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謎の連絡者






「白姫さん急いで帰る準備をして」

 ケーキの感想については頭から一切消えた。


「どしたの急に?」


「まずいんだ。まずいことになるんだよ」


「それどういうことなの?」


「母さんが・・・・・・母さんが帰ってくるんだ!!」

 早くしなければ来る。


「お母さんって、え、本咲の?」


「そう、だからこれを食べて」

 ケーキを食べることを促す。


「ちょ、っえ?」


「白姫さん早く」

 立ち上がり皿とフォークを手渡す。


「突然言われても」


「なら俺が食べさせてあげようか」


「面白くない〜〜」


「笑わせようと思ってないからな。マジで言ってる」


「マジはマジどうなの!?」


「清々しい気分だよ」

 珍しく呆気あっけにとられた白姫さんが怒り顔をしながらケーキを食べ進めてくれる。


「強助ママ怖いの?」


「いろんな意味で怖い」


「気になること言うね」


「客人が来た時の母さんは手に負えないんだ」

 一般的な母親がどういう雰囲気なのかわからないが、この家の母親はぶっ飛んでいる。


「フレンドリーに接してすぐ仲良くなろうとしてくれるいいお母さんですよ」

 七夏実が白姫さんに良い風に伝えている。


「悪くなくない?」

 白姫さんが不思議がる。


「フレンドリーなのは他の家の人から見たらいいかもしれない。だけど、子供からしてみるときつい所がある」  

 母親はすぐさま仲良くなろうと誰かれ構わずスキンシップをとる。

 馴れ馴れしく、距離をとにかく詰めるうるさい人だ。

 そうやって多くの人と仲良くしてきた。

 多くの知り合いと、俺以上に母さんは繋がっている。

 明るくて人に好かれてはいるが面倒くさい母親だ。

 だからこそ白姫さんとは会わせたくない。

 最悪な組み合わせになる気がするんだ。


「俺からのお願い聞いて」


「会ってみたいなぁ〜」


「いつか会わせるから」


「言ったね、言っちゃったね本咲」

 イタズラっ子のような笑顔を浮かべる白姫さん。


「男に二言はない」


「絶対そんな風に思ってないでしょ」


「本当かどうかはまたの機会に確かめて」


「まぁそういうことにしてあげる。いいよ〜〜」

 返事をしたあとパクっとケーキを食べる白姫さん。

 わざとらしく語尾を伸ばしているとはいえ、破壊力がある。

 ふとしたときに出るあざとさはやはり強力だ。


「白姫さん」

 優華が白姫さんの目の前へと向かう。

 

「どうしたの黒妃さん」

 

「やっぱりなんでもないや」

 優華はなにかを隠したまま席に戻りケーキを食べ進めている。

 その前に座る七夏実も不思議そうにしながらケーキを食べている。

 白姫さんもケーキを食べるの再開している。

 俺だけすることがなかったため、みんなが食べるのをただ見ていた。

 優華はなにを言おうとしたのかな。


「食べ終わったけど本咲」


「早いな」

 気づくとみんな食べ終えていた。


「JKだからね」

 食いしん坊を作っているのは未知の胃袋なんだな。

 

「失礼なこと考えてたでしょ」


「じゃあ玄関に行こ」


「あっ、話逸らすな!」

 席を立つと白姫さんが後ろからついてきた。

 その後ろから七夏実、更に後ろから優華がゆっくりとついてきた。


「白姫さん、黒妃さん。今日はありがとうございました!」

 玄関につくと開口かいこう一番、七夏実が伝える。

 

「こっちこそありがと!!」

 玄関の前で握手をする七夏実と白姫さん。

 七夏実は別れが惜しいのか、頑なに手を離さない。


「また会お七夏実ちゃん」


「はい、ケーキ屋また絶対に行きます!!」

 ブンブンと大きく白姫さんの腕を上下に振り回す七夏実。

 まるで自分が大好きなアイドルとの握手会みたいだ。


「サービスするから是非来て!」


「はい!!」

 そんな二人のやりとりを面白くない顔をして見ている優華。

 一日だけで七夏実と仲良くなっている白姫さんに嫉妬しているのか。

 それとも隠していることが関係しているのか。


「優華姉も一緒にケーキを食べたいです!!」

 

「うん、私も七夏実ちゃんと食べたいな」

 自分も誘われると嬉しそうな表情を浮かべる優華。

 それが嘘なのか本当なのかはわからない。


「どうしたの本咲」


「なんでもない」


「お兄ちゃん波音羽さんをよろしくお願いです!!」


「俺がいれば白姫さんには指一本も触れられないだろうな」

 けれど二人で駅まで行くのは恥ずかしい。

 今日だって七夏実の客人だからなにも言わなかっただけで、自分の家にクラスメイトの女の子をあげるというのは、かなり恥ずかしいのだ。

 白姫さんはどうなんだろう。

 異性の家とか意識してるのかな。


「最後に写真撮ろうよ!!」

 俺の考えはお構いなしに白姫さんが提案する。


「それいいですね!!」

 七夏実も大きく同調した。

 

「本咲と黒妃さんも一緒に」


「俺はいいよ。そのかわり撮ろっか?」

 それくらいはする。

 俺という男がすたるからな。


「自撮りだからみんなで撮るの。ほら、黒妃さんと本咲も早く」


「私もいいとは言ってないけど、・・・・・・」

 白姫さんと七夏実に俺と優華は引っ張られ無理矢理撮ることになる。

 パシャッ、気づいたときにはもう遅い。

 写真は撮られている。


「いい感じに撮れた〜。本咲は無表情すぎるけど」


「突然だったから」


「だけど黒妃さんも本咲と一緒で表情が見えてないから、無表情夫婦って感じでいいんじゃない?」


「「夫婦じゃない」」

 

「アハハ〜息ぴったりだね〜」

 この人は掴めなくて、変わらないな。

 

「写真も撮れたから七夏実ちゃんバイバイ」


「じゃあね七夏実ちゃん」


「お二人共お気をつけて」

 白姫さんと優華と共に家から出た。


「駅までよろしく本咲」

 腕を組んでくる白姫さん。

 膨らみが右腕を刺激してくる。


「わかっているよ。ただ、この腕を離してもらえない?」

 ずっとこの状態は色々とまずい。


「まぁまぁ気にしないで〜〜」


「気にしないでいるのは難しいよ」

 近所の人から目立つ。

 

「駅までだから」


「敷地を出るまでなら許す」


「急に上から!?」


「だってこんなことしたくない。それに白姫さんだって本当はしたくないのに、俺をからかうためにやってるだろ」


「どうだろうね〜〜」

 バレバレだ。

 自然と白姫さんは腕を離していた。

 隣を歩いて家の敷地から出る。

 まずは優華を家に送る。

 隣の家だから送ったもなにもないけど。


「それじゃあ優華。また月曜日」


「黒妃さんバイバイ」

 別れの挨拶を言ったが優華は全く反応しない。

 立ち止まって下を向いている。

 

「私も行く、駅まで送るよ」


「優華いいんだよ無理しなくても」

 俺への気遣いなんだと思う。

 優華の優しさはありがたいけど、そこまでの迷惑はかけられない。


「私が行きたいの強助」

 

「アグレッシブだな」


「カロリーを消費するために歩きたいの」

 食いしん坊分か。

 優華が気遣いとかではなく行きたいなら断る必要はない。

 むしろ白姫さんと二人っきりは厳しいものがあったからきてくれた方が嬉しくはある。

 いやそうなると一体二の構図だから、より厳しくなるのか。


「あの、やっぱり・・・・・・」


「白姫さんいい?」

 俺の意見は!?


「積極的だね黒妃さん。私ももうちょっと話したいから一緒に行こっか」

 そう言った白姫さんの顔は笑っているのにはかなげだった。


「私も白姫さんと話したいことがあるから」


「いいね。気になるなぁ〜」

 さっきの戦いを再開させる二人。

 もう俺は眼中にない。

 またもやただの傍観者だ。

 なら行く意味ないよな。


「強助もきてね」


「本咲もくるよね」


「俺の意思は・・・・・・」

 二人が前を歩く。


「無視しないで!?」

 そのあとはずっと話している二人の後ろからついていくだけだった。

 まるでストーカー。

 流石にかっこよさでカバーできないものだ。

 けど雰囲気が悪そうで、どことなく悪くなさそうな二人に話しかけるのは野暮やぼだと思った。

 まぁなおさら俺駅まで行く必要ないよな?

 そう感じる気持ちはあったが、忘れることにした。









「はぁ〜〜」

 浴室にいるため、音が響く。

 自分の声が反響して聞こえてくる。


「今日は楽しかったな〜〜」

 スマホを触りながら今日撮った写真を振り返る。


「ケーキに七夏実ちゃん。そして黒妃さんとも撮ったなぁ」

 お気に入りの入浴剤が入ったお風呂に浸かることで疲れがどっと出てくる。


「本咲と撮れた。やったぁ〜」

 勢いよく立ち上がると大きな水しぶきが起こったが、上手くスマホが濡れないようにして湯船から出る。

 一度浴室から出て着替えの上にスマホを置き、体を洗うためにもう一度戻ろうとした。

 

「うん、なんだろ?」

 通知音が鳴った。

 誰かから連絡がくる。

 戻る前になんとなく確認する。


「夜遅いのに誰から・・・・・・」

 通知を開くと見たことないアカウントからメッセージと写真がきていた。

 開いて見てみる。


「ビッチをファッションとしてしっかり着こなす白姫さん。今回の相手はファッション隠キャの本咲くんなんだね———って・・・・・・どういうこと?」

 メッセージを読み終え送られてきた写真を見る。


「嘘・・・・・・なにこれ!?」

 温まっていた体と心はどんどん冷えていく。

 なんで、なんで、こんなことに。

 誰か助けて・・・・・・。

 その声は誰にも届かなかった。

 










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