表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/100

第九十五話 床が青色に染まる

 アパート暮らしのHさんが、夜に家の風呂に入っていたときのこと。

 日々の疲れを癒やすには、やはり湯船に入るのがよい。シャワーだけでは取れない疲れというものがある。


「ふうあああ~~っ」


 湯船に肩まで浸かりながら、Hさんはその日一日のことを考えていた。

 そこそこ長い時間湯船に入っているため、少しボーッとしてくる。

 ふと彼が浴槽の外の床に目をやると、どこか不思議な感じがした。普段見ている風呂場の景色と、何かが違うのである。


「あれ、青い?」


 白っぽい色のはずだった床だが、そこになぜか青色が混じっているように見える。

 そして、どんどんと薄い青色に染まっていく。


「ん、目が疲れてるのかな」


 Hさんは目元を手でこするが、やはり変わらない。

 しばし瞬きをしたのちに、この青色は何かの液体が落ちてきているのだと気づいた。

 風呂場の天井を見る。


「えっ?」


 人の形をした、青い何かがそこにいた。

 髪の毛らしき束は白く、体の部分は緑がかった青色をしていた。両生類のように天井にへばりついている。小型犬ぐらいの大きさだが、形は人。こんな生き物は知らない。

 その何かから青い液体がしたたり落ち、風呂場の床に落ちていたのだ。

 ポタン、ポタン。

 また一滴が落ちる。Hさんはその行く末を目で追ってしまった。

 床に青い雫が跳ねた。


「妖怪? エイリアン?」


 いまいち現実感がない。Hさんが再び天井を見上げたときには、青い何かは姿を消していた。

 どこから入ってきたのかもわからない。天井にも青い色が付いているということもない。


「幻覚だったのかな?」


 ザバッ。湯船から立ち上がるHさん。その拍子にお湯が流れ出た。

 床に落ちたばかりと思しき青い雫が浴槽から溢れたお湯に混じり、排水溝へと流れていった。 

 Hさんはその後も同じアパートで暮らし続けているが、あれに遭遇したのはこのとき限りだったという。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ