満月に照らされて
第57.5話
「生徒会入ったの!?」
満月が降り注ぐベランダ。
その中央に座りながら白姫さんと話をしていた。
体育座りで膝に手をかけている白姫さん。
俺は足を伸ばして、手は床につけている。
体制きつくないのか・・・・・・そんな心配が少し生まれる。
「話聞いてる〜?」
「あぁ、月に照らされた俺がかっこいいって話だろ。残念だが、俺は照らされてなくてもかっこいいぞ」
「誰も聞いてないよ、そんなこと」
苦笑いをして少しため息を溢す。
生徒会に入ったことを少なからず心配しているんだろう。
自分のせいなのではないか、自分を救う代わりに入ることになってしまったのではないか。
そんなオモイが見てとれる。
だけどそんな心配は無用だ。
この決断は間違いなく俺が下したものだから。
「いろいろと知りたいことがある。だから、入ったんだ。それは知り得ないかもしれない、けど知れることを願っているんだ」
「ふ〜ん、なんか考えてるんだね。だけど、また隠してない? 知りたいことってなんなのか教えてよ」
早く話せと要求の顔をされる。
参ったな、生憎これは隠す隠さないではなくて、知っていないから話せないことなんだがな。
だが、隠さないでと言われた直後に隠すのもな・・・・・・。
「そのさ、なんていうか、知りたいことは多すぎて、具体的にこれってわけではないんだけど」
「本咲が言葉にしてくれればいい」
「あえて言うなら、キミのことも含まれる」
「えぇ!? ちょっ、それどういうこと!?」
途端に顔を真っ赤にする。
「たくさんの人を知りたいんだ。俺は人と関わりすぎることはなかったから。関わった人はいるけれど、深くは知ってこなかったから。だから、生徒会に入れば、もっと人のことを知れると思ってさ」
「へぇ〜だから生徒会に入ったんだ。結構深い理由でいいんじゃない」
「白姫さんに褒められると違うのかもしれないな」
「それ私にどういうイメージ抱いてるの?」
ご機嫌ななめな様子だ。
「冗談だよ。ただ、褒められなれていないからさ」
「ふ〜ん」
「どうしたんだよ?」
じっくりと俺の顔を見回す。
なにかを考えている。
見透かされそうな気配を感じたため、ここにきたもう一つの理由を済ませることにした。
ポケットに手を入れる。
「これお金」
駒下さんの時と同等、いやそれ以上に多めにお札をだす。
「え?」
「この前のケーキ代」
多めと言っても量というより質。
千円札を何枚もではなく、五千円札をだした。
「本咲ってさもしかして真面目?」
「いやそういうわけでは」
「冗談も下手だし、自分のことかっこいいとか褒める割には奥手だし」
「それは関係ないだろ!!」
手で押され、渡そうとした手を下げさせられる。
「こんな値段じゃないし、気持ちなんだから受け取って」
表情を緩ませる。
「雅も言ってたけど、本咲くんって人にやってもらった善意を無かったことにしようとするよね」
「そういうわけじゃなくて、単純に払ってないのは失礼だしさ」
「私が奢りたかったから奢ったの。それに本咲だけでなくて、七夏実ちゃんにもね」
「それは・・・・・・」
「七夏実ちゃんにお金を返してこいって言われた?」
「言われてないけど」
「そ、だから返さなくていいの!」
立ち上がる白姫さん。
押し切られてしまい、お金は行き場を失う。
財布の中に戻して彼女の方を向く。
「七夏実ちゃんとは仲良くね。妹なんだから」
「あぁ」
「ほんと羨ましいな」
「白姫さんは兄弟がいるの?」
「いるけど、下にはいないね。兄と姉がいる」
「仲良くないの?」
「微妙な人と微妙じゃない人と二通り」
なんだか複雑そうだな。
「でも、みんな好きなことは変わらない。それは絶対にね。血の繋がった兄妹だから」
悲しそうだけど、嬉しそうな様子。
白姫波音羽についてまた少し知れた気がする。
同時に謎も深まった。
ただ、いま聞いても彼女は答えない、というより答えてくれる内容は、答えじゃない。
本当の答えは彼女自身もまだ知り得ていないそんな風に感じた。
「兄妹って大変だね」
「そうだな、だからこそ、これから兄妹とも向き合っていきたいよ」
七夏実だけじゃない、もう二人いる。
姉と妹。
二人のことも、もっと知っていきたい。




