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第46話 突然の告白

「あ? なんだ停電か? ちっ、こんなときに……」

「うごぁっ!?」

「は?」


 俺を羽交い絞めにしている男が暗闇の中で呻き声を上げて倒れる。


 一体なにが起こったのか?

 周囲を見回すも、真っ暗でなにも見えない。


「てめえなにしやがったっ!」

「い、いや俺はなにも……」

「くそっ! 他に仲間がいるんじゃ……あがっ!?」


 今度は田久呂の呻き、それと同時に倒れる音がした。


「なんだ? 誰かいるのか?」


 俺がそう言うと、照明が元に戻って明るくなる。

 照明をつけるスイッチの側にいたのは……。


「な、情美っ!」


 そこにいたのは情美だった。


 カチカチ


「いやなんで、1回消してまたつけた?」

「サプラーイズ」

「なんのだよっ!」

「感動したっ!」

「わけわからんっ!」

「まあそれはともかく無事でよかった」

「あ、うん」


 情美が来てくれなければあぶなかった。


「けど、どうやってここがわかったんだ?」

「夜斗の悪臭を辿って」

「勝手に人を激臭モンスターにするな」

「本当は夜斗の背中に発信機をつけておいたの」

「えっ? い、いつの間に」

「あれいつだっけ?」

「覚えてないんかいっ!」

「うそうそ、背中を叩いたときだよ」

「背中を叩いたとき? ……あ、あのときか」


 うらぁとか声を上げて背中を叩いてきたことを思い出す。


「怪我は無い?」

「あ、うん。俺も無堂さんも平気だよ」

「よかった。じゃああとのことはお父さんに頼んでおいたから、わたしたちは帰ろうか」

「うん」


 側へと歩いて来た情美に俺は頷く。


「あ、あの、ありがとう夜斗君、姫路さんも。2人がいなかったら、あたし今ごろどうなっていたか……」

「助けることができてよかったよ。なあ情美?」

「ごにょごにょ」

「勘違いするな。俺はお前を助けたわけじゃない。お前を倒すのは俺だからな」

「へっ?」

「あ、いや、こいつまたふざけてんだよ。はは」

「……もしかしたらあんまりふざけていないかも」

「えっ?」

「ううん。なんでもない」


 そう言って無堂さんはニコリと微笑んだ。


「そう。あ、じゃあ外に……っ!?」


 うつ伏せになって倒れている田久呂がこちらへ銃を向けているのが目に入る。


「情美っ!」


 瞬間、咄嗟に俺は情美の身体を抱いて、銃口へ背を向けた。


 バァン!


 そして銃声が。

 ……しかし俺の身体に痛みは無かった。


「……ふーあぶねぇところだったな」

「えっ? あっ!」


 聞き覚えのある低い声が聞こえてそちらへ目をやると、銃を構えた情美のお父さんが見えた。


「な、情美のお父さんっ」


 お父さんの撃った銃弾で田久呂の持っていた銃は遠くへ弾かれていた。


 情美のお父さんは倒れている田久呂へ近づくと、一瞬で絞め落としてしまう。


「ふふん。海野のおやっさんから習った俺の銃もたいしたもんだろい?」

「え、ええ」


 遠くから正確に田久呂の銃を撃ったのはたいしたものだった。


「助かりました。ありがとうございます」

「おう。それよりお前、いつまで情美に抱きついてやがんだ?」

「えっ? あ、わっ」


 言われて気付き、俺は慌てて情美から離れる。


「ご、ごめん。なんか気付いたらお前を抱いてて……」

「あ、あうう……」


 情美は両手で顔を覆って屈んでしまう。


「お、おいなんだよ? いつも通りなんかふざけろよ。反応に困るだろ」

「ううー……」


 しかし情美はふざけたことなど言わず、しばらくそのまま顔を隠して唸り続けた。


 それから仁情一家の組員も現れ、俺たちを攫った男たちをどこかへ連れて行く。どうなるのかは知りたくもなかった。


 俺たちはお父さんの車へと乗せてもらい、無堂さんを家まで送ることになった。


「田久呂は田丸組のヒットマンだった男だ。腕は良いって話だったけどよぉ、とんでもない悪たれだって有名だった野郎だぜい」

「そうなんですね」


 ヤクザなんてみんな悪たれなような気もするけど。


「田久呂に撃ち勝つたぁ、たいしたもんだぜい。やっぱおめえにゃあ海野のおやっさんから受け継いだヒットマンの才能がありやがるな」

「ははは……」


 今回の件でますますヒットマンにされそうになり、俺は将来が不安になった。


 やがて無堂さんの家に着き、俺はマンションの玄関までついて行く。


「今日は本当にありがとう。言葉だけじゃ足りないけど、今はこれしか……」

「いや、無堂さんが無事でよかった。それで満足だから」

「夜斗君……」

「あ、じゃあもう遅いから帰るね。また明日、学校で」


 無堂さんに別れを言って背を向ける。


「あ、あのっ」

「えっ?」

「あたしその……」


 振り返ると、無堂さんはなにかを言いたそうに口篭っていた。


「その……その……あたし……その」

「うん」

「夜斗君のこと……好き、かも」

「えっ?」


 突然の言葉に俺は戸惑う。


「す、好きって……それ」

「れ、恋愛的な意味で」


 つまり告白。

 それに対して俺が出した答えは……。

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