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波音羽と二人きり







「ずっと立ってるのも変だし、早く座りなよ〜〜」

 駒下さんがソファーに座るよう促す。

 彼女が主導権を握っているのはやはり変だな。

 隣を見ると失礼しますと言って笹野内さんが座る。

 その様子を見て俺もソファーに腰を下ろした。

 なんかソワソワする。

 そういえばこんな時間にご家族は人が訪れることを許してくれているのだろうか。

 そもそも人の気配をあんまり感じなくはあるけど。


「夜分遅くに訪れてしまい申し訳ありません」

 

「私一人暮らしだから大丈夫」

 謝る笹野内さんにそんなことしなくていいと言う白姫さん。

 高校一年生で一人暮らしをしているのか。

 しっかりしているんだな。

 いままでだったら白姫さんが一人暮らしをしているイメージがつかなかった。

 でもバイトをしている学校とは違う彼女を見たらもうおかしいことではない。


「じゃあ話そ。今日はそのためにきたんだから」

 話題を変える駒下さん。

 それに乗っかり噂を無くす方法を説明した。

 一通り話したあと、噂のことについて白姫さんの口から語ってもらうことになった。


「私の元に連絡が来たのは土曜日の夜、お風呂に入ってるときだった」

 お風呂という単語にピクっと眉毛が反応したのを笹野内さんに見られる。

 一応男子高校生だから、そういうワードを言われ反射的に反応してしまったんだ。

 笹野内さんへの言い訳を心の中で行った。


「写真と一緒にメッセージが送られてきて・・・・・・」

 微かに声が震えている。


「ビ、ビッチって。ファッションビッチで、ファッション隠キャの本咲と、って」

 体の関係を持っている人がたくさんいて、今度はファッション隠キャの俺と関係を持っている。

 ビッチという意味通りの噂だな。


「波音羽・・・・・・大変だったよね。近くにいなくてごめん。でも本心を伝えてほしかった。私が力になりたかったから」

 白姫さんに向き直る駒下さん。


「過ぎたことをいまから変えることはできないけど、未来のことはいまから変えることができる。だからこれからは私に伝えて」

 背中に手を回し白姫さんを抱きしめる駒下さん。


「言えば良かったのに、私こそごめん雅」

 

「もう大丈夫、この話は終わり。はい。噂をなんとかしよ」

 頷く二人、白姫さんも抱きしめ返す。

 仲直りはできたみたいだな。

 喧嘩といっても二人の優しい感情ゆえに起きたすれ違いみたいなものだ。

 二人の絆をより強くしただろう。


「素晴らしき友情ですね」

 隣に座る笹野内さんが二人に眼差しを向ける。


「憧れるの?」


「絶対にそのようなことを行いたいわけではありません。ですが興味はありますよ」


「そうなんだ」


「意外に思われますか?」


「なんというかまぁうん。笹野内さんは一人でなんでもこなすような雰囲気を出しているからさ」

 フフフと笑みを浮かべる笹野内さん。

 

「今回はあなたがいないと成し遂げられませんよ」

 ふいに気をてらうような言葉をもらい、逃げるように顔を逸らした。


「可愛いですね」


「やめてよ、そんなことないから」

 大きくはないけど確実に笑っている声が聞こえてくる。


「二人が仲を確かめ合っているのに悪いんだけど」

 これ以上笹野内さんにからかわれないために話を進める。


「酷で嫌なことかもしれない。だけど話していいかな」

 

「もちろん。噂をどうにかしようと本咲が頑張ってるのは雅からの連絡で聞いたから。私が答えられることならなんでも答える」

 視線を向けるとニッコリとした笑みと親指を立てた手を返された。

 改めて噂を無くす方法を伝えると、下を向き自分の手をギュッと握る白姫さん。


「無茶かもしれない。相手が納得するのか、本気で信じてくれるのかはわからない。でもこの方法なら噂を無くすことができると思っているんだ」

 方法を認めてもらうために最後の一押し。

 すると白姫さんが表情を緩ませた。


「本咲がここまで頼りがいあるなんて、私の予測は正しかった。信じる」

 力のこもった言葉を、しっかりと目で捉えて伝えられる。

 白姫さんの初めてをまた知る。


「ありがとう。頼り甲斐があるなんてそんなことはない。笹野内さんと駒下さん含めた、たくさんの協力がなければ詰む方法なんだ」

 あのときはだから失敗した。

 俺一人では到底なしえなかった。


「それでも本咲が動いてくれてる。だから私は嬉しい」

 なぜ白姫さんはここまで俺にこだわるんだ。

 ただのクラスメイトで席が近いだけの他人なはず。

 嬉しいなんて・・・・・・そうか、誰にでもそうやって言葉をかけているのか。

 考えてもいないけど相手が喜ぶならと言葉をかけているんだ。

 でなければ彼女が俺を頼るなんておかしいし、嬉しいだなんて言うわけない。


「笹野内さんと雅ごめん。本咲と二人になってもいい?」

 どういうことだ。

 なぜ二人に。


「ちょっとだけ話したいことがあって。すぐに終わるから」

 お願いと手を合わせる白姫さん。


「少しだけだよ。私だって波音羽と一緒にいたいんだから」

 俺は了承も否定もしていないのに、もう話すことになっている。


「ありがと」

 立ち上がりリビングの外へと向かう駒下さん。


「笹野内さん行こ」

 静かに座っていた笹野内さんも立ち上がる。


「お二人だけで話を行うことはいいですが、私もあとで本咲くんに話があります。時間を作ってくださいね」

 立ち去っていく笹野内さん。

 

「二人ともありがとう」 

 二人がリビングから出るのを確認したのち、白姫さんが隣へと移動してくる。

 なにを話すかもわからないけど、流石に二人だと緊張がとんでもないことになる。

 心臓を必死に落ち着かせようと試みているとき、彼女が口を開いた。


「私噂を流した人に心辺りがあるの」

 














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