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波音羽の知り合い





 驚いたけど自然と不安を取り除きたくて、そのまま身を委ねさせることにした。


「本咲!?」


「・・・・・・えっ?」

 なにをしたんだ。

 俺は白姫さんの頭を、撫でたのか?

 咄嗟に彼女の不安を取り除きたいと思ったら手が勝手に動いていた。


「いいんだけどさ」 


「そ、そう。なら、うん、うん」


「相槌しか言ってない!?」


「なんか言葉にできなくて」

 苦手だった女の子の頭を触ったんだ。

 無意識とはいえ説明がつかない。

 白姫さんも好意のない男に撫でられるなんて、本当は絶対嫌なはずだ。


「フッ、本咲って面白い」

 涙の顔が晴れて笑顔になる白姫さん。

 俺はただその顔をじっと見つめることしかできなかった。


「元気でてきた。よし!」

 顔を預けていた俺の胸元から離れる白姫さん。

 切り替えるのが早くない!?


「噂を流した犯人は二人で合ってるの?」

 

「いや・・・・・・そうであってそうでないと思う」

 白姫さんは気にしていないのか。

 俺はその程度なのか。


「どういうこと」

 俺も上手く切り替えなきゃ。

 二人きりという事実を認識しすぎないように。

 しすぎないように。

 考えれば考えるほど意識してしまう。


「二人は確かに噂を流すことに関与していると思う。だけど真の黒幕は別にいる気がする」

 平常心、平常心。


「真の黒幕?」

 

「噂を流すための写真を撮ったのはその二人なのかもしれない。けど、少人数で固まっている人たちが学年を越えて他学年までに噂を流して、信じてもらえる、噂を聞いてもらえるとは思えない」

 噂を流す人物にもある程度の信用がいるから。


「流された噂は優華と白姫さんなんだ。影響力や知名度、人気的にも信じない人の方が多い気がする」

 二人のことが嫌いな人なら信じるかもしれない。

 けど、一日、二日で広められるほどの人数、影響力のある人が二人のことを嫌いになっていると、考えるのは無理がある気がする。

 白姫さんに関しては女の子から嫌われているから少なからず有り得なくはない、でも優華に関しては男女ともに人気。

 そんな人気者が、多くの人に嫌われているとは思えない。

 逆にいえばそんな人気者を評価一変させるくらいの影響力を持つ人が、この噂に関わっていて真の黒幕である確率が高いということだ。


「だけど写真があるじゃん?」

 実際に見てわかる証拠がある。

 それはなによりも噂が事実であるとする確かな証明だ。


「噂に信ぴょう性を持たせる物は大事だよ。けど、見てもらえなかったら、聞いてもらえなかったら、意味がない。白姫さんの話を聞く限りではその人たちが噂を流して写真を見てもらい、信じてもらえるとは思えない。誰か広める人、もっと顔が広い誰かが必要だ」

 全学年、全生徒に事実だと思わせられるような人物が・・・・・・。

 加えて写真を撮るために俺や優華の家を知れる人物。

 そんな人が必要なんだ。

 自ずと答えは限られてくる。

 答えが迫っていく感覚に陥る。

 優華と笹野内さんとの会話を思い出す。


「生徒会・・・・・・」


「えっ」


「白姫さん、生徒会となにか関わりがあったりする?」


「・・・・・・なんで?」

 

「生徒の代表である偉大な人たちと繋がりがあるのか気になる」


「偉大だと思ってないでしょ」


「思ってはいないです」

 軽く笑う白姫さん。


「本咲なんか変わった。いい、とてもいいと思う」

 うんうんと頷いている。

 

「馬鹿にしているの」


「してないしてない。でもちょっとはしてるかも」


「しているんだ!?」

ハハッとさっきよりも声を出して笑う白姫さん。

大部、やわらいでいる。


「やっぱりそっちの方がいい」

 

「白姫さん・・・・・・」

いまなら聞けそうだ。


「生徒会には因縁、切っても切れない縁がある人がいる」


「ならその人が噂を流した黒幕かもしれない」

 渋い顔をする白姫さん。

 真相解明に近づけたと思ったが彼女は違うみたいだ。


「どうだろ。因縁はあるけど私を貶めるような噂を流す人とは思えない。どっちかっていうと私の噂を流されたらすごい怒りそう」

白姫さんが嘘を言っているようには見えなかった。

だけどその人物を覚えていて損はなさそうだ。


「その人の名前を聞いてもいい?」


西蓮寺晴兎さいれんじはると


「ありがとう白姫さん。これで前に進めそうだよ」


「良かった」

一旦終わりだな。


「もう夜だから、今日は終わりにしよう。またなにかあったら連絡する」

 もうこれ以上女の子の家に二人きりでいると心臓が保てない。


「終わりでいいの?」


「黒幕となりえる人の話は聞けて話もついたから」

 突然顔の前まで近づいてくる白姫さん。


「ちょっ!?」


「連絡先交換しよ」

 

「連絡先?」


「持ってないのにどうやって連絡をとるの」


「いや、それは・・・・・・」

 服をゴソゴソと触ってくる白姫さん。

 必然的に手が体にあたる。


「な、な、なにを」

 体にあたるのは女の子らしい小さな手で、布越しにわかるくらいスベスベしていて、冷たくひんやりとしている。

 でも手が触れた場所はどんどん熱を帯びていく。

 これ以上触られると白姫さんに気づかれそうだ。

 さっきからの緊張が続いていて、体の血流はどんどん早くなる。

 二人きりの部屋でここまで近づくと・・・・・・。


「あった」

 携帯を目の前に出される。

 ズボンのポケットに手を入れられて取り出された。


「俺のスマホ」

 電源をつけられる。


「うそっ、本咲パスワード入れてないの?」


「特に使うこともなくて、見られても困ることないから」


「そういう問題じゃなくてさ」

 ありえないというような驚きの様子をしている白姫さん。


「本咲だけじゃないでしょ。連絡先とか、本咲以外の人だっているんだからさ」


「それはそうかも」


「これからは私も増えるんだから、パスワード入れて」


「あ、えっ、はい?」

 

「なんでそんなに驚いた顔をしてるの」

 不思議そうに顔を傾ける。

 いやだってキミが言ったそれは。


「連絡先交換するということですか?」


「当たり前。拒否権はないよ!!」

 親指を上げグットポーズをしながらムフっとした笑顔をする白姫さん。


「決定事項なんだ」


「じゃあ交換交換」

 慣れた手つきで携帯を触る白姫さん。

 なにか見られて嫌なものはないため特に気にしていないが、ただでさえ二人きりなんだぞ!?

 目の前で異性に自分の携帯を使われるのは心が落ち着かない。

 なにより白姫さんの連絡先が増えることに驚きを隠せない。

 

「大変なことになるな」

 思わず口から本音がこぼれ落ちた。

 

 



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