愛と生徒会
「生徒会長と一人で話したいのですか?」
静かに頷く。
「私はお邪魔虫というわけですね」
「そういうわけじゃ」
「フフフ、冗談です。本咲くんの考えはなんとなくわかっていますから」
「ごめん。笹野内さん」
「大丈夫ですよ。頑張ってきてくださいね」
微笑みを浮かべ見つめられる。
「本咲くんを信じてますわ」
「ありがとう」
笹野内さんの許可をもらい一人で生徒会に接触することが決まった。
「二人で朝クラスメイトの反応を確認したけど、噂が嘘だということが信じられていなかった」
笹野内さんの知名度を持ってしても信じられていない。
それは笹野内さん以上の影響力を持つ者が噂を広めていることもあるが、噂の信ぴょう性を上げているアイテムがあることも大きい。
「そうですね。噂は嘘だと広めた私たちを怪しんでいました。噂が真実であると認めざるをえない写真があるということが、噂を嘘だと否定することを難しくしていますね」
「いまのところ上手く行っていない・・・・・・いや上手く行っている最中。だからこそ決定的な、こっちが勝つための絶対的な一手を打とう笹野内さん」
「えぇ、もちろんです」
「写真を否定する、理由づけをしよう」
相手が写真を使って噂の信ぴょう性を上げているなら、こっちも噂が嘘だという信ぴょう性を上げればいい。
「こういうのはどうかな。実際に写真は撮られたけど、妹の七夏実が白姫さんと優華と仲が良くて、二人が七夏実に会うため、家に訪れていたときたまたま写真を撮られた」
「それだけでは無理があるかもしれませんね。偶然が重なりすぎなように感じます」
二人が妹と仲良くて、家に行くことになったら偶然俺がいた。
都合良すぎるよなぁ・・・・・・。
「なら写真は合成だと説明をする」
「こちらが証拠をなにも持っていないということを明かしているようなものです」
確かにそうだ、なかなか打つ手が見つからない。
「写真と同じような存在。噂が嘘である信ぴょう性を高めるアイテムが私たちもほしいですね」
なにかあるだろうか。
そのようなものが・・・・・・流されている噂を一変するような写真が。
いや、写真というものに振り回されすぎか。
俺も、この学校の人もだけど。
そもそも写真は映えや思い出、相応の楽しみと価値を見出すために撮るのは良いことだけど、凶器や武器として使うのは違う。
撮られた写真をスマホでもう一度開く。
なにかアイテムのヒントがもらえるかもしれない。
「・・・・・・」
生徒会は写真を武器として使用したんだよな。
言ってしまえばこの写真を利用した。
逆転の発想、つまり俺も利用させてもらえばいいのか。
利用するなにかがあればいいんだ。
「———笹野内さん生徒会を利用しよう」
「本咲くん?」
「写真を撮った人物たちに俺と白姫さんは前からつけられていた。それをやめさせてもらうために、生徒会に動いてもらうための確固たる証拠と理由が欲しかった。だから妹と家が隣の優華に協力してもらい犯人を誘い出した。危ない賭けではあるけど、写真を撮らせれば犯人が言い逃れできない証拠になるから」
「写真を事実にして利用する。面白い案ですね。狙うのは学校の生徒の皆さんではなく、生徒会」
「生徒会が勧誘した優華がこのような事件に巻き込まれているのは、生徒会としても心良くは思っていないはずだから、それも追い風だ」
自分たちが誘った人物に問題があるというのは、生徒会のブランドやイメージを下げることになるからな。
「勧誘していた紙を証拠として優華は持っている。生徒会が白を切ったり、断固としてその事実を知らないと言うなら、認めざるをえない証拠を出せばいい。そうすれば生徒会共々評価は落ちる。むしろ、生徒会の方がダメージになる」
学校を騒がせる事件に関わるような人物を勧誘していたなら、生徒会の見る目はないと広まるからな。
だけど、こんな作戦は強い権力の前では些細なもにすぎない。
でも生徒会長は俺に一泡吹かされた、利用するつもりが逆に利用された。
写真という武器を逆手にとり、自らに武器として襲い掛かられた。
そうなればプライドや面子が許さないと思う。自身の力に固執し自信がある人物は、自身の信用を落とされることを許されないはずだから。
こちらの話に乗っかるのが生徒会長は正解だと判断できるはず。
利用されているということで俺に怒りが湧きプライドが許さなくとも、力を持っている奴を自身が見出した。
自身が能力を認め好きなようにやらせて自体が収まった。
そう考えれば俺を上手く使いこなしたと気分が良くなる。
だから、生徒会長はこちらを選ぶと思う。
「生徒会に信じてもらうためにあえて本咲くんと白姫さんは写真を撮られた。その写真の中に生徒会に勧誘した優華さんもいるため、生徒会としても見過ごせない。この二つを使い生徒会に脅しをかけるということですね」
「その通り。最悪この話に乗ってくれないのなら、この話を使って新しく噂を流してもいい。生徒会は生徒の助けに乗ってくれない奴らだと流せばいい」
まぁ生徒会に噂自体をすぐ鎮火させられるだろうし、証拠も弱いからこちらがいくら言っても一般の生徒には信じてもらえなそうだから望みは薄いけど。
「良い案ですわ。けれど、生徒会が噂を流しているのです。脅迫になるのかは難しいかと」
御託を並べた希望論、それは事実。
欠陥的な作戦であり、最初から詰んでいる。
大きな力には一生徒では勝つのが難しい場合もある。
相手の土俵を受け入れる必要が出てくるのかもな。
「ですから新しい脅迫になるようなものが必要です」
「新しい脅迫?」
思ってもみない言葉が返ってくる。
「今回の目的は生徒会を倒すのではなく、黒妃さん、白姫さん、そしてあなたの噂を無くすことです。なので生徒会がプラスになるようなこともあれば、生徒会長は止めないでしょう」
「それはそうだ、でもプラスになることって・・・・・・」
「ある生徒たちが写真を使って噂を流すという天上磨学園に所属する者らしからぬ行為を行うかもしれないこと生徒会が認知した」
笹野内さんが淡々と語りだす。
「そのような者たちを未然に防ぐために生徒会は対応にあたった。その際生徒会が対応にあたらせた人物が私と本咲くん。ですがなぜただの生徒である私と本咲くんにあたらせたのか。そのような問題が浮かびますね」
ただ言葉を聞いていたが、その先で言われる言葉は予想できている。
「なぜなのかそこには理由が必要。私たちが・・・・・・生徒会候補生だから。そういう理由にするのです。私とあなたが生徒会に入るために試されていた。問題を防げるかどうかを。このようなストーリーならどうでしょうか」
「・・・・・・・・・・・・」
「私と生徒会に入りましょう」




