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生徒会権限







「この学校は様々な才ある者が集まり、卒業した者はみな大成する。なぜかわかるか?」


「世渡りが上手いから」


「必要な能力だがそれは違うな」

 どこまでいけば大成と判断するかにもよるが、学校に入った者が大成するというよりも、大成する者しか学校に入られないというような気がする。


「この学校に入ることがゴールではない」


「才能を伸ばし続けているんだよ。だから大成できる。その反面伸ばし続けなければそいつは退学になるんだよ」

 副会長が口を挟む。


「天才だろうが逸材だろうが、成長しない奴にこの学校での未来はない。卒業することは出来ねぇんだ」

 

「卒業してから成功することが約束されているような人物でなければこの学校には残れない。そうでない者は」

 生徒会長が口を紡ぐ。


「退学させられるんですか?」  

 答えはわかっている。

 だから先に出す。


「理解が早いなぁ本咲」

 成長していない、才能を伸ばせていないと判断された者は退学させられる。

 天才だろうが逸材だろうが関係ない。

 そして、退学を判断するのが・・・・・・。


「退学かどうかを決めるのは学校と生徒の中で選ばれた者たち、生徒会だ」

 生徒会が絶対的権力たる所以ゆえんか。

 自由に退学をさせられるという横暴ができるのもこの学校の代表者だったからか。


「選ばれた者たちだからこそ、入ることのできる者は天才ではなく逸材だけだ。まぁ逸材だろうと成長しないなら退学になるがな」

 生徒全員が才ある者の中で、生徒会に入れるのはその中でもより優秀な逸材と呼べるような人物だけなのか。


「俺たちは権限で誰でも退学にすることができる」


「随分な権限ですね」

 ただいくら理由があろうが退学を自由にさせることができるのは許してはいけないだろう。

 それを変えるために笹野内さんは生徒会に入る。

 おそらくお姉さんもそのようにして退学させられたのだろうから。


「この学校の歴史は生徒会の歴史だからなぁ」


「生徒会の歴史?」


「入ったら教えてやるよ」

 頬を上げて偉そうに笑う副会長。


「あなた達のおかげでわかったことがあります」


「なんだ」

 なんでもできる生徒会がいるから苦しむ人もいるんだろう。


「彼女たちを退学させる気ですね」


「誰のこと言ってんだよ」


「先程生徒会室から出ていった二人ですよ」

 助けてと言っていたが、おそらくあれは生徒会によって退学させられるからだろう。


「誰なんですか。退学するような子には見えませんでしたけど」


「よく気づいたなぁ。ご褒美に教えてやる。お前にとっては退学してもらうことが嬉しい人物だぜ」

 副会長が口を挟んでくる。

 俺が退学することを喜ぶような女の子二人組だと。

 思い浮かばないが———ありえるとするなら白姫さんが言っていた噂を流したかもしれないクラスの女子二人。

 副会長の思う俺が退学をしてほしい人物二人は彼女たちのことなのか。


「噂を広めた犯人ですか?」


「さぁな」


「ご褒美なんじゃ」


「どこまで言うかは気まぐれだ」

 回答しないがニヤニヤと笑っていることから認めたとみていいだろうな。

 彼女たち二人が噂を広めた実行犯。

 どんな理由があって広めたのかはわからないが、気分は良くない。

 自分がそんな目にあったらどんな反応をするのか、考えられなかったのだろうか。

 優華と白姫さんのことを考えると心により渦巻く感情がある。


「サッカー部に入るかわりに二人の退学をやめさせてください」

 ただそれとこれとは別だ。


「ヒーローみてぇなこと言ってんなぁお人好しかよ」


「俺がなにかをしたせいで誰かが退学になるというのが嫌なだけですよ」

 優華と白姫さんは退学しない。

 ただ他の誰かが退学する。

 そんなことになれば、優華や白姫さんが自らのせいで退学になった人がいると気負うかもしれない。

 特に優華はそうなり得る。

 だから、避けなければダメだ。 


「笹野内愛の指示か?」


「これは俺個人の新たな取り引きです」


「フン、思わぬ取り引きだな」


「自分勝手な理由ではありますけどね」


「なんでもいい。お前がサッカー部に入ることを決めたのならな」

 俺がサッカー部いりすることに関してかなり食いつく。

 そこまで欲するほどの才能は、見るに耐えないものだけれどな。


「サッカー部に入ると言いました。でも噂が確実に無くなるとは信用出来ていません。なんでもありの生徒会みたいですし、裏切るかもしれませんから」 

 溜まったなにかを吐き出すように、皮肉を一つ呟く。


「なので噂が無くなったら入りますよ」


「安心しろ生徒会として確実に噂は無くす、明日からいつも通り登校できるぞ」


「明日だけではなく今後もあなた方が同じようなことをしないと誓えますか?」


「噂を流したのは俺たちではないが、また同じように噂が広まることがあればまた無くすと約束しよう」

 頑なに噂を流したことは認めないな。


「プライドが高いあなた方が前言撤回するなんてことはないですよね」


「あぁ」


「約束を破るなんてこともしませんよね?」


「無論だ」


「でしたら噂が無くなってからですね」


「明日にはなにごともなかったように鎮まる。そう誓おう」

 交渉成立か。

 手を前に出す生徒会長。

 俺はそれを握り返そうと手を上げる。

 

「待ってくれ天上さん。生徒会入りは認めてやってもいいが、サッカー部入りは認めないぜ」

 その瞬間、俺と生徒会長の手を遮るように、机の上に手を置いて身を乗り出した副会長。


「春兎。お前も了承していただろう」

 生徒会長か認めるなら認めると副会長も言っていた。


「こいつと話してみて確信した。こいつはいらないぜ」

 嘲笑うような声ではなく冷たい声をしている。


「だいたいこいつは、なんでまた急にサッカー部に入ると・・・・・・でもいいかぁ」

 意外とあっさり引くんだな。

 

「明日だ。明日もう一度来い」

 命令口調だ。


「それ最近流行はやっているんですか?」


「口が減らないな。しゃべれなくしてやろうか?」


「うわー怖いなー」


「てめぇまじでやるぞ」

 両手を前に出して無抵抗をアピールした。


「短期間に何度もここに来なければいけないのは憂鬱ゆううつですね」


「安心しろこれからはほぼ毎日来ることになるんだ」

 今度は生徒会長が口を挟む。

 そういえばそうか。

 どんなことがあっても、俺は生徒会に入ることが決まっているんだな。


「それとこれを渡す」

 差し出されたのは一枚の紙。

 入部届けというやつだ。


「明日持ってこい」

 生徒会長は余程俺のことを欲しているみたいだ。

 どこまで俺に期待しているんだよ。


「持ってきますよ」

 紙を畳んで制服の内ポケットに入れた。


「俺が送っててやる」

 副会長が提案してくる。


「学校からの帰り方ならわかっていますよ」


「てめぇマジで喋れなくしてやる」

 肩を殴られそうになるが避けて立ち上がり、生徒会室から出る。


「なにガン無視してんだ。後輩野郎」

 廊下に出たところで後ろから殴られるが手で抑えた。


「本当にお見送りしてくれるんですね」


御託ごたくはいい黙ってついてこい」

 前をドスドスと歩いていく。

 止まってその様子を見守る。


「黙って従ぇよ」

 無視したら胸ぐらを掴まれて怒られた。

 ここは素直に送られよう。


「わかりました。一度だけですよ」

 後ろをスタスタとついて行く。

 だが帰る場所である下駄箱を通り過ぎ、しばらく歩き続ける。

 どこへ行く気なんだ。


「俺の後ろをついてこいよ」


「王子様みたいですね。惚れてしまいますー」


「殺すぞ」

 先程からずっとイライラしている。

 心の導火線に火をつけるようなことを言ってしまったか。


「ここからは下手な動きをしないで、俺に合わせろよ」

 副会長は廊下の端を歩いたり、急にななめに歩いたり不規則な動きをしていた。

 スパイなのか。

 ミッションでもこなしている気じゃないよな。

 仮にも副生徒会長だ。

 学校の放課後にスパイごっこをしているとは思いたくない。


「お前も同じ動きをしろ!!」

 気に食わなかったが合わせることにした。


「入れ」

 生徒会準備室と書かれている。


「早くしろ。目立ちたくはない」

 連れてこられたのは初めて訪れた一階の奥にある部屋だ。

 目立つほど人はいない。

 てか一人もいない。

 だが廊下で小言を言っている間に副会長といる所を見られたくはないため、指示通り部屋の中に入る。

 入ったあと後ろからなにかを投げられる。

 小さい箱だ。


「中身を開けろ」

 その中には指輪が入っていた。


「うわっ・・・・・・」


「ガチ引きしてんじゃねぇよ!!」


「プロポーズですか?」


「違ぇよ! バカが。それは生徒会の証だ。生徒会に入るなら持っておけ」

 この指輪が生徒会の証か。

 天上帝もめていたな。

 生徒会に入るとこれを嵌めなければいけないのか。


「いまは無闇に出すなよ」


「安心してください見せびらかしたりなんてしませんよ」

 けどなぜ出してはいけないんだろうな。

 学校で嵌めるはずのものなのに。

 生徒会に入ったら毎日装着するものなはずなのに。

 それにここの部屋までわざわざ来て、渡した理由も気になる。


「よくわかりませんが捨てはしませんよ」

 一礼をする。


「フン可愛いげねぇな。けど上手くやったな本咲」


「なにがです?」


「だが、まだ足りない一発殴られろ」

 腕を振られるが避ける。


「おい大人しく当たっておけ!! 悪いようにはしない」


「大人しく殴られるのはしゃくですね」


「てめぇ」


「なので一発殴られてください」


「お前なぁ。いいから殴られておけ」

 副会長は殴って起きたいなにか理由があるのだろう。

 心持ちは良くないが素直に一発殴られておいた。

 痛ぇ・・・・・・。

 額の辺りを殴られたが手加減なしの一撃だった。

 おそらく腫れた気がする。

 意外と本気でやるんだなぁ。  

 恨みという名の力も詰まっていそうだが。


「血出てません?」


「顔一面怪我ばっかだから気にすんな」

 それは事実だ。

 せっかくのイケメンなのに台無しだ。


「じゃあな。もう帰っていいぞ」

 扉を開く音が聞こえる。  

 殴るだけ殴って先に部屋から出た。

 信用はならないが副会長がこんな所に移動したことにも、殴ったことにもなにか理由がある。

 でなければ簡単には許せない。

 殴られ損だ。

 

「明日になれば全てがわかる、か」

 






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