序幕 Closed Scure 02~英雄譚~
序幕 Closed Scure 02~英雄譚~
伝承の中には、しばしば、英雄と呼ばれる者に由来する物語がある。
我が故郷に伝わるものであれば、『運命の王』に登場するオルドレクスが有名だ。
彼は、帝国の支配下にあった我が故郷を解放し、ドゥオファトムを建国した偉大な人物だが、自ら望んで王となったわけではない。
必然的――、或いは、そういう運命を辿る者だったのだろう。
革命の後に、即位すべくして即位したのだった。
伝承で描かれる英雄に、その後を綴った終幕までは用意されていない。
華やかな活躍の瞬きを切り抜き、伝承を象るに相応しい世界のみが綴られるからだ。
例外なく、この物語の主人公たる彼も、それに違わぬ運命の階段を上って行く事になる。
それは険しくも、勇気と希望満ちた王道の階段だ。
万人の心を震わせるに相応しい、最高の舞台の上で踊り狂い、絢爛を魅せてくれることだろう。
それは、素晴らしい物語への期待――。
或いは、渇望を満たしたいが為の欲望だ――。
時に我は思う。
英雄とは、死者への称号だけではなく、遺された人々への救いとなるものであるのだと――。
成功を孕んだ伝承を後世に語り継ぐことで、その者の功績を讃えると同時に、今まさに奮い立とうとする者達を鼓舞する為の活力剤にも成り得るのだ。
願わくば、この私自身もその末席に加われるよう、渡月の地にて精進するのみである――。
久々の投稿となりました!
前作を読んでくださった方はご無沙汰しております。
今作が初めての方は初めまして!
前作の続きのように進んでいきますが、主人公が変わります。
新章というよりは、この物語単体でも楽しんで頂けるように!という個人目標なのかコンセプトなのかあいまいな感じではありますが、とにかく楽しんで頂ければ著者としてはうれしく思います。
更新頻度は前作同様、超マイペースになると思われます。
「こんな小説もあったな」くらいの気持ちで待っていただけると幸いですが、催促があれば気持ちちょっぴり頑張ります。