屋に行ったのも心配してじゃない。リーユを守る僕でありたかった。僕は僕に許されたかったんだ。

あの人たちが愛した妹という存在を危険にさらしてしまったけどこれからも守りたかった。父様と母様に愛されるために」


知っている。もともとトリ様はリーユをものすごく愛していた訳ではない。

両親に愛されるために可哀想な妹を守るという義務を自分に与えただけに過ぎなかった。私は知っている。そのことを


「でも、あの時リーユが僕に覆いかぶさって刺されたとき、命を懸けて僕を守ってくれた時、違う感情が芽生えた。君から流れる血を見てたら、こんなことさせたくない、二度と危険な目に合わせたくない。命を賭してでも君を守りたいって」


違う、このセリフは、ここでいうセリフじゃない。

もっと未来。ゲーム内でのセリフ。


「だからな、リーユ。おれは妹を守りたいんじゃない、君を守りたいんだ愛しいリーユロク。君のことが誰よりも大好きだから」


これは主人公ルートのラストでトリ様がリーユにいうセリフ。

このセリフで私は彼が大好きになった。

もう、変わってしまったんだ。

いや違う。最初から正しいルートなんてなくて、ここは生きた世界でゲームのようなシナリオもない。

下手をしたら今死ぬし、運が良ければ未来まで生きられる。そんな現実の世界。

でも、それでも、自分が異端であることは変わりないし、自分は偽物だと心の奥底で思ってしまう。


「……王と王妃も一緒でしょうか」

「一緒じゃないかな、だって全然違うもん、今のリーユと前のリーユは」

「でもきっと私がリーユでなかったら愛してもらえなかった。たまたま私がリーユだっただけで」


自分でも何を言っているのかわからない。けど、いつの間にか頬を涙が伝い、吐き出してた。

私がリーユでなくては彼らの愛を受けることはできなかった。

それを自分のものにしたいなど傲慢なのではないかと、そんな気持ちを。


「深く考えなくていいんじゃないかな」

「え?」

「人間は誰もが傲慢で、けれどそんな言葉じゃ片付かない愛がある。

それが感情ってもんでしょ」


そう笑ったトリ様に目を奪われる。きれいだ。ゲームのスチルのようにきれいな笑顔が私の目の前にある。

これは決してリーユに向けたものではなくて。私に向けたもので。ああ、あの時リーユはこんな気持ちだったんだ。

はたから見れば愛の告白。私もそう思っていた。けれど違う。兄に私は救われたんだ。

きっとこれからも。


「……お見苦しいところをお見せしました、少し寝ます。リウス様もいったん休まれてください、何かあったら言いますので」

「わかった」


優しい手で頬を触られた。その温かさを胸に私は花畑に飛び込んだ。



「あ、帰ってきた。意外と早かったね結論は」

「お断りします」


その人の言葉を私はさえぎって言う。

少し驚いた表情で彼女は私を見る。


「自分から手放しておいて今更帰ってくるなんて虫のいい話私が聞くわけないでしょ。私は性格のいいお姫様ではないので」

「でも、その体は私のもので」

「今は私のものです。私がリーユロクです。私がいなくなればさらにあの人たちが悲しむから。私は私として生きていきます」


言葉が出ない白姫純恋に私は言葉を投げかける。

ずっと一人だった。だから他人からの愛も人の感情もわからなかった。

それをあの人が教えてくれた。


「私言いませんでしたっけ?あなたが白姫純恋になれるなんて微塵も思ってない。後悔しながら死んで行けって」

「な」

「さようなら純恋さん。もう二度と会わないでしょうけど」


私は純恋の背中を押す。そして私も湖の中に潜り込んでいく。

深く暗い湖の中。でも不思議と少し、暖かかった。




____翌朝____


いつもの朝、食堂。

いつものように手を引かれ、いつものように両親が待っている


「おはよう、昨日夜発作があったと聞いたが」

「特に体調に変わりはないかしら?」


心配をする二人に私は笑ってこう返すのだ


「大丈夫ですお父様お母様、私とってもすっきりして気分がいいの」


その言葉に驚いてでもすぐにやさしい顔になって私をなでる二人、その時間がとても幸せに感じる。

手をつなぎ、驚いた表情をするその人にも私は笑って語りかけるのだ。


「昨日はありがとうございました!兄様!」


その先に哀しみの表情があることなんて知らずに

これにてプロローグ書き終わりました!次回より毎週火曜日18:00更新となります!

ゲームが始まる前までにあと二回くらい死に目に会ってほしいよねリーユには。


最後ぼりゅうむ満点になってしまいましたがキリがいいところがここだったので……

近くて遠いラブストーリーここから開幕です!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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