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第六十一話 田舎には私の居場所はない
大学生のIさんは夏休みに祖母が住んでいる田舎へ遊びに行った。
3日間祖母の家に泊まることになっており、家の周りをブラブラと歩き回っていると、焼けて崩れ落ちた廃墟のようなものが目に入った。
Iさんは畑仕事をしている祖母に尋ねてみた。
「ねえばあちゃん、あの家みたいなのは何だっけ? 火事でもあったの?」
祖母はこともなげにこう答えた。
「ああ、あっこの家、頭おかしくなって自分で火ぃつけたのよ」
驚いてIさんは続ける。
「えっ? じゃあ住んでた人は?」
「知らん」
祖母は目も合わせずに答える。
「田舎で祖母の家の近所の話だし、知らないわけがないのにと思いました」
Iさんはそれ以上尋ねることができなくなり、3日間少し憂鬱な気分で過ごしたという。




