表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/69

天才の定義





「いいえと言ったら?」


「学園からいなくなる。つまり退学だぜ」

 副会長が口を開く。

 予想もしていない一言を告げられる。


「そんなことがあなた方にできるんですか」


「生徒会だからな」

 生徒が生徒を自由に退学させることができるのか。

 とんでもない権力だ普通の学校ではない。


「現に退学になるかもしれない奴がいるなぁ。白姫波音羽に黒妃優華」

 聞き捨てならない名前だった。


「なにが言いたいんです」


「ガキでもわかる簡単な答えだ。二人は今後学校に来れなくなるんだよぉ」

 邪悪が含まれた笑みを浮かべる。


「それにな、いまは二人だが今後はもっと増えるぜ。お前が理由で多くの生徒が退学するんだ」

 まるで未来が見えているかのような言い方。

 違う、未来を好きに決められるということの意思表示か。


「この取引を呑んだほうがいいぞ本咲強助。自分のせいで退学する人なんて出したくないだろ?」

 挑発するように後ろから近づいてくる副会長。


「さぁどうする。ガラスの天才、早熟の秀才、落ちた逸材———壊れかけの才能くん」

 脅しか・・・・・・全て判明した。

 今回のこと、噂が流された理由は全部、俺なんだ。

 俺のせいで優華と白姫さんは噂を流されたんだ。

 その噂をタネに脅して、生徒会とサッカー部に俺を入れるために。

 二人には謝っても許されない申し訳ないことをしてしまった。

 もう誰にも迷惑をかけない、傷つけないとあの日決めたのに。

 知らず知らずのうちに他者を陥れている。

 誰かを俺のせいで苦しめてしまった。

 そんな奴が・・・・・・天才?


「生徒会の皆さんは俺が天才だから欲しているんですか」


「何回言えばわかるんだよ。そうだと言ってるだろ」


「なら一つ聞いてみたいです」

 生徒会長と副生徒会長が顔に力を強める。


「あんたらは天才なのか?」


「じゃねぇならここにはいねぇよ」

 当たり前のことを抜かすなという雰囲気を出してくる。


「なら生徒会長さんに尋ねたいです。天才とはなんですか。才能があるとはどういう人間のことを言うんですか」

 黙っていた生徒会長に尋ねる。

 天才の定義を。


「他の者より秀でている。多くの人間に比べて力がある。普通の人間には持つことのできないなにかを抱えている。言うなれば」

 視線が激突する。


「才能とは他者に言われて初めて成り立つものだ。天才、秀才、逸材それらは他者が言って初めてその存在として認識される。即ち自ら才があると奢るような奴は才能があるとは言えない。むしろ凡人より酷い」


「そうですか。なら考えは違いますね」

 一切表情を崩さない生徒会長。


「俺は他者が言ったものに自分を縛られたくない」

 ファッション隠キャという噂を流されたが、自分がなにかしたとこで変わらないからなにもしなかっただけだ。

 誰かに言われた噂や名称なんてものは大嫌い。

 

「人に天才だとたたえられているんですよね?」

 二人はなにも言わない。

 いや、言えないのか。


「それを受け入れ、その他者の評価で生きているお二方は他者的な自己のない凡人と一緒ですよ」

 いつか自分の身を滅ぼすだけけの存在だ。


「本物の天才というのは・・・・・・自身の才能と力だけを信じ、認めて、努力して伸ばし続ける者のことだ。つまり俺もあんたらも一緒で天才なんかじゃないんだよ」

 

「それがお前の思う天才の定義か」

 ほんの少しだけ笑みを浮かべる会長。


「つまり他者に天才だと決められても、己が天才だと思わないから生徒会に入らないということなんだな」


「簡単に言えばそうですね。俺自身は生徒会に入りたいと思っていませんし、あなた方の定義に当てはまっているともオモイませんから」


「それが答えか」

 生徒会長が少しがっかりしたように答える。


「俺が入れなくともこの学校にはたくさんの天才がいますよね。なら生徒会に誘えるメンバーに困ることはないのでは?」


「真の天才だけが生徒会に入れるんだ。そう多くはない。お前は数少ない真の天才の一人だったんだがな」

 真の天才とはなんなのだろう。


「生徒会入りを了承しないのならこのまま噂は広がり、白姫波音羽と黒妃優華は退学するぞ」


「させませんよ。本咲強助がなんとかします」

 見栄に近い、でもまだいろいろやり用はある。


「天才ではないと言う割には大層な自信だな」


「なければこのような所まで来ませんよ」

 交渉は決裂だ。

 お互いの視線に冷たい熱を感じる。


「退学しても文句は言えないな」

 

「えぇ、させませんから安心です」


「放課後に改めて答えを聞かせろ」

 生徒会長は確信しているな俺が泣き寝入りすると。


「何度聞いても変わりませんよ。それでも聞きたいのであればもう一度訪れましょう」

 ここは一度乗っかるべきだろう。

 俺からもう一度伺うのは決まっていたことだしな。

 

「考えるんだ。お前だけの答えではなく、出すべき答えを」


「失礼します生徒会長」

 笹野内さんに目で合図をすると怒っている顔をされる。

 俺はイケメンスマイルで返したが顔を逸らされた。


「外に出ましょうか。天上帝生徒会長また来ますね」

 笹野内さんと共に立ち上がり、反応を示さない会長に背中を向け部屋の扉へと向かう。

 副生徒会長とすれ違う際、お前は取引に乗るしかないと言われた。

 笹野内さんは怒った目を副会長に向け、部屋の外まで歩いた。


「生徒会が黒幕なのは間違いない」


「そうですね・・・・・・おそらくその通りですわ」


「あの、怒ってる?」


「もっと私をお頼りになっていただいても良かったのですよ」

 廊下を歩む中でプイっと顔を逸らし一切俺の方を見てくれない笹野内さん。


「ごめん」


「ですが、なかなか良い所が見れたので悪い気はしませんね」

 どこを良い所と言っているんだ。

 

「放課後に訪れるときはもっと私を頼ってください」

 大きな意思でお願いされる。

 だけど、それにはこう答えるしかない。


「放課後は一人で生徒会長と話したい」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ