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生徒会長天上帝






 あのあと家に帰ると、妹が作った料理があった。

 久々に食べる妹の料理は美味びみであっという間に完食した。

 食べ終わり部屋に戻ると、生徒会への接触と噂を無くすための方法をいま一度考えていた。

 ベットに入り頭の中を整理して、携帯とノートそれぞれにメモを残し眠りについた。

 朝起きると手短に朝食を作り、準備を終え早めに学校へ向かうことにした。

 ゆとりを持って歩き、学校の始まる一時間ほど前に到着する。

 大部早くに着いたな。

 敷地内に入ると人影が見えた。

 こんな朝早くに誰がいるのだろう。


「おはようございます本咲くん」


「笹野内さん・・・・・・おはよう。なんでこんな早くから?」


「あなたが朝早くから学校に訪れると思いまして」


「俺の熱烈なファンだな」


「えぇ。私はあなたの大ファンですから」

 表情は明るいが、嘘が本当かは判断がつかない。


「———計算通り?」


「フフフ、どうでしょう」

 昨日の今日だ。

 笹野内さんにはなにもかもお見通しなように感じる。


「立ち話もなんですから少し歩きませんか」

 一回だけ首を縦に振った。

 すると笹野内さんは俺の横に移動してきた。


「生徒会に行くのは昼休みじゃないの」


「そうですよ。そのように約束しましたわ」

 

「俺がくるからって・・・・・・なんで朝早くからの接触なの?」


「私のセリフですよ本咲くん。あなたこそなぜ朝早くから登校しておられるのでしょうか」

 

「キミと早く会いたくて」


「本当でしたら嬉しいですわ。けれど違いますよね」

 立ち止まる笹野内さん。

 わかっているならわざわざ試すように聞かなくてもいいのにな。

 

「二人ではなく、一人で先に生徒会に接触を行おうとした。違いますか?」

 

「補足する点がないよ。見事な推察力だ。全てお見通しなのかな」

 誰よりも朝早くから俺がくることを想定して登校したんだな。

 ずっと前からここで待っていたんだろう。

 なのに髪も制服も乱れや汚れ一つない。

 慌てて家を出ることも、待っている間壁に寄りかかることもしなかったんだな。

 身だしなみ一つ隙を作らないとは、流石はお嬢様。

 顔にくまがあるわけでもない。

 きちんと睡眠時間もとっている。

 抜かりがない。

 完璧に俺の行動を把握して会合を迎えている。

 笹野内さんの思うままに進められている。


「だけど違うよ。俺は別の目的があってここにいるんだ。朝一人で生徒会に接触しようにも生徒会の人たちがいるかわからないのに、無駄足になるようなことはしたくない。約束通り生徒会には笹野内さんと行こうと思っていた」

 一瞬驚いたような表情を見せる笹野内さん。


「俺が朝早くからここに来た本当の理由がわかる?」


「なぜでしょうか」


「キミに確認しておきたいことがあったんだ。俺が早くから学校に来ることを見越して、笹野内さんが登校することは予測出来ていたから」

 自身の行動を予測されたというのに、嬉しそうに微笑む笹野内さん。

 

「でしたら、本咲くんの言う確認しておきたいことはなんですか」


「簡単な確認だよ。時間ならたっぷりあるんだ。じっくり説明する」

 内容を一通り話し笹野内さんからの回答をもらった。

 そこから二人で内容についてより深く話した。

 いつの間にかちらほらと生徒が現れ始める。

 視線を感じた。

 噂は払拭できていなさそうな気がする。

 それどころかいま二人でいるところを見られたら新たな噂が立てられそうだ。

 頃合いを見計らい談議を終えそれぞれの席へとついた。

 今日も今日とて約束の昼休みまであっという間に時間は過ぎていった。


「時間ですね」


「あぁ。いろいろあったけど、いよいよだ」


「行きましょう」

 生徒会室まで続く廊下を歩く。

 部屋の前で合流のはずが、かなり前で鉢合わせた。

 お互い昼食を摂らず向かったため早くに合流することは不思議ではない。

 並んで生徒会室まで歩み始める。

 二階の一番奥にある生徒会室までは意外と距離がある。

 その間、重苦しく緊張感が漂う空気になりかねなかったが、結果としてそのようなことにはならなかった。

 俺も笹野内さんも談笑できるほどの余裕があった。


「いよいよです」


「笹野内さんも初めて訪れるの?」


「初めてですね。ですから本咲くんがいて心強いです」

 どこまで本気で言っているのだろう。


「俺もキミがいて心強いよ」


「本咲くんも同じオモイでしたのね。嬉しいです」

 軽く笑い合い生徒会室の前まで着いた。

 笑った理由は違いそうだけど。


「気合いでもいれとく?」


「あなたはそのようなキャラでしたか」


がらにもないことはやるもんじゃないか」


「いえせっかくですからやりましょうか。えい、えい、おー」

 握った手を軽く上に突き上げる笹野内さん。

 やり慣れていない感じが可愛いな。

 多くの男子生徒から好かれているのも納得できる。


「駒下さん仕込みです。本咲くんもどうですか」


「えいえいおー」


「早口ですわ」

 不機嫌な声を漏らす。


「けれど、可愛いかったです」


「それはどうも」

 相槌あいづちのように小さな笑みを返すが照れ隠しだ。

 可愛いと言われるのは男として不甲斐ないかもしれないがドキッとした。

 馬鹿にするために言っていたなら悲しいけど。


「馬鹿にしていませんわ」


「心読めるの!?」


「あらあっていましたか、驚きです」

 俺も驚いたよ。


「だけどおかげで心はほぐれた。行こっか」


「はい。行きましょう」

 扉を叩き、中に人がいるか確認する。

 反応はない。

 誰もいないのか。

 そう思った瞬間扉が開いた。

 部屋の中は教室の何倍も広く、何種類もの花が混ざった芳醇ほうじゅんな香りが一気に押し寄せる。

 壁や床が一面金色で輝いていて、部屋の奥に大きな椅子と机があった。

 そこに手を組みこちらに視線を向けるものがいる。

 指にめてある指輪は部屋よりも黄金に輝いている。


「凄いですね。金一色です」

 笹野内さんが呟く。


「なにかようか?」


「生徒会のみなさんに少しばかりお話がありまして」

 言葉に萎縮いしゅくせず続ける。


「俺が話そう」


「あなたは・・・・・・」


「生徒会長天上帝だ」













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