お会計
第32.5話
電車から降りホームに出ると、笹野内さんが、家族へ電話するため、席を外した。
駒下さんと一緒に待っていたが、そのタイミングであることを思い出した。
財布を取り出し、中からお札を出す。
「これカフェでのお金」
「なにこれ?」
ポカンとした顔をされる。
「渡してなかったからさ、お会計」
「それはわかってるよ! そうじゃなくて、二千円も貰えないよ!」
千円札を二枚渡そうとしたが受け取ってもらえない。
「こんなかかってないし、千円くらいだよ」
不満顔になる駒下さん。
「相棒になるんだから要らないよ」
「だけどなぁ、受け取って貰えないとかっこよくないというか」
「それを言うなら、そもそもあの時かっこよくなかったよね?」
痛いところを疲れた、脇腹に釘が刺されたような痛みがする。
「どうしてもお返しがしたいって言うなら、いつか本咲くんから奢ってよ」
「奢るか・・・・・・」
「うん! その時まではお預けってことで」
「その言い方だとまるで俺が奢りたい人みたいになってるな」
「違うの!?」
本気で驚かれている。
「いやその方がかっこいいから、そういうことで頼む」
「本咲くんって変な人だね」
引かれた目で見られる。
変ではなくてかっこいいだと思うんだがな。
「お二人ともお待たせしました」
電話を終えた笹野内さんが帰ってくる。
「よーっし、駅についたね。ここから少し歩くよ」
改札から出て、促されるまま駒下さんの後ろをついて行く。




