第5話:真の魔王への序章と再召喚の兆し
四天王を倒し、城下町には一時的な平穏が戻った。蓮は古代装備の光を感じながら、姫たちや仲間と共に被害の復旧作業を見守っていた。フィリアは回復魔法で住民の怪我を癒し、リディアは攻撃魔法で残る魔物を安全に退ける。蓮の胸には戦いを終えた安堵感が広がった。
「これで……ひとまずは落ち着いたか」蓮は小さく息をつき、姫たちの笑顔を見て安堵する。しかし、遠くの城壁の上には不穏な影が映る。真の魔王はまだ姿を現していない。空気には冷たい風が吹き、城下町の静寂をわずかに揺らしていた。
その時、蓮の足元で異様な光が広がる。魔法陣――再び召喚の兆しが現れたのだ。蓮は驚きと戸惑いで立ち止まる。「え……また俺か!?」叫びながらも、体は光に包まれていく。目を開けると、見知らぬ国の風景が広がっていた。城壁も町並みも、前の国とは全く違う。
フィリアやリディアとの別れも束の間、蓮は新たな冒険への期待と緊張を胸に、光の中に姿を消す。「せっかく姫たちと……これからなのに!」思わず声を上げるが、魔法陣は静かに蓮を異世界へと送り出した。
地面に残る魔法陣の光が徐々に消え、城下町には再び静寂が戻る。蓮の冒険は一旦幕を閉じたかに見えるが、再召喚の魔法陣が示す通り、彼の旅は終わらない。勇者としての使命、仲間との絆、そして未知なる試練――すべてが次の物語へつながっていく。
夕陽に染まる町を背景に、蓮の心には決意が宿る。「どんな困難が来ても、俺は逃げない。勇者として戦い続ける」古代装備の光が微かに揺れ、彼の次なる冒険の幕開けを告げるのであった。こうして、2巻は蓮の成長と次なる戦いへの布石を描きつつ、再召喚の予兆で幕を閉じる。




