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巡り合うは薄氷の湖  作者: 宇和マチカ


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7/10

散歩代わりに行くしかないかしら

お読み頂き有難う御座います。

 爽やかな晴れ渡る朝……。今日も雪で照らされた真っ白な庭が眩しいわね。


「アーマンナー!」

「グググガウウ……」

「ああ、アマンナー、何処にいるんだー」


 ……甘ったるい気持ち悪い声が煩いわ!

 朝起きたら、廊下から不愉快な声がしていました。

 えー。……またバカ兄が本邸へ来ているのね……。ああー、早く玄関その他丸ごと鍵を交換したい!

 バカ兄を閉め出したくて堪らなくて、最早、私が鍵師になりたいわ!

 ああ、鍵師が待ち遠しい。でも、今出来ること何か無いかしら。雪がマシになったら、別邸の周りに空堀でも作ろうかしらね……。


 そして、何故あの迷惑女が本邸に来たと思っているのかしら。単独で通さないように命じているから、絶対に入れない筈なのに。

 その辺に埋まってるんじゃないのかしら。掘り返しにはバカ兄だけで充分ね。


「グルウ……フハハフハフ」

「コーエン、我慢して」


 今にも噛みつきに行きそうですわね。行かせてもいいけれど……ちょっとねえ。掃除と洗濯が大変だしねえ……。


「この雪で洗濯も大変だから、あまり屋内を血で汚したくないのよ」

「ヴウウウ……クゥン」


 綺麗好きだから、思うところがあるのか。やっと唸るのを止めたわね。


「何してるの。ちょ、スカートに顔を突っ込むの止めてくれないかしら」

「グゥ……」

「うわっ! 何するのコーエン、足を舐めないで欲しいのだけれど」

「クゥクゥ……」

「アマンナーーー!」

「ガウウウウッ! ガルルルルルウア!」


 あ、コーエンが切れたわ。どうやら我慢の限界だったみたい。器用に鼻でドアを空けて、廊下に飛び出して行っちゃったわ。


「ギャー!」


 あ、噛まれたかしら。

 困ったものね。控えめに引っ掻いといてくれないかしら。

 コーエンも気が短くて嫌になるわ。


「お嬢様、リビエール様が……」

「リビーが?」


 どうしたのかしら。

 遊びに来てくれるなら大歓迎だけれど。

 使用人にはお通しして、と言付けて急いで応接室へと急いだわ。

 廊下は……コーエンの白い毛だらけだったわね。意外と血が付いてないから、引っ掻いたのかしら。


「コーエン? コーエン?」


 何処へ行ったのかしら。

 廊下でゴロゴロしてるかと思っていたのに。


「ううう……痛い……! 顔を引っ掻かれたあああ!!」


 廊下にゴロゴロ転がって鬱陶しい。倒木よりも邪魔ねえ……。埋めたいわ。


「あら、更に面白い光景」

「あらリビー。いらっしゃい。コーエン、迎えに行ったの?」

「ばふっ……!」


 どうやら、リビーも面白い気配を感じ取ってやって来たようね。実は、あんまり面白くもないんだけれど。コーエンはリビーと一緒にいたのね。まあ、バカ兄を小突き回すのも飽きたのかしら。


「ソリでこっちに来る時、変な雪まみれの人影を見たわよ。アレが例の不審者かしら」

「グルルルル……」

「何時までそうなさってるんですか、コーエン様」

「ぐう……」

「寒いからってずっとこうなのよ」

「クウーン……」

「アマンナ……」


 あ、バカ兄が復活した。

 流血は……鼻血程度で止まってるわね。


「アマンナ……。可哀想なアマンナ……」

「……あ、小辺境伯が倒れたわ。

きゃー、たーいへーん」

「ばふっ……。ブフフフ……」


 リビーの棒読み過ぎて笑えたじゃないの。

 しかし、短い復活だったわね。

 それにしても……素直に永遠に雪に埋まってくれると良いのだけれど。

 村民に迷惑掛けたらと思うと……放置するのも困るわね。


「そうだわ。暇だし、あの迷惑リボンさんの奮闘ぶりを見に行かない?」

「えっ、この寒いのに外へ行くの!?」

「ええ。それに、コーエン様もそのお姿でヌクヌクと閉じこもっていては駄目よ」

「……」

「太るわよ。ジャクリーヌはプヨプヨなコーエン様をどう思われるでしょうかしら?」

「分かったよ! 行くよ!! 行きゃあ良いんだろ」


 コーエンが久々に人の姿になったわ。冬になるとずっと犬の姿だったから珍しいわね。

 銀というより白い髪に、冬の空のような青い目……は何時も通りだけれど、少し上背が伸びたかしら。犬の姿だと成長加減が分からないのよね。

 でも……髪の毛伸び過ぎでは。背中まで有るじゃないの。


「……でも、散髪とお着替えしてからですわね」

「うう、寒い……」


 ……コーエン、今更ながらに夏服姿だったのが何ともね。そう言えば、晩夏から大体犬姿だった気がするわ。流石に夏服だと屋内でも寒いわよね。

 ブラシで梳いていたけれど、滅茶苦茶髪の毛も伸びてるし……。突っ込んでも仕方ないけれど、どうなってんのかしらね。


「散髪はいいよ……。寒いし」

「取り敢えずお着替えですわね、コーエン」


 面倒だけれど、散歩代わりに治安維持に出かけますか。私も少しは運動しないと……ちょっと二の腕が気になるし……。





コーエンは犬になれる青年でした。

犬になれる系青年、何気に書くの初めてかもしれませんね……。変わった獣人が好きなもので。

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