七夏実が着ていた体育着の真相
第6.5話
七夏実と一緒にキッチンの横にあるテーブルを挟んで座り、向かい合わせでご飯を食べていた。
「そういえばなんで体育着なんだ?」
白色の服に、青色のズボン。
学校の制服ではなく体育着を妹の七夏実は着ていた。
「え、それは・・・・・・」
体育着をよじりながら恥ずかしそうにしている七夏実。
「言いづらいのか?」
「そんなことは! あ、あるかもしれないです・・・・・・」
一転、顔から元気がなくなり、暗い顔つきになった。
なにか深い理由がありそうな雰囲気だ。
「嫌なら言わなくていいぞ」
「ううん、別に嫌ってわけじゃないんです」
ならなんで言いづらいのかと聞いたら同意したんだろう。
「その、言いますけど、呆れないでくださいね?」
「あぁ。わかってる。どんなに恥ずかしい理由でも、俺は呆れはしない」
七夏実がふーっと息を吐く。
気合いを入れる時のルーティンの一つだ。
それが表すのは、言う内容に覚悟が必要だということだ。
「私が体育着なのは・・・・・・」
俺は七夏実をじっと見守る。
「今学校が夏服期間なんです。それで、制服でも体操服でもよくて。だから・・・・・・私は体操服を着ているんです!」
「は!?」
「だから、夏服期間だから・・・・・・」
「違う違う! 内容は理解できた」
「はい」
「でも、その内容が問題というか。なんというか、そんなしょうもない理由だったんだなーって。あんなに言いづらそうだったのにさ」
瞬間、七夏実の顔が真っ赤になる。
「しょうもない理由だったから言いづらかったんですよ!!」
半泣きになりながら不満を言い放つ。
「いや、まさか、だって、言いづらいそうにしてたのに、こんなしょうもない理由だとは思わないだろ?」
「お兄ちゃん。それ確実に私にダメージを与えにきてますよね!?」
「それは違くて、えっと、その・・・・・・すまん」
「呆れないでって言ったのに。結局呆れてる」
「ごめん。本当、ごめん」
「しばらく話したくないです」
顔を背ける七夏実。
「でも、明日一緒に買い物に行くからそれは難しいんじゃ・・・・・・」
「もういいです」
「ごめん、ごめん。本当にごめんって!」
俺は平謝りをしてなんとか七夏実に許してもらった。
意外としょうもない話を大きくしてしまうことってあるよな。
聞く側になっても、聞かせる側になっても、しょうもない話を大きくしないように気をつけよう。
白姫さんのケーキを食べに行く前日に、そんなちょっとしたトラブルが起きていた。




