無自覚ハーレム主人公系男子の親友がマジギレすると。
この作品は暴力描写を伴いますが、暴力行為を助長する物では御座いません。
俺は神宮寺創真、ハーレム系主人公の親友をやっていると周りには思われている。
「あっ、創真。」
そう言ったのは、刀儀圭…俺の自称親友だ。なぜ自称親友なのかというと、俺は刀儀のことを友達とすら思っていないからだ。
理由?そんなもの決まっているだろう。おっ、その理由もとい原因が来た。
「なんで圭に話しかけられてるのに、返事をしないの?」
「あら、圭に寄生してるゴミ虫じゃない。」
「ゴミ虫が視界に入ると不愉快…あっ、おにいはもちろん別だよ。」
そう、この罵詈雑言である。しかも圭は自分は俺の親友と言っているくせに、否定しない。さらに言えば、止めもしないのである。俺は前を向いて歩き出した。後ろで、圭とその取り巻きハーレムが何か言っているが無視する。
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ある昼のこと、それは起きた。
「あぁ、お腹空いたけど弁当持ってきてないんだよな。購買行こうかな。」
すると、取り巻きハーレム一号が禁句を口にした。
「私、良いこと思いついたわ。このゴミ虫に買ってきて貰うのよ。コイツ、無駄に運動神経が高いからね。」
それに二号と三号も賛成する。
「彼女たちもそう言ってるから、お願いできるかな?良いよね、創真。」
その時、俺の中で何かの糸が切れた。直後、俺は机を思いっきり叩いていた。
ドォォンと大きな音が、教室に響いた。
「お前らさぁ、ふざけてんの?」
俺の変化に、ハーレム達は一瞬怯んだがすぐに言い返してくる。
「ちょっとゴミ虫、女子を恐喝して恥ずかしくないの!?」
「ハハハハハハ…面白いことを言うね。なら大勢で人をパシって、恥ずかしくないの?俺だったら恥ずかしすぎて、死んじゃうな。あ、もしかして無自覚だった?無自覚っていうのも難儀だよねぇ〜。君達の好意に気づかないなんて刀儀も、おかしいを通り越して狂ってるよね。なぁ、刀儀。」
今だに、展開についていけない刀儀に暴露する。
「えっ、彼女たちが僕を好き?そんなことが。」
「それでさぁ、どうなの?恥ずかしくないの?」
「私は、そんなつもりで言ったんじゃない!!」
そう一号が、怒鳴り散らしてくる。
「ねぇ、知ってる?いじめって犯罪なんだよ。だからさ、君達は俺にゴミ虫って言ってるけど、世間から見たら君達のほうがゴミ虫なんだよ。」
そして、刀儀のほうを向く。
「ねぇ、創真はなんでそんなに怒ってるの?僕達親友だろ。」
俺はその言葉を、鼻で笑う。
「はっ、親友…そんなわけないだろう。親友をパシるようなやつが、どこにいるんだ。あっ、目の前にいたわ。で、君達はこのいじめの代償をどう支払うんだ?」
すると、二号が話し出す。
「いじめてなんていません。そもそもゴミ虫がおかしいんですよ。ゴミ虫も圭の親友なら、それぐらい甘んじて受け入れなさぶへぇ。」
俺は最後まで聞くことをせずに、二号の顔面を殴り飛ばした。他クラスからも、野次馬が来ていたようで悲鳴があがる。そして二号の髪の毛を掴み顔を無理やり上げさせ、目を見て言う。
「はぁ…あのさ、現実を見ようよ。パシるのがいじめじゃないとでも言いたいの?」
二号が突然、大声を出す。
「親衛隊の皆さん、このゴミ虫をやっちゃって下さい!!」
すると野次馬の中の一部の男子が、殴りかかってくる。おそらく刀儀の取り巻き女子の親衛隊を謳っている奴らだと思われる。
「はぁ、仕方ねぇ。久しぶりにやるか。」
両手で、目を隠している前髪をかきあげる。
野次馬がこっちを見て絶句しているのを感じる。俺の額にある切り傷が原因だと思う。
(こうなるから隠してたのに、またあの学校生活が始まるのかな?)
中学の時俺は結構有名なヤンキーで、クラスメイトたちから怖がられていた。そうなるのが嫌で前髪で目元まで隠していたのだ。
男子生徒が俺を殴った。拳を額で受け止め、みぞおちに蹴りを一発入れる。そいつはひざから崩れ落ちた。俺の一撃に一瞬ビビったが、また別の生徒が殴ってくる。攻撃を先に裏拳で止めて、そのまま回転して踵を横に一閃する。さらに遠心力を利用して、足が地面に着いた瞬間大きく飛んで身体を横向きにして頭を地面に蹴りつけた。そして、周りを見ると親衛隊は全員地面に倒れていた。
「どうした?そんな絶望したような顔して…ほら、さっきみたいにキャンキャン喚けよ。」
威圧を込めて言うと、恐怖を含んだ声で聞いてくる。
「なんでアンタはそんな強いのよ?」
「俺が強いんじゃない、テメェらが弱すぎるだけだ。それでどうやって、落とし前つけんだ?」
「いやよ…そもそもアンタ、自分が何をしたのか分かっているの?」
「何言ってんだ…まだ、嫌だとか言ってんのか?」
「君達、何をやっているんだ!?」
遅すぎる先生の登場だ。俺はその教師に完結に事実を述べる。
「なにって、制裁を加えようとしただけですよ。」
「そんなことで、暴力を振るったのか!!君、今から生徒指導室に来なさい。」
「は?なぜ僕が、生徒指導室に行かなければ?」
「そんなの決まっているだろう、お前が暴力を振るったからだ。」
「それなら、彼女と彼らもでは?」
「彼女と彼らは間違い無く被害者だろう。」
「被害者(笑)!!同級生をいじめたり、殴ろうとした奴らが?面白いことを言いますね、先生は。」
「そんなことを、彼女たちがするはずないだろう。」
「なぜそこまでこいつらを信じるんですか?あっ、わかっちゃった(笑)。パパ活してるんでしょう、先生と彼女で。」
そう言うと、その教師は顔を赤くして激昂した。
「そんな事するわけないだろう。教師を舐めているのか!?」
「まぁいいや、とりあえず生徒指導室には行ってあげますよ。」
そう言って、窓に立てかけてあったスマホを回収して先生についていく。
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「で、なんであんな事をした!?」
「そうですね、教頭先生を連れてきてくれたらお話しますよ。」
「お前自分の立場分かってんのか、あぁ?」
生徒指導室に着いてからは、怒鳴り散らしてばかりでなんも進展がなかった。
「まぁまぁ、激怒先生も落ち着いてください。君もなんであんな事をしたのか、僕も聞くから話してくれないか?」
そう会話に入ってきたのは、俺がさっきから話題に出していた教頭だった。
「ありがとうございます、教頭先生。まずは見てほしいものがあって、これをどうぞ。」
スマホを開き、とある動画を見せる。
そこにはさっき起きていたことが、映されてた。
「これで分かってくれましたか?僕が行ったのは、正当防衛なので怒られる筋合いはないんですよ。」
だが、それに食ってかかるバカが一人…そう、激怒先生だ。
「こんなもの偽物だ、どうせCGだろ!?」
そう怒鳴ってくるのに対して、俺は冷静に教頭に言う。
「激怒先生の言っていることが信じられるかは、これを見てから考えてください(笑)。」
スマホに映されていたのは、激怒先生(笑)がハーレム二号がヤッていた映像だった。
「さらに激怒先生(笑)は、こんなことも言っていま〜す(笑)。」
『なぜそこまでこいつらを信じるんですか?あっ、わかっちゃった(笑)。パパ活してるんでしょう、先生と彼女で。』
『そんな事するわけないだろう。教師を舐めているのか!?』
「は~い、これを公にしたら、どうなると思う?」
激怒と教頭は、顔を青白くさせる。
「俺の言いたいことは分かるよね。ハーレム二号は退学、激怒先生(笑)は解職…そうしないと許さないからね。」
俺が少し殺気を込めて言うと、教頭は何度も分かりましたと連呼する。そこでその場は解散となった。
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それから2週間ほど経ち、ハーレム二号は退学、激怒は解職となり、俺は自分の席の周りにいる男子たちと話していた。
「なぁ、神宮寺。この問題教えてくれないか?授業寝てて聞いてなかったんだよ。」
「いいぞ、どの問題だ?」
なぜこうなったかというと、この男子達は刀儀ハーレムを良く思っていなかったらしく、ハーレムに臆さずボコした俺に憧れたらしい。小学校以来、始めてできた友人に俺は歓喜していた。そして、刀儀とそのハーレムたち、全校の女子達は俺に話しかけることはなくなった。
もし、俺と同じ状況に陥っているやつがいた時のために言っておこう。
ハーレム主人公の親友でも、ムカついたらブチギレろ。
他にも短編を書いていますので、良かったらどうぞ