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三人で相棒






「具体的に噂は違うって誰に言えばいい?」

 駒下さんが漂う緊張をかき消すように聞いてくる。

 いまは探りを入れたり疑うべきではないよな。

 人を信じなさすぎるのは悪い癖だ。


「駒下さんが噂は違うと伝えたときに信じてくれる人かな」


「う〜んそうなると・・・・・・他クラスの人も含めて十人いかないかも」

 悔しそうな表情をしながら俯く。


「そんなに落ち込む必要はないよ。問題は数ではなくて、誰がどうやって広めるかだ」

 噂はただ伝えても信じられない、特に内容が面白いものでなければないほどに。

 誰が言うか、どうやって言うか、そこが大事になる。

 つまり信ぴょう性を高めることが噂において大事なことだ。

 今回の噂は誰が流したかはわからないがある程度信ぴょう性が高かったということ。

 写真を撮られていたからおそらくはそれによって高くなったのだろう。

 だとしても信ぴょう性が高い情報を持っている人だということを、疑うことなく思えるような人物でなければ今回の噂は広まらないはずだ。

 誰かが裏で糸を引いている。

 謎は深まるばかり。


「本咲くんまたなんか考えてるよね」


「ごめん。早速駒下さんの友達に連絡できる?」


「話はぐらかした〜もぉ〜」

 怒りながらもスマホを取り出してくれた。

 

「どんな風に伝えればいい?」


「噂は違うということ、違うということをできる限り広めてほしいということ、その二つを伝えてくれればあとはどう伝えても構わないよ」

 詳しく言い方と伝え方を言及することもできるが、逆にそのやり方を教えると、やり方に縛られて上手く噂を広められない可能性がある。

 やり方を教えると時間もかかるため、詳しいやり方は言及しないようにした。


「わかった。連絡してく」

 スマホを触り一人一人にメッセージを送る駒下さん。

 その間に笹野内さんに確認をとることにした。


「笹野内さんは誰に連絡できる?」


「私ですか。私は」

 喋りが急に止まる。

 どうしたんだろう、言うのが嫌になったのか?

 体を笹野内さんの方に向き直す。

 

「本咲くん。あなたは私が誰に連絡を行うと思いますか」


「誰って、知り合いの人全員にできればしてほしいけど」


「言い方を変えますね。私は誰に連絡をできると予想しますか」

 予想?

 つまり笹野内さんが誰と仲良いか、繋がっているかということか。

 正直推測はできても誰と交流があるのか全く知らない。

 普段笹野内さんのことを観察していないしな。

 

「俺は笹野内さんが誰と仲良いのかわからないけど、今日天上くんと一緒にいたから彼には連絡できると思う」


「フフフ、そうですね。彼にはできますわ。ですけど私が聞きたいのは特定の人物というより存在です」


「運動神経いい奴とか、頭いい奴とかそういうこと?」


「はい。流石です本咲くん」

 こんなことで褒められても・・・・・・嬉しくはある。

 笹野内さんに褒められて嫌な気分にはならない。

 だけど慣れていないから反応の正解がわからない。


「なら、学校でトップクラスの成績を持つ人や令嬢などの学校でも知名度が高い人とか」

 学校に影響力を持っている、連絡を行える人というならそのような人達になってくるだろう。

 他に候補があるとするなら・・・・・・一つある。

 ただ、笹野内さんが連絡できるかどうかはわからない。

 接点や繋がりがあるかも全く不明だ。


「生徒会」

 口元が微かに緩む笹野内さん。


「二人とも連絡終わったよ〜〜!!」 

 元気そうな声が聞こえた。


「どしたん、そんな顔して」

 

「なにもありません」

 俺と駒下さんの前を歩く笹野内さん。

 笹野内さんの反応について聞きたかったがお預けになった。

 

「これから波音羽の所に向かうでいいよね」


「一回話は聞いてみたいな。白姫さんがよければだけど」


「そう言うと思って連絡したら許可もらえたよ!!」

 自慢げに語る駒下さんは無邪気さが上がっていて可愛かった。


「でもね納得いかないのは、本咲くんと笹野内さんが行くって言ったら了承してもらえたこと。私が一人で行くって言ったときは来るなとか言ったくせに」

 唇を軽く噛んで怒りを露わにする。


「直接会ったら言ってやる。親友を心配にさせるな、私と会いたくないとはどういうことだって。だから本咲くん見てて」

 

「俺の魅力を越すものがそこにあれば見るよ」


「ちゃんと見てよ、もう!」

 怒っている顔だが笑っているように感じる駒下さん。

 彼女がいると空気がなごやかになるな。

 

「任せたよ相棒!」

 

「相棒?」


「今回一緒に人を助けるわけだから、相棒みたいなものでしょ」


「三人なんだから、コンビじゃなくてトリオだけど」

 

「三人で相棒!」


「それは相棒なの?」


「硬いな〜。それくらいでいいんだよ」

 どのくらいのことを言っているんだ。


「とにかく私たち三人は一心同体だから!」

 俺の手を取り前にいる笹野内さんの手もとる。


「なんです、急に手を握りしめて」

 あまりに突然のことだったのか笹野内さんの表情が崩れる。


「空気悪くなったんだから約束しよ!!」

 俺と笹野内さんの手を離した駒下さんはすぐさま、自身の手を俺と笹野内さんの目の前に出す。


「なにやってんのみたいな表情をしない二人とも。手を前に出す」

 観察するようにただじっと立つ。


「だから〜〜〜。なんで手を出さないかね〜〜。わかった上で出してないことはバレバレだからね」

 流石にわかられていたか。

 不満顔の駒下さんを見て、恥ずかしいが流石に聞き入れてあげたくなる。


「お〜〜本咲くんわかってる」

 手が触れると駒下さんの熱が伝わってくる。 

 女の子特有の手触りに心臓が跳ねる。

 その横で駒下さんがじっと笹野内さんを見つめている。

 ゆっくりと手を出し俺の手に重ねた。

 少し冷たい感触が伝わってくる。

 手と手のサンドイッチみたいだ。

 チーズが間に挟まっていたら溶けるぐらい俺の手が熱くなっている気がする。


「じゃあ頑張ろう!!」

 周りに人がいたが掛け声と一緒に駒下さんが手を上げたため、必然的に他二人の手も上がり結果的に全員の手が空中に上がる。

 周りの目もあって恥ずかしかったが、なんだか懐かしくて悪くない気分も少しだけあった。

 


 







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