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生徒会からの勧誘






 

 自分のありもしない噂を広められ塞ぎ込んでいた優華は、俺の前でも心配をかけないように普段のままでいた。

 だからこそやっと優華の心を解くことができて良かった。

 強引にはなったけど、ときには無理矢理でも聞かなければいけないことがあるんだと学べた。

 

「強助、苦しい」


「あ、あぁ」

 優華の背中と腰から手を退けて、肩をそっと掴んで俺の胸から離した。


「意外と胸元厚いんだね」


「俺はセクシーだからな・・・・・・でもまぁ自分じゃわからないよ」


「なら私だけが強助の秘密を知っているんだね」


「秘密といえるほど隠して盛り上がれるものでもないけどな」


「私だけの秘密にしますー」

 頬を膨らまして胸を叩き独占を主張してくる。

 暗い気持ちなのに、無理しているのかと思ったが違っていそうだ。


「冗談を言えるくらい溜まっていたものを出してくれたなら俺は嬉しいよ」


「勘違いしてるよ〜。秘密にするって言ったのは冗談じゃないからね!」

 

「すまんすまん」


「謝罪の気持ち持ってないでしょ〜」

 涙の跡は残ってしまうけど優華の不安はできるだけ残したくない。

 いくら俺がどうにかするとはいえ、解決するまでは辛いままだから。


「優華。なんとかするからな」


「信じているよ。小さいときから私のヒーローだからね」

 満開の笑顔を向けてくれる。 

 俺のことを信頼してくれていると捉えていいのかな。

 

「・・・・・・言われたんだ俺。逃げているだけの卑怯者って」

 

「えっ、そんなことないよ!!」

 

「ありがとう。だけどいまはその通りだとわかるよ。なんにも変わらないから、どうせ意味がないから、いずれ終わるからと言い訳をして、自分でなにかを行うのが怖かった。だから事実から目を背けていたんだ」

 それが絶対に悪いとは思わない。

 ただその状態でずっといることは辛いと自覚している。


「ときには向き合なければ前に進めない。だから今回は頑張ってみようかなって思うんだ。自分のためだったら難しかったけど・・・・・・キミのためなら頑張れるから」


「なにそれ。ずるいよ、そんなの言われたら。私は」

 とてつもなく恥ずかしいことを言っている。

 優華はものすごく嫌かもしれない。

 でもそれが俺を動かす気持ちだから。

 

「私だって強助がいるから。私でいられるの」

 俺のことを嫌だとは思っていないその事実は安心した。

 

「優華に話していないことがある」


「あるよ私も。すぐ言えるかはわからないけど言いいたい。強助が話してくれたから」

 誰にだって話していないことがあるんだな。

 優華を知った気になっていたけど、まだまだ知らないことだらけで一割も存じていないのだろう。


「これから話していこう」

 うん、と頷いてくれた。


「まずは問題を解決しないと」


「一人で大丈夫なの?」


「いい案があるし、たぶん一人じゃないから」

 突然優華の目から涙が溢れ出る。

 また悲しませてしまった。

 どうにかしないと。


「ごめん俺なにかした!?」


「嬉しかったの」

 悲しませたわけではなくて安堵あんどしていたのか。

 一体なにがそういう気持ちにさせたんだ。


「強助が誰かとなにかを一緒に成し遂げようとしているから」  

 いつも一人でいて心配をかけていたんだな。

 だからこそ報いてあげたい。


「じゃあ行ってくるよ。相談しにいかないといけないから」


「わかった。送ってくね」

 二人共立ち上がる。

 ちょっと待ってと言い、優華が救急箱を戻しに行く。

 途中勉強机に当たってしまい紙が一枚床に落ちた。

 優華は救急箱を閉まっているため代わりに拾った。

 目に入ってきたのは生徒会という文字。


「ありがと強助ってどうしたの」

 紙を優華の前に出した。


「生徒会勧誘の手紙だね」


「この学校に生徒会とかあるんだ」


「ない学校がないよ」


「どうして優華が勧誘を受けているの」


「わからないんだよね。この前いきなり生徒会室に呼ばれて、入らないかと言われたの」

 

「優華が生徒会・・・・・・中学の頃」


「三年間生徒会です」

 ピースをしてポーズを決めている。

 

「大変な学校になりそう」


「私達の代は学校の生徒みんな模範的な人だったよ」


「俺がいるのにか」


「そうだった強助がいたから全員が模範的な人ではなかったね」


「否定してくれない!?」

 軽く笑い合う。

 

「優華が生徒会をやっていたこと知っているから誘ったのかな」


「う〜ん、知っている可能性はあるかも。生徒会は学生の情報全部知れるみたいだから」

 

「個人情報筒抜けなのか。生徒にそこまでの力があるんだなんて驚きだ」


「考えると普通ではないね。中学校ではそんなこと絶対に出来なかった」

 引っかかる、生徒会は情報が筒抜けっていうことは覚えていて損はないのかもしれない。


「で、優華は入るの?」


「とりあえず一年生の内に入ることはないかな。学校生活にも慣れていないのに生徒会の仕事まで行うのは大変だから」


「二年生からは入る気あるんだ」


「タイミングと機会があればだけどね」

 

「凄いよ。俺はなにか大きな理由でもない限り入るわけないから」


「絶対入らないわけではないんだね」


「入らなきゃ退学とか言われたら流石に入るしかないよ」


「ありえないよそんなこと」

 大きく声を出して笑う優華。

 会心の冗談を笑ってもらえた。


「とりあえずもう行くよ」

 わかったと返事をされ玄関に案内される。


「頑張ってね、きょすけ」

 古い呼ばれ方をされる。

 短く頷きを返した。

 扉を開け優華の家を出ると、辺りは暗くなっていた。

 さぁとりあえず合流しないと。


「笹野内さんはどこに・・・・・・もしかしてまだ公園にいるなんてことないよな」

 走って向かうとブランコに座っているお目当ての相手がいた。

 目の前まで全速力で向かった。


「乙女を何時間も待たせるとはいい度胸ですわ」









 

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