第七十八話 家族が悪魔でした
誕生会にて怪奇現象が起きるという例は多く聞かれる。
特に、ケーキに刺したろうそくの火を消すために、いったん部屋の電気が消えて真っ暗になる瞬間。そして再び電気が点いた瞬間。これらのタイミングで何かが起きるケースが多い。
真っ暗になった時に誰ともわからない声が聞こえる、電気が点いた瞬間に知らない人物がその場に紛れ込んでいる、あるいはその場にいた人物が消えてしまう……
現在は社会人として働いているRさんから聞いた話も、誕生会で起きた出来事についてだった。
彼女が女子高生だった当時、家族とともに自身の誕生日を祝う会、つまりはお誕生会を家ですることになった。
すでにケーキにろうそくが立てられており、集まった家族がテーブルを囲んでいる。
「じゃあ電気消すか」
父親が言い、部屋の電気が消された。明かりはケーキに立ったろうそくのみとなる。
「ハッピーバースデートゥーユー」
皆が歌い、Rさんは息を吹いてろうそくの炎をかき消した。
部屋が真っ暗になり、拍手が起こる。
「電気点けてよ」
母親らしき声がして、おそらく妹であろう、席を立って電気を点けに行った。
天井の電気が点き、部屋に明かりが戻る。
気恥ずかしさと嬉しさを抱きながら家族の顔を見回すRさん。だがその表情が凍り付く。
父も母も祖母も妹も、悪魔になっていた。
その顔。
目が斜めにつり上がり、口が頬まで裂けて牙を覗かせている。
そんな顔が4つ、Rさんを笑いながら見つめていた。
「どうしたの?」
悪魔の母がRさんに問いかける。
「ご、ごめん、ちょっと目眩がして」
Rさんが目をしばたたかせて家族を見ると、いつもの顔に戻っていた。
翌日、Rさんはひどい抑うつ状態に陥る。
ベッドから起きることができなくなり、学校を休んだ。
そして、引きこもりになった。
「社会復帰までに2年かかりました」
原因不明の不調から精神科にかかるようになり、高校も中退したRさん。
あの誕生日の出来事がきっかけだったとしか思えないと言う。
ただ、家族仲はさほど悪くなっていないのが救いだそうだ。




