表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/100

第六十三話 腕を伸ばすもの

 会社から勧められて職業の専門的なセミナーに参加することになったYさん。

 全部で5回あるセミナーのまず第1回目に参加した。

 ビルの一室がその会場であり、Yさん以外に参加者は5人ほどいたという。

 テーマは接客業の問題解決についてで、マナーや話し方講座などのカリキュラムが組まれていた。

 講師の女性が入ってくる。自己紹介がされ、セミナーの参加者もカリキュラムにあるグループワークのために簡単に挨拶した。

 そしてセミナーが始まった。


「PDCAサイクルを回していくことが大切です。まず目的に向かって計画を立てていきます」


 講師の説明が続く。既知の話もあるがセミナーの報告書を書く必要があるため、Yさんは真面目に聞いていた。


「次に今回のモデルになるお店の問題点を考えていきましょう。まず人材不足というのがあり」


 講師がホワイトボードの前で話す。参加者達はそちらに注目している。

 そのとき、Yさんには何か不思議なものが見えた。

 ホワイトボードから2本の白い腕が突き出してきている。

 虚空を少し彷徨うように動いたかと思うと、講師の女性の首をとらえ、そのまま絞めだしたのである。


「がっ……」


 女性は声を出せずにその場で硬直したように動けない。

 口だけは開くが顔面が蒼白になっていく。


「えっ、大丈夫……?」


 Yさんも、他のセミナー参加者達もざわめき出した。しかし首を絞める腕の存在には、Yさん以外は気づいていないらしい。

 ガタッ!

 講師の女性はその場に崩れ落ちるように倒れた。

 Yさんたちが駆け寄ってみると、泡を吹いている。

 呼吸自体は戻っては来ていたが完全に意識を失っているようで、主催会社の社員が急いで部屋を出て助けを呼びに行くのが見えた。


「大丈夫ですか、先生、先生」


 他の1人が頬を叩くが反応はない。Yさんは1人、ホワイトボードに何かあるのではないかとそちらを見ていた。

 何の変哲もないホワイトボードである。裏に回ってみても何か異常があるようには思えない。

 ホワイトボード自体はさほど新しくもない、単なる備品にしか思えなかった。

 講師女性は駆けつけてきた救急車に運ばれていった。

 セミナー自体はそこで中断し、今後の対応については別途連絡されることになった。


「その後、セミナーは最後まで行われたのですが、あの女性の講師は現れずに他の男性講師に変わりました」


 あのセミナーが開催された場所に原因があったのか、それとも講師の女性に何かあったのか、Yさんには知るよしもなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ