ペアルック
閉まる扉をもう一度開ける。
「優華!?」
お互いの家の柵越しに声をかけてくる優華。
「強助どういうことなの!! なんで白姫さんが強助の家に」
「それはさ、あの、なんで家にいるかはわかるんだけど、どういうことかと言われたらわかんないんだよ。まぁ白姫さんが俺のファンなんじゃないかな」
「ファンじゃないわ!!」
白姫さんに横から肘で軽く突かれる。
「ケーキを食べにきたからいるんだよ〜〜」
白姫さんが挑発するように俺と優華の会話に入ってくる。
なんで挑発しているんだ?
話がもっと複雑になる。
「ちょ、ちょっと強助!」
「は、はい」
家から出てこちらの家まで走ってくる優華。
俺も外に出た。
家の扉がガチャっと閉まる音と同時に優華が、こちらの家の敷地に入った。
「白姫さんと、ど、ど、どういう関係なの!?」
「同級生だと、思いますよ?」
「疑問系!? やっぱり、やっぱりそうなんだね・・・・・・」
「やっぱりとは?」
「隠しているんでしょ。本当のこと、二人が付き合っていることを・・・・・・」
優華が声を震わせ苦しそうにポツポツと言葉を吐いた。
「付き合っていない、付き合っていないよ!!」
盛大に勘違いされ、慌てて否定する。
「だって、じゃあ、なんでここに・・・・・・」
「それは」
「ふ〜ん、そっか」
白姫さんに突如腕を組まれる。
いつのまにか彼女も外に出ていた。
必然的に彼女の胸とあたり、腕に柔らかな感触が襲ってくる。
心臓のドキドキが加速する。
「白姫さん!?」
「私達こういう関係なんだ〜〜」
なにを言っているんだ。
そんなことは断じてない。
「は、はい?」
目がグルグルとしている優華。
「いや、嘘だよ。白姫さんの冗談だよ。優華、優華さ〜ん!」
ヘナヘナと倒れそうになっている。
「優華姉!!」
七夏実も外に出てきて、心配し声をかけるが届いていなかった。
そのまま優華が崩れたため、俺は白姫さんの腕を強引に解き優華を抱き抱えた。
「大丈夫優華?」
声をかけるとグルグルではなく目が点になっている優華がいた。
「わ、私・・・・・・いま、あれ。あ、嘘。こんなの、現実じゃ・・・・・・な、な、ない」
言葉を途切れ途切れに言われなんて言っているのかわからなかった。
「優華」
「あ、あ、わ、わたし」
「優華さん」
「は、わ、あ、え、お」
「優華!!」
「はひっ!?」
目の異常が治り、集点が定まる。
すると、顔を一気に赤く染め体を震わせる優華。
「き、きょ、強助。だ、大丈夫だから手を離していいよ」
ゆっくりと優華を立たせて、抱えるために触れていた肩と腰から手を離した。
「なんか、二人初々しいカップルみたい」
「「は!?」」
「お〜息までピッタリ」
「そんなんじゃない」
「白姫さんが思っているような関係ではないよ!」
「否定するタイミングも間も完璧だ〜〜」
「「白姫さん!!」」
さっきから白姫さんはなんなんだ。
俺と優華を掻き乱してくる。
「ごめんちょっとした冗談。でも、これは冗談じゃないけど黒妃さんて結構胸でかいね」
「な、な、なっ!?!?」
「学校でも制服越しにおっぱい大きいな〜って思ってたけど、部屋着だとなおさら映えるね」
優華の胸を凝視する白姫さん。
セクハラ親父かよ。
行動と言動が煌びやかで可愛い女子高生とは思えない。
「白姫さんなにを言っているの!?」
大照れしている優華だが、確かに白姫さんの言う通りいつもより優華のスタイルは目立っている。
モコモコのピンク色でうさぎの刺繍が施され、フードがうさぎ耳になっているパーカーを羽織り、その下に黄色のキャミソールと黒色のルームパンツを履いている、制服でも外服でもない部屋着状態だ。
キャミソールは胸の谷間が見えやすく、強調されていて、とても際どい。
「強助どこ見ているの?」
優華が胸の谷間を腕で隠しながら睨んでくる。
「どこも見ていないです!!」
「本咲はムッツリだからたぶん見てる」
「だからムッツリじゃない!!」
顔を膨らませた優華により強く睨まれる。
「誤解なんです優華さん!!」
白姫さんが関係ないと言わんばかりの様子で笑っている。
元凶はあなたなのに。
「改めて見ると黒妃さんの部屋着もだけど、本咲の部屋着も、黒色のTシャツに柄の入った黄色の半ズボンだ」
「それがどうしたの」
「本咲と黒妃さん、両方とも黒と黄色の服を着ていて、ペアルックだなって」
大きな謎が解けた名探偵のような顔をしている。
「決してそういうのではない!」
「恋人なんだから別に変なことじゃないって」
「恋人ではないよ。ただの幼馴染!」
「幼馴染だとしても距離感おかしくない?」
「それは昔から一緒だったから」
「ふ〜ん、昔からね。道理であんなに仲良さそうなわけだ」
やっと落ち着ける。
白姫さんのからかいで体力がすり減らされる。
「学校でそんなに仲良さそうに見えた?」
「ううん。学校ではあんま一緒にいないけど、学校の行き帰りよく二人でいるから」
ちゃんと見られているものだな。
隠そうとしているわけではないから当然といえば当然だった。
俺がクールすぎたのが原因か。
「でもそういう関係じゃないよ」
「わかってるって〜〜、黒妃さんの反応を見ればね」
顔をくの字にしてムスッとした顔で俺をまだ睨んでいる優華。
さっきのこと許してもらえていないみたいだ。
「質問していい白姫さん?」
俺から白姫さんの方へと向き直す優華。
「いいよ〜」
「なんで強助の家にいて、どうして強助の家を知っているの? 付き合っていないとしてもなにか特別な関係にしか見えないよ」
盛大な勘違いをされている。
白姫さんだけでなく優華の誤解も解かないと。
「優華違うからなほんとに・・・・・・」
誤解を解こうと俺がしている所に、白姫さんが食い気味に割り込んでくる。
「さっきも言ったけど、七夏実ちゃんにケーキを一緒に食べよと誘われたから来たの。だから、本咲とは恋人じゃない。まぁ、これからどうなるかはわかんないけど〜〜」
艶めかしく俺の肩と腕を触りながら答える。
なんで意味深に答えるんだ。
「きょ〜う〜す〜け?」
ギロリと見られる。
「そんなことないですから、優華さんどうか怒りを鎮めて!!」
必死に宥めて謝っている。
優華と恋人というわけではないのになんでこんなに弁明しているんだろう?
まるで浮気を疑われている夫の気分だ。
人気者の同級生二人に挟まれて、高校に入ってから一番の修羅場を絶賛経験している。




